東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-205円11銭となりました。

今週の高値は8月11日(火)の2万946円93銭、一方、安値は12日(水)の2万303円02銭。高安の値幅は643円91銭でした。今週は中国人民銀行による3日連続の通貨切り下げ措置に振り回された相場展開となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

8月10日(月)の東京株式市場は続伸しました。前週末の米国市場は7月の米雇用統計がほぼ市場予想通りの結果となり、9月の利上げ観測が高まったことから、ダウ工業株30種平均株価は7日続落の展開となりました。その流れを引き継いだ東京市場も売り先行でスタートし、前場は日経平均株価、TOPIXともに小安い水準で推移しました。その後、中国市場で上海総合株価指数が3%を超えて上昇する流れとなり、日経平均株価も後場に入ってからプラスに浮上しました。結局、日経平均株価は+84円、TOPIX、JPX日経インデックス400は高値引けとなり、終値ベースでは、年初来高値を更新しています。TOPIX業種別株価指数は、繊維、その他製品、紙・パルプ、情報・通信、陸運、空運など25業種が上昇。一方、鉱業、ゴム、機械、ガラス・土石、鉄鋼、非鉄など8業種が下落。日経平均株価は4日続伸、TOPIXは9日続伸となっています。

11日(火)の東京株式市場は反落しました。前日の米国市場が上昇し、ダウ工業株30種平均株価が8日ぶりの反発となったことから、東京市場も朝方から買いが先行しました。前場にTOPIXが2007年7月以来、8年ぶりに1700を回復し、日経平均株価も6月24日に付けた取引時間中の高値(2万952円)にあと6円まで迫りました。その後、前場中ごろに中国人民銀行が人民元の対ドルレートを2%切り下げたことで、東京市場でも急速に売りが広がり、日経平均株価、TOPIXはともにマイナスに沈みました。その後、後場に入ってからは、やや下げ渋りながらもマイナス圏で推移し、結局、日経平均株価は-87円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、鉄鋼、非鉄、金属、石油・石炭、建設、鉱業など13業種が上昇。一方、倉庫、空運、電気・ガス、水産、食品、小売など20業種が下落。日経平均株価は5日ぶりの反落、TOPIXは10日ぶりの反落となっています。

12日(水)の東京株式市場は続落しました。前日の海外市場が大幅に下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から売りが先行しました。その後、前場中ごろに中国人民銀行が再び人民元の対ドルレートの切り下げを発表したことから、上海総合株価指数が下げ幅を拡大し、それにつれて東京市場も全面安の展開となりました。後場も軟調に推移したまま、日経平均株価は結局、-328円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、電気・ガス、情報・通信の2業種が上昇。一方、鉄鋼、鉱業、非鉄、化学、電機、自動車など31業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

13日(木)の東京株式市場は反発しました。前日の欧米市場は高安まちまちの展開となり、その後の東京市場は、小幅にもみ合うスタートとなりました。午前10時過ぎに、中国人民銀行が人民元の対ドルレートを3日連続で切り下げたことから、日経平均株価は急落しました。ただ、その後はすぐに切り返し、日経平均株価は約5分間で200円近い値幅で動き、激しい相場展開となりました。その後、昼休み中に、中国人民銀行の易綱副総裁が記者会見で「切り下げは一時的措置。いずれは元高トレンドに戻る」と述べると、過度の警戒感が後退し、日経平均株価は上昇基調となりました。終盤にかけても堅調に推移し、結局、日経平均株価は+202円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、電気・ガス、倉庫、医薬品、海運、小売、鉱業など22業種が上昇。一方、銀行、証券、情報・通信、ゴム、自動車、その他金融など10業種が下落。サービスが変わらず。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

14日(金)の東京株式市場は反落しました。前日の米国市場がまちまちの展開となるなか、東京市場は朝方から売りが先行しました。日経平均株価が前日に+202円と大幅に上昇した反動から利益確定売りが優勢となり、前場中ごろまでは軟調に推移しました。ただ、その後、中国人民銀行が人民元の対ドルレートを元高水準に設定したとの報道が伝わると、日経平均株価はプラスに浮上する場面もありました。その後は買いの勢いが続かず、後場に入ってからは、マイナス圏での小動きのなか、結局、日経平均株価は-76円で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は紙・パルプ、不動産、空運、精密、水産など11業種が上昇。一方、鉄鋼、鉱業、石油・石炭、機械、海運、証券など22業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

来週の予定です。8月17日(月)には、4月~6月期のGDP(国内総生産)速報値が発表となります。19日(水)には7月分の貿易統計、訪日外国人客数、全国百貨店売上高が発表されます。20日(木)には7月分の全国コンビニエンスストア売上高、21日(金)には7月分の全国スーパー売上高が発表となります。

いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。