「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
新しい土地での暮らしを考えるとき、みなさんはどのような条件を思い浮かべるでしょうか。「静かで自然豊かな場所がいいな」「家賃が安くて広い家がいいな」「買い物や交通の便はどうだろう?」など、やりたいことや憧れの生活スタイルを考えるとワクワクしますよね。
ですが、実際に引っ越しした後に「ここに住んで本当によかった! と実感するのは、日々の暮らしの中にある「自治体と住民との距離感」や「地域のサポート体制」ということもあります。
今回は、移住先を選ぶときの意外なチェックポイントとして、地域と住民をつなぐ「防災行政無線」についてご紹介します。
そもそも「防災行政無線」ってなに?
「防災行政無線」という言葉を聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。
総務省の解説によると、防災行政無線とは、自治体が防災や災害時の連絡を地域のみなさんへ素早く届けるために整えている無線の仕組みのことです。台風が近づいたときや地震が起きた際に、避難のお知らせや注意の呼びかけなどを市町村から住民へ届けるための「情報伝達の大切なルート」として使われています。
夕方になると街のスピーカーからメロディが流れたり、家にある戸別受信機からお知らせが聞こえたりするのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただし、この防災行政無線は、すべての自治体で同じように運用されているわけではありません。設備の充実度や使われ方は、地域によってそれぞれ違いがあります。
いざという時だけじゃない! 街の「助け合い」を伝える声
本来は「災害時の非常連絡」として利用される防災行政無線ですが、自治体によっては日常の住民同士の助け合いなど、コミュニケーションツールとして活用されていることがあります。
たとえば、地域で高齢の方や小さなお子さんが行方不明になってしまったとき、街には、以下のような放送が流れることがあります。
「!地区の○○さんが行方不明です。特徴は△△△。見かけた方は、お近くの警察までご連絡ください。」
このような呼びかけは、ただ情報を発信するだけでなく、「住民一人ひとりの暮らしと安全を守る」という自治体の温かい姿勢の表れと言えます。行政が住民の安全を真剣に考え、地域で助け合う仕組みが根付いている証拠であり、こういった運用を行っている自治体は、新生活の移住先候補として魅力的ではないでしょうか。
LINEやメールでも届く! 現代の暮らしに合わせた進化
街のスピーカーからの放送は耳で聞けて便利ですが、「雨や風の音でよく聞こえなかった」「日中仕事に出ていて聞き逃してしまった」ということもありますよね。
最近では、住民のみなさんがもっと便利に情報を受け取れるよう、デジタル技術を上手に取り入れている自治体が増えています。
多くの自治体では、放送した内容と同じテキストをLINE公式アカウントや防災メールなどで配信する仕組みを導入しています。スマホでいつでも確認できるように設定しておけば、以下のようなメリットがあります。
・文字でしっかり読み返せるので、聞き間違いや見落としを防げる。
・外出先や通勤中であっても、自宅周辺の安全情報をリアルタイムで把握できる。
・過去の配信をいつでもさかのぼって確認できる。
静かな環境でゆったり過ごしたい方にとっても、自分のスマホに文字で届く形なら、ストレスなく地域の情報とつながっていられます。
新しい住まいを探すときのおすすめステップ
もし気になる移住先候補が見つかったら、ぜひその地域の「安全のインフラ」にも目を向けてみましょう。
【1】防災行政無線の使い方を調べてみる
災害時だけでなく、防犯や行方不明者の見守りなど、普段の暮らしの中でも活用されているかチェックしてみましょう。
【2】LINEやメール配信があるか確認する
自治体のホームページや広報誌を見れば、スマホやパソコンなどで文字として情報を受け取れる設定があるかが分かります。
【3】地域の「助け合いの空気感」を感じてみる
住民を見守る仕組みが整っている街は、近所付き合いや見守りの意識が高い傾向にあります。自分たちのライフスタイルや価値観に合う地域かどうかを見極める指標になります。
おわりに
地方での暮らしは、都市部に比べると「地域社会とのつながり」をより身近に感じられる場面が多くなります。
家づくりや街並みだけでなく、「住民の安全や暮らしをどのように守ろうとしてくれているか」という自治体の取り組みに目を向けてみることが、これから先も長く安心して暮らせる場所と出会うための、とっておきのヒントになるかもしれません。
