テレビ大好き芸人の橋爪ヨウコです。学生時代はテレビをたくさん見ているというだけで地位を確立し、現在も睡眠時間3時間、テレビ視聴時間12時間の“テレビをとにかく愛し!テレビにはまだそんなに愛されていない女…!” そんな私橋爪がとにかく熱い!と思っているドラマをご紹介していく連載シリーズ「こじらせハスキー・橋爪ヨウコの三度の飯よりテレビが好き!」。

今期は面白いドラマが多くおススメしたいものが沢山あるのですが、やはりお笑い芸人を生業にしているならこれを書かなきゃ!と謎の使命感に駆られて選んだ『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系、毎週土曜23:15~ ※8月10日は23:45~)をご紹介したいと思います!

  • 渡辺大知(左)と間宮祥太朗=8月10日放送の第3話より(テレビ朝日提供)

■芸人が見て「そこまで描かなくても!」の原作

このドラマは『ROOKIES』や『ろくでなしBLUES』で知られる漫画家・森田まさのりさんによる同名漫画が原作。“学園の爆笑王”と呼ばれる上妻圭右(間宮祥太朗)と、大阪から転校してきた辻本潤(渡辺大知)がお笑いコンビを結成し、その成長と奮闘ぶりを描くストーリーです。

今までもお笑い芸人が題材となっているドラマや映画は『漫才ギャング』『ボクたちの交換日記』『手紙』『火花』など数々ありましたが、その中でも『べしゃり暮らし』はこんなにも細かく書いていいの!?とビックリするぐらい、若手お笑い芸人の内情がしっかりと描かれています。

それは作者である森田まさのりさんが、わざわざお笑い養成所であるNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、お笑いの世界の内幕を実体験するなど綿密な取材を行ったから。芸人から見ても「そこまで描かなくても!」と思うくらい、芸人の熱さや恥ずかしさまでもがリアルに映し出されていて、連載当初から誰よりも感情移入して胸が熱くなり、涙した漫画が今回実写化。しかも、同じ事務所(太田プロ)の先輩・劇団ひとりさんが連続ドラマ初演出を手がけているということで、放送前から楽しみにしてました!

■芸人のドキュメントを見ている感じ

まず、放送を観て思ったのが、漫才コンビ“きそばAT”を演じる、間宮祥太朗さんと渡辺大知さんが「あれ?この2人ってこんなに芸人っぽい顔つきしてたっけ?」「何だかライブで一緒になったことがあるような気がする…」と思うほどに役柄に違和感がないこと。漫才シーンでも「2人とも実際にお笑いが好きなんだろうなぁ」と画面越しに伝わってくるほどでした。

それまで役者さんがお笑い芸人の役をやると、演技はもちろん素晴らしいけど、漫才のシーンになると少し違和感を感じることが多々ありました。それは漫才ではなく、役者さんが演じる“お芝居漫才”になってしまってることが理由で「上手いけどなんか違う…」とその度に漫才の難しさを痛感することがあったんです。私もお笑い始めて16年経ちますが、いまだに漫才ムズー!って思いますからね…。

やはり漫才というのは、下手でも面白い人はいるし、上手けりゃ面白いかと言われればまた違うものがあって、芸人の中でも「漫才上手いね!」の言葉は一概に褒め言葉ではない時もあります。例えるなら、女の子に言う「痩せてるね」の言葉に近くて、痩せてることが別に褒め言葉ではなかったりする感じ。

今回、“きそばAT”の2人の漫才を観て、お芝居漫才ではなく純粋にお笑いが好きなんだなという気持ちがまっすぐに伝わってくるし、駿河太郎さんと尾上寛之さん演じる“デジタルきんぎょ”の漫才に至ってはなんともリアルで、第2話のネタ練習をするシーンでは何だかお笑い芸人のドキュメントを見ている感じがするくらい自然で素晴らしかったです! ストーリー上でも“きそばAT”に大きな影響を与えるコンビなので、観ながら「こりゃ確かに憧れるわ!」と説得力がありました。

  • 尾上寛之(左)と駿河太郎=同

■確実に嫉妬してしまうコンビ

ちなみに今回ドラマの中で、“きそばAT”や“デジタルきんぎょ”がやっている漫才を、演出である劇団ひとりさんと、元芸人で現在作家であるヤマザキモータースさん、そして現在も芸人として活躍中の“火災報知器”小林さんの3人で作っているらしいので、今後どんなネタが繰り広げられるのがそちらも楽しみでなりません!

もし同期とかでいたら、顔も良くて華もあるし先輩にもかわいがられているから、確実に嫉妬しちゃうコンビ“きそばAT”。今後どう成長していくのか…。

それにしても今回『べしゃり暮らし』には太田プロの若手の子たちが、そのまま若手芸人役でエキストラ出演しているのですが、“ドラマ大好き!べしゃり暮らし大好き!”の私としたらうらましくて仕方ありません! どうにか、「通行人A」でいいから出演できないものか…と、芸歴16年!まだまだフレッシュピチピチな若手芸人の橋爪は願っています。今夜の放送が楽しみです!

  • 間宮祥太朗(左)と浅香航大=同

■プロフィール
橋爪ヨウコ
1985年生まれ、群馬県出身。2014年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日テレ)などに出演。ピンでも『新・週刊フジテレビ批評』(フジ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。

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ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」

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