坂田夏水さん
夏水組代表。アトリエ系設計事務所、工務店、不動産会社勤務を経て、2008年夏水組を設立。女性特有のリノベーションや内装デザインが注目を集めている。また、書籍などを通し、生活スタイルが変化しやすい女性に「気軽なリノベーション」を提案中。自分らしい「理想の空間」で日々の暮らしをいきいきと過ごしてほしいとのこと

この連載では、中古物件のリノベーションやシェアハウスの設計、工事管理を手がける夏水組(なつみくみ)代表 坂田夏水さんによる、DIY初心者のためのお部屋のリノベーション術を紹介中です。第3回は「雑貨選び」についてのお話。部屋づくりで「なぜかインテリアがまとまらない」とお悩み中の人は必見です。

雑貨選びは「中心づくり」が命!

坂田さん: 第3回では「雑貨選びのコツ」をご紹介します。好みのアイテムだけを集めているのに、インテリアに統一感がない、ということはありませんか?

雑貨選びでは、中心になるものを1つ決めることが肝なんです。「1つだけとっておくことができるならコレ!」というものを決め、それに合うものを探していきましょう。もしキャラクターものが好きならば、それに合ったものを揃えていく。アンティークが好きならば、同じアンティークのものを揃えていく、というようにです。メインをはっきりと決めることが大切です。

例えば同じ動物系雑貨と言っても、キャラクターの人形とリアルな動物のフィギュアは全然違いますよね? 部屋に2つ飾ったときに同じ「動物もの」なのにちぐはぐになってしまうというのはそのためです。「あっちも好きだしこっちも好き」っていうのが1番ゴチャゴチャになる原因ですから。好きなものしかないのにインテリアがまとまらないというのは、そのせいなんですよね。

中心になるものを決めましょう

雑貨に限らず、家具選びでも同じことが言えます。例えば「お気に入りの本棚」を中心にするのであれば、その本棚の素材や色、テイスト(アンティークなのかモダンなのか)を考えてみましょう。それからその本棚に合いそうな額縁、花瓶などを探していく。中心となるアイテムから次のアイテムにつないでいくことが、インテリアを楽しむコツかもしれません。

皆さんインテリアになると「難しくてよくわからない」とおっしゃるのですが、ファッションでは特に意識せずにコーディネートをしているでしょう? 大好きバッグがあったら、「このバッグに合ったコートはこれだろう」「このスカートを合わせたい」と考えているはずなんです。雑貨もファッションと同じ感覚で選ぶと良いと思いますよ。

雑貨選びはファッションと同じです

色と彩度の関係に注目しよう

雑貨や壁紙選びで注目してほしいもう1つのポイントは「彩度」です。「色」を合わせることは皆さんよくやっていらっしゃるかと思いますが、「彩度」はそこまで考えない人も多いんです。

例えば「アンティーク調」のお部屋にしたいのであれば、スモーキーな色の雑貨や壁紙を選ぶといいですね。同じピンクでも、彩度が高いものと低いものでは印象がかなり変わるんです。輸入品の壁紙は彩度が低く、少しグレーが掛かっていているものが多いので、落ち着いた印象になります。日本のホームセンターに並んでいるペンキや壁紙は彩度が高いものが多く、アンティーク調には合わないことがよくあります。北欧を除くヨーロッパ圏では、彩度が高い壁紙やペンキはあまり使わないそうです。

彩度にも気を使いましょう

色と彩度を合わせると部屋のトーンがうまく組み合わさり、しっくり来るようになります。北欧系を目指しているのであれば彩度が高いもの、アンティークなど落ち着いた雰囲気がいいならば、彩度が低いものを選ぶと良いでしょう。

フレンチ系のお部屋を作る上でのルール

今回お伝えしたことを踏まえて、『リフォーム&インテリアアイディアBOOK』 より、「フレンチシャビースタイル」のお部屋を作るときのルールをご紹介します。

このスタイルでは、ホワイトの家具をベースに薄めのピンクかブルー系で統一することが大切です。雑貨や壁紙選びの際は、彩度が高く派手な色柄はNG。落ち着いたトーンのものや控えめな小花柄を中心に、差し色としてゴールドを使いましょう。豪華だけどいやらしくない、上品なインテリアになりますよ。

フレンチシャビーはホワイトの家具をベースにしましょう(写真:オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産)

インテリアの中心となるアイテムは、シャンデリアやアンティーク調の額縁、ミラーなど、ゴージャス感をプラスできるようなものが良いかもしれません。なお、『リフォーム&インテリアアイディアBOOK』では、北欧系、ミッドセンチュリー系などのテイストもたっぷりと解説していますので、ぜひ読んでみてくださいね。

ちなみにGONGRIのテイストは「シャビーだけどちょっとキッチュ」を意識しています。「アンティーク」「パリ」「シャビーシック」が好きなお客さんが多いので、そのラインに向けてあうアイテムを集めています。リアルな動物や鳥モチーフもキッチュな雰囲気を演出できると人気ですね。

【最終回では「GONGRI」おすすめのDIYグッズを紹介します】


坂田夏水
夏水組代表。武蔵野美術大学建築学科卒業。アトリエ系設計事務所、工務店、不動産会社勤務を経て、2008年に夏水組設立。女性特有のリノベーションや内装デザインが注目を集めている。著書は『夏水組のパリ風手作りインテリア』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『夏水組インテリア・コレクション』(けやき出版)、『夏水組の「家デコ」レシピ』(学研パブリッシング)など。
好評発売中の最新作『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』(KADOKAWAメディアファクトリー)では、ペンキの塗り方や壁紙の貼り方、テイスト別コーディネートアイディアなども紹介している。