20世紀最大の物理学者と呼ばれたアインシュタインといえば、「特殊相対性理論」で有名です。公式は非常にシンプルでE=mc2。物質が持つエネルギーはその質量に光速度の2乗と等しいというものですが、筆者の専門外のため、これ以上説明はできません……。

さて、そのアインシュタインが「人類最大の発明」と言ったものがあるのですが、それは何だか分かりますか? 実はお金の「複利」を最大の発明であると言ったのです。アインシュタインをして「最大の発明」といわしめた「複利」について、一緒に確認しましょう。

  • 複利の考えを理解していますか?

複利と単利の違い

現在は超低金利で、銀行預金など金利はかなり低い状況ですが、それでもお金を預けていれば利息をもらえます。この利息を「単純に受け取るのみ」というケースを「単利」といい、受け取った利息をさらに元本に組み入れ、「利息にも利息が付く」状況を「複利」といいます。

例えば、100万円を年利1%で運用しますと、年間1万円の利息がもらえます。これを毎年繰り返すとします。

年に一度、利息である1万円を受け取り、そのお金でおいしいものを食べにいってしまえば、次の1年もまた運用額は100万円となります。よって、翌年も受け取る額は1万円です。

一方、受け取った利息を使わずに元本に組み入れることで、翌年の運用額は101万円となります。101万円の1%は10,100円。単利の人よりも100円多く、受け取ることができます。もちろん、そしてこれを繰り返していくと、どんどん単利と複利の人では差が出るわけです。

では10年でどれだけ差が出るでしょうか?

単利の場合は単純ですね。1万円×10年=10万円が受け取った総額の利息となります。

複利の場合は以下の公式で求めることができます。

となります。104,622円の利息を受け取ることができ、単利の時に比べ4,622円も多いことが分かります。

なお、日頃使っている人が多いと思いますが、表計算ソフトエクセルでは以下のように入力することで、簡単に複利を計算することができます。

=1000000*1.01^10

同じ1%でも年に1回利息を受け取れる1年複利より、半年に1回0.5%ずつ受け取る半年複利ではどれくらい差がでるでしょうか?

「どちらも1%なので、同じなのでは?」と思うかもしれませんが、まず、計算式を紹介します。

1回あたりの利息は半分になるため、0.005(0.5%)となります。一方、年に2回利息が支払われるため、10年間で20回利息を受け取る機会があります。よって、20乗となります。 答えは1,104,896と1年複利より274円多くなりました。

わずかの差と感じるかもしれませんが、これが金利5%、期間20年となれば、どうでしょうか? 年間5万円の利息を受け取ることができるため、単利でも20年間で100万円受け取れます。

元本100万円に対して利息100万円。つまり、資産が2倍になっています。一方、年複利の場合は約265万円、そして半年複利の場合は約268万円と圧倒的に単利の時よりも多くなっており、年複利と半年複利の差も約3万円となりました。

追求すべきは金利・回数そして時間

このように少しでも金利や配当などのリターンが高く、そして早めに元金に組み入れ、長く運用することで、複利効果がどんどん大きくなっていきます。複利効果を意識することでワンランク上のお金の管理を目指せそうです。

例えば、生命保険の満期金を一時金または分割で受け取ることを選択できる場合もあります。当然、保険会社は複利効果なども考慮するため、一時金の額より分割した方が総額が多くなるのが一般的です。

この場合、特に急ぎでお金が必要ないのであれば分割を選び、より多くの金額を受け取ると良さそうです。

あるいは、一時金で受け取り自分で運用するという選択肢も浮かぶのではないでしょうか? その際はどれくらいの利回りを狙えば一時金で受け取った方が結果として有利になるのか? こういうことと上手に向き合える人は金融リテラシーの高い人と言えます。

ちなみに、一時金と分割では課税方法も異なります。果たして税引き後ではどちらが手取りが多くなるのか? そこまで事前に確認できれば完璧です。

複利効果を意識するとお金の管理のみならず、ビジネスや生活にも有効です。月に1回取引先を訪問するのと、10日に1回少しでも挨拶に出向くのでは、きっと後者の方が顔や名前を早く覚えてもらい、良好な関係を築けそうです。

3日坊主でダイエットや運動などに失敗する人も、一気に負荷をかけるのが原因の1つかもしれません。日々、少しずつできることから行うことで、将来大きな複利効果につなげてください。