次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第69回は「コーヒーベース」。

  • コーヒーベースで手軽におうちカフェ気分が味わえる

「コーヒーベース」とは?

「コーヒーベース」(「カフェベース」などの呼び名もある)とは、コーヒーを濃縮した飲料のこと。水を加えればコーヒーに、牛乳を加えればカフェラテになり、自分で好みの濃さに調整できるのが最大の魅力だ。液体なので、粉末や顆粒タイプのインスタントコーヒーと比べ、冷たい水や牛乳ともすぐに混ざる=時短になる、というメリットも。また、アイスクリームにかけたり、ゼラチンで固めてコーヒーゼリーを作ったりと、濃縮されているからこその幅広いアレンジも楽しめる。

コーヒーに関するとある調査(New Innovations調べ、2020年12月調査)によれば、「コロナ禍で家でのコーヒー事情に変化はあったか」という問いに対し、およそ4割が「コーヒーを飲む頻度が増えた」と回答。テレワークの増加や、外出自粛により “おうちカフェ”を楽しむ人が増えたことで、家庭でのコーヒー需要がアップ。自宅にいながら手軽においしいコーヒーを飲む方法の一つとして、コーヒーベースを選ぶ人も増えつつあるようだ。

「コーヒーベース」はどこで買える?

コーヒーベースはさまざまな飲料・食品メーカーから販売されており、スーパーやドラッグストアなどで手軽に購入することができる。また、コーヒーショップがオリジナル商品を開発し、店頭やオンラインショップなどで販売している例も少なくない。

  • 「Tully's Specialty カフェオレベース 275ml」(1188円)

タリーズコーヒージャパンは、タリーズのお店のカフェラテのような味わいが家庭でも楽しめる「Tully's Specialty カフェオレベース 275ml」を2021年4月に発売。グァテマラ産、コロンビア産などのコーヒー豆を使用し、この商品のために深めに焙煎・浅めに焙煎した豆をブレンド。奥行きのある立体的な味わいに仕上げ、まろやかな深い甘み、スモーキーな風味が特長だ。1本で約9杯分のカフェオレが楽しめる。

同社の広報担当・須﨑未紗さんによれば、購入者層は普段からタリーズを利用している人、特に主婦や仕事帰りの女性が多い印象だという。「おうちで楽しむために買われることが多く、タリーズの豆乳とセットで買って行かれるお客様もいらっしゃいます。ご購入いただいた方からは、『濃厚で本格的な味わい』『無糖なところが使いやすい』といった声をいただいています」(須﨑さん)

牛乳や豆乳で割る飲み方以外にも、ビールに入れて黒ビール風、バナナと氷をシェイクしたスムージー、といったアレンジメニューもおすすめしており、タリーズコーヒーのホームページにさまざまなレシピが掲載されている。

  • 左からROKUMEI COFFEE CO.「カフェベース ハニー」、「カフェベース ブラック」(各500ml/2380円)

奈良県にあるスペシャルティコーヒー専門店ROKUMEI COFFEE CO.(ロクメイコーヒーカンパニー)では、1本で約13杯分のコーヒーが楽しめる「カフェベース」を2015年から販売。香料、保存料不使用のスペシャルティコーヒーを100%使用し、大人でも子どもでも楽しめるようにしている。

「特別なコーヒー器具や知識がなくても、お水やお湯、ミルクで割るだけでおいしく楽しめます。SNSで当店のバリスタがアレンジレシピを公開するなど、おうち時間を楽しんでいただけるようさまざまな取り組みを行なっておりますので、年々販売数は増加傾向にあります」(同店 通販事業部 部長 下峯亮弥さん)

コーヒーの味と香りを存分に活かした「ブラック(無糖)」と、奈良県産ハチミツのまろやかな甘さがきいた「ハニー(微糖)」の2タイプを用意。それぞれ異なるコーヒー豆を使用し、甘みづけに白砂糖ではなく体にやさしいはちみつを使用しているのもポイントだ。おしゃれなボトルとラベルデザインで、ギフトや奈良のお土産としても人気だという。奈良県内に2店舗あるROKUMEI COFFEE CO.店頭のほか、同店のオンラインショップでも購入可能だ。

「コーヒーベース」を試してみた

サントリーの「ボス カフェベース」シリーズを飲んでみた。以前は「ボス ラテベース」という名前で、牛乳で割って飲む商品として販売していたが、2020年3月にリニューアル。ラテ/ブラック兼用タイプに生まれ変わったことで、メインユーザーである女性に加えて、男性からの支持も増えたという。期間限定品を含め5種類のフレーバーがあり、今回はそのなかから3種類を試してみた。

  • サントリー「ボス カフェベース」シリーズ。左から「無糖」「甘さ控えめ」「焦がしキャラメル」(各340ml/278円)

まずは、同シリーズのなかでもっとも売れているという「甘さ控えめ」。グラスに氷をたっぷり入れ、メーカーが推奨している“カフェベース:牛乳=1:4”の目安で割って飲んでみた。やさしい甘みとしっかりとしたコクがあり、牛乳を注いだだけで飲みごたえのあるカフェラテが完成! コーヒーの香りと甘さのバランスが絶妙だ。

  • 「ボス カフェベース 甘さ控えめ」で作ったカフェラテ。グラスに氷を入れるところから、ほんの20秒ほどで完成!

続いて、コロナ禍で売上が顕著に伸びているという「無糖」を飲んでみた。こちらも1:4を目安に水で割ってみると、キレのあるすっきりとした味わいのアイスコーヒーができた。個人的にはもう少し濃いめの方が好きなので、「カフェベース」を少量追加。よりコクのある味わいになった。こうやって後からでも自由に濃さを調整できるのは、コーヒーベースならではの良さだ。

最後に、「焦がしキャラメル」を牛乳で割って飲んでみる。キャラメルの甘さ、香ばしさ、ほろ苦さが加わり、デザートのような贅沢感のあるドリンクがあっという間に出来上がった。商品1本で約10杯分の本格的なキャラメルラテが楽しめると思うと、コスパの面でもかなり好印象だ。

「豆はアラビカ種を100%使用。濃厚なコーヒーエキスを抽出し、そこに当社独自のエスプレッソを加えることで、雑味が少なくすっきりとしていながら、香りやコクのある味わいとなっています。お客様からは『濃さが調整しやすいので、自分好みの味わいで楽しめる』など、簡便さとカスタム性の高さにご好評の声をいただいています」(サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 ブランド開発事業部 BOSSグループ 金井映実さん)

筆者が普段自宅でコーヒーを飲むときは、お湯を沸かし、コーヒー豆の量を量り、ハンドミルで豆を挽き、フィルターを用意し、挽いた豆の上からお湯をゆっくり注ぎ……といくつもの工程を経ている。もちろんそれはそれで楽しいのだが、コーヒーベースを使うことでそれらの手間が大幅に短縮される(しかも、おいしい!)ことに驚いた。毎日コーヒーを飲む人は、気に入ったコーヒーベースを一本、自宅に常備しておくと重宝しそうだ。

飲みたいときに、自分好みの一杯を楽しめるコーヒーベース。おうち時間の楽しみの一つに加えてみてはいかが?