みなさんは、今の住まいに満足していますか? 「もっと素敵な部屋にしたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。そんな人に挑戦して欲しいのが「セルフリフォーム」です。近年のDIYブームで、原状回復不要な物件や賃貸でも使えるインテリアグッズが増えています。方法さえわかれば、家は案外簡単に変えられる時代になっているんです。

この連載では、お部屋のリノベーションに挑戦したいDIY初心者のために、道具選びやテイスト別モノ選びのコツなどを紹介します。

セルフリフォームに挑戦してみよう! (『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』より)

教えてくれるのは、中古物件のリノベーションやシェアハウスの設計、工事管理を手がける夏水組(なつみくみ)代表 坂田夏水さん。『夏水組のパリ風手作りインテリア』『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』(KADOKAWAメディアファクトリー)などの書籍や女性のためのDIYショップ「GONGRI」を通して、気軽にリフォームをして住まいを心地よく変化させていくことを提案している、お部屋作りのプロフェッショナルです。

坂田夏水さん
夏水組代表。アトリエ系設計事務所、工務店、不動産会社勤務を経て、2008年夏水組を設立。女性特有のリノベーションや内装デザインが注目を集めている。また、書籍などを通し、生活スタイルが変化しやすい女性に「気軽なリノベーション」を提案中。自分らしい「理想の空間」で日々の暮らしをいきいきと過ごしてほしいとのこと

リノベーションの基本は3パターン

坂田さん: 第1回ではセルフリノベーションの基本と必要な道具選びを紹介します。リノベーションというと難しそうなイメージがあると思いますが、基本的には「塗る」「貼る」「付ける」の3つに区分できます。道具もまずはその3つに使えるものを用意するといいですよ。

手軽でローコストな「塗る」

手軽にリノベーションを楽しめる方法が「塗る」です。一見難しそうに思えますが、失敗しても上から塗りなおせるので、初心者でも簡単に挑戦できます。

壁などを塗る道具は、塗料のほかバケツ、ローラー、ハケ、マスキングテープ、養生シートがあれば十分です。細かいところはハケで、広いところはローラーで塗ると色ムラなく仕上がります。バケツはローラーが入る、幅の広いものを用意してくださいね。初心者の方は道具セットの購入をおすすめしています。

塗る道具はこれだけ揃えればOK!

「塗る」ときに一番大切なのは、「きちんと養生すること」。マスキングテープや養生シートで塗らない部分をしっかりと保護して、塗料がはみ出さないようにしましょう。ペンキは色が気に入らなかったりしても上から塗り直せばリカバリーできるので、養生さえきちんとすれば手軽に楽しめます。また、塗ってから「色のイメージが違う!」ということもあるので、試し塗りをしておくことも重要です。

塗料は、色ムラが出にくいDIY専用のペンキを選びましょう。夏水組でブレンドしているこの塗料は、ターナーという日本の絵の具メーカーが作っているもので、色ムラやニオイもしにくいという特徴があります。室内をペイントするので、ニオイがきつすぎないのは結構大きなポイントです。

こちらの塗料は2リットルで5,000円前後、道具が2,000円前後なので1万円以内で収まります。自分でやればローコストな上、雰囲気もガラッと変わるので、セルフリノベーションの第一歩としておすすめですね。

細かいところはハケを使いましょう(『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』より)

柄の種類が豊富な「貼る」

「貼る」ものというとマスキングテープや壁紙、タイルなどがあります。マスキングテープは道具が要らないので、アクセントとして手軽に使えると人気です。壁紙を貼るのはペイントと比べると難しいですが、色柄やパターンで部屋の印象をガラッと変えることができるのが特徴です。最近は輸入壁紙も販売されているので「外国のお部屋みたいにしたい」という希望もかなえられますよ。

壁紙を貼るために必要な道具 はバケツ、ローラー、ジョイントローラー、メジャー、竹ベラ、スポンジ、なでハケ、カッター、地ベラ、壁紙用のりです。ローラーは壁に糊を付けるため、ジョイントローラーは壁紙を密着させるために使います。ちょっと道具が多いのですが、うちではセットで販売しています。

貼る道具もこれだけあれば大丈夫

「貼る」ときのコツは、のりを付け過ぎないようにすること、シワやたるみを伸ばしながら垂直に貼ることが大切です。柄がある壁紙の場合は、端と端を合わせて柄を繋げるようにすると見た目も美しくなります。

最近は貼ってはがせる壁紙用ののりや、元々ある壁紙の上から貼れる壁紙もあります。住んでいる家が賃貸か持ち家かを考慮して選ぶのもいいですね。また、輸入壁紙は日本にはあまり見られない色使いや柄が魅力的です。種類も豊富な上、紙の幅が細いので、DIY初心者にも扱いやすいのではないでしょうか。

張る時はしっかり伸ばす(『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』より)

壁紙を貼るときのコストですが、GONGRIでは輸入壁紙を1本5,000円ぐらいから販売しています。壁1面(約10平方メートル)に貼る場合は、2本あれば十分ですし、道具のセットは2,500円ですので、予算は1万5,000円前後を想定しておくとよいでしょう。

「付ける」は1番シンプル!

飾り棚や取っ手の付け替えなど、「付ける」というのは1番簡単で、短時間でできます。壁のペイントや貼り替えは大掛かりだ…という人はここから始めるのはどうでしょうか。

「付ける」ための道具は、最低限ドライバー、トンカチ、ビスがあれば何とかなります。例えばIKEAではトンカチとドライバーとモンキーの基本工具セットが1,000円未満で販売されています。ドアノブの付替えもこの道具だけで簡単にできるんですよ。

IKEAの基本セットがおすすめ(写真はIKEAの「FIXAツールセット 17点」)

「付ける」インテリアグッズは手軽で、たくさんの種類があります。取っ手や飾り棚、壁掛け雑貨など、お部屋のアクセントとなるお気に入りの一品を探すのも楽しいですよ。

【次回はインテリアコーディネートの3原則を紹介します】


坂田夏水
夏水組代表。武蔵野美術大学建築学科卒業。アトリエ系設計事務所、工務店、不動産会社勤務を経て、2008年に夏水組設立。女性特有のリノベーションや内装デザインが注目を集めている。著書は『夏水組のパリ風手作りインテリア』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『夏水組インテリア・コレクション』(けやき出版)、『夏水組の「家デコ」レシピ』(学研パブリッシング)など。
好評発売中の最新作『初めてでも失敗しない! リフォーム&インテリア アイディアBOOK』(KADOKAWAメディアファクトリー)では、ペンキの塗り方や壁紙の貼り方、テイスト別コーディネートアイディアなども紹介している。