ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本連載では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

投資・資産運用としての仮想通貨

前々回の連載は、「決済の手段」としての仮想通貨について、前回は、「送金の手段」としての仮想通貨についてご紹介しました。今回は、「利殖の手段」についてご紹介します。

利殖とは、投資・資産運用や貯蓄(貯金)のことです。利子や配当などによって、財産を増やすことを言います。

仮想通貨での投資・資産運用の方法は、極めてシンプルです。買ったときの価値と売るときの価値、その差額によって生じる利益を得るだけです。つまり、安く買って高く売れば良いということですね。

億り人どころか兆人も生み出したビットコイン

「億り人」という言葉が生まれたように、ビットコインなどの仮想通貨に投資したことで大きな利益を得た億万長者は多いでしょう。中には、資産が兆円を超えたという「兆人」も存在します。

得た利益は、投資した金額やタイミングによって異なりますが、数倍になった人もいれば、数百倍、数千倍、数万倍、あるいはそれ以上になった人もいると思います。

2010年2月の時点では、1BTCは8セントでした(BTC=ビットコインの通貨単位)。ビットコインとドルを両替できる世界初のオンライン取引所「ザ・ビットコインマーケット」が開設されたときの初取引でついた値です。それが約8年後の2017年12月には、1BTC=1万8,000ドルまで上昇しました。約22万5,000倍です。これほどの急激な上昇を成し得た投資対象は、他にほとんどないでしょう。

今から仮想通貨に投資しても遅くない?

未来は誰にもわかりませんので確約できることではありませんが、仮想通貨に投資して利益を得ることはまだまだ可能だと私は考えています。しかし、悪意のある詐欺コインも乱立していますので、投資する人が鑑識眼を持つことが必須です。

本来、仮想通貨はとても便利なツールです。決済や送金手段として優れていると思います。しかし、2017年にビットコインなどの仮想通貨の認知度こそ高まりましたが、普及したと言えるほどの状況にはなっていません。

この記事を読んでいる方の周りに、普段から決済や送金に仮想通貨を利用している人はいるでしょうか? ほとんどいないと思います。仮想通貨の普及率はまだまだ低いです。しかし、それは伸びしろがあるということでもあります。消滅しない仮想通貨を選ぶことができ、かつ長期保有できる余裕があれば、仮想通貨投資で利益を得ることは可能でしょう。

値動きが激しいことをネガティブに捉えるかどうか

長期保有以外にも、その日のうちに取引を完了させるデイトレードや、短期間で取引するスイングトレードで利益を得ることもできるでしょう。

「仮想通貨は値動きが激しくて精神衛生的に良くない」という人もいますが、それは捉え方次第です。値動きが激しいということは、それだけ利益を得られる可能性があるということでもあります。

私は買ったら放っておく長期保有しかしないのですが、中には仕事を辞めて仮想通貨トレーダーになったという海外の知人もいます。日本にもそういう方はいるかもしれませんね。

仮想通貨は資産保全になるの?

仮想通貨で投資・資産運用はできますが、資産「保全」になるかどうかは、時代や国によって異なるでしょう。

「保全」というのは、一般的には保有している資産よりも世界的・社会的信用度の高い資産に換えなければ保全になりません。例えば日本円という資産を保全しようと考えた場合、選択肢として挙げられるのは金や銀などの現物資産かアメリカドルくらいではないでしょうか。

私はインドネシアのバリ島でアパート開発事業も行っていますが、海外でアパートなどの不動産を保有することが資産保全になるとは考えていません。インドネシアのような新興国であれば、なおさら保全にはならないと思います。家賃収入(インカムゲイン)や不動産の価値上昇(キャピタルゲイン)を期待して投資しているにすぎません。長くなってしまうのでここでは書きませんが、バリ島でのアパート開発事業は、実のところは日本の中小企業の海外進出支援の一環として実践しているだけです。

少し話が脱線してしまいましたが、ときには仮想通貨投資が資産保全になることもあります。それは、ハイパーインフレや戦争、国の財政危機などの有事のときです。

また、将来的には、仮想通貨を保有することは普通のことになるでしょう。ポートフォリオのなかに、預金、外貨預金、株、不動産などと並んで仮想通貨が組み込まれることが一般的になるはずです。それが3年先なのか5年先なのか、あるいは10年先なのかはわかりませんが、今から仮想通貨について知っていることは極めて重要だと思います。

次回は、「有事のときの仮想通貨」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。