「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
コロナ禍をきっかけに、私たちの働き方は大きく変わりました。「自宅でのリモートワーク」が一般的な選択肢として定着した後、昨今ではオフィス出社へと回帰する動きも見られます。しかしその一方で、緊急時の代替手段としてではなく、通常時の選択肢の1つとして「オフィス以外の環境での業務もOK」とする柔軟な企業も確実に増えています。
場所を選ばずに働ける自由を手に入れたビジネスパーソンも多いでしょう。しかし、いざ実践してみると、「自宅では仕事に集中できる環境を作ることが難しい」という問題が発生します。自宅には、テレビや家事、家族の気配など、良くも悪くも多くの「誘惑」や「生活感」があふれています。オンとオフの境界線が曖昧になり、ダラダラと時間を過ごしてしまったり、逆に過度な緊張感が続いて疲弊してしまったりした経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
そこで、快適かつ劇的に生産性を高めるための「もう1つのサードプレイス」として提案したいのが、「地方のビジネスホテルに滞在して仕事をする」という選択肢です。ここで重要なのは、利便性の高い都心部ではなく、あえて「地方の」ビジネスホテルを選ぶという点にあります。
都心ホテルの限界と、地方ホテルが持つ「逆転のメリット」
「ホテルでテレワーク」と聞くと、都心のホテルをイメージする方が多いかもしれません。しかし、現在の都心部のホテルは、インバウンド(訪日外国人客)の増加や需要の回復により、宿泊料金が著しく高騰しています。
さらに、都心のビジネスホテルは限られた敷地に建てられているため、部屋が手狭なケースが珍しくありません。小さなデスクにノートパソコンを開くだけで手一杯になり、紙の資料やサブモニターを広げるスペースがないことも多いでしょう。また、多くの宿泊客が一斉にインターネットを利用するため、Wi-Fiの電波が弱まり、重要なオンライン会議の最中に画面が固まってしまうといったストレスも発生しがちです。これでは、高い宿泊費に見合う「費用対効果」が得られません。
一方、地方のビジネスホテルに目を向けると、状況は大きく変わります。
第一に、「空間のゆとり」です。全国展開しているチェーン系のビジネスホテルであっても、地方の店舗は敷地に余裕があるため、都心部に比べて客室やデスクがひと回り広く設計されているケースもあります。パソコンの横に資料を並べても十分に作業が可能です。 第二に、「通信・作業環境の安定性」です。特に観光地ではない地方都市のビジネスホテルは、利用者の大半が静かに過ごすビジネス客です。そのため館内全体が落ち着いており、Wi-Fi環境も比較的混雑せず、安定して高速通信を利用できる傾向があります。予期せぬノイズに邪魔されることなく、オンライン会議や重いデータの送受信もスムーズに行えます。
「余白の時間」がもたらす、アイデアの創出
地方での滞在は、作業効率だけでなく「休憩時間の質」も引き上げてくれます。
煮詰まったときには、ホテルの一歩外へ出てみましょう。都心のような人混みや喧騒はなく、地方ならではのゆったりとした時間が流れています。混雑していない地元のカフェでコーヒーを飲んだり、緑豊かな公園を散策したりするだけで、脳が心地よくリフレッシュされます。こうした「ゆったりした休息」が五感を刺激し、デスクにかじりついているだけでは生まれなかった新しいビジネスのアイデアをひらめかせるきっかけになるかもしれません。
コストをどう考えるか:「投資」としての費用対効果
もちろん、地方でのリモートワークには注意すべき点もあります。
地方の宿泊料金そのものは都心部に比べて手頃ですが、そこへ移動するための交通費(新幹線代や特急代など)が発生します。そのため、「地方での宿泊費および交通費」の総額が、都心のホテルに1泊する料金を上回る可能性は十分にあります。
しかし、これを単なる「コスト(出費)」として捉えるか、あるいは「生産性を上げるための投資」と捉えるかで、その価値は180度変わります。
静寂で広い空間、安定したネット環境、そして程よい孤独感。これらが揃った環境で、普段なら3日かかるタスクを集中して1日で終わらせることができたとしたら、交通費以上の価値があると言えるのではないでしょうか。
働き方の自由度が高まった現代だからこそ、自分のパフォーマンスを最大化できる環境を、自らの手で取得する。次の週末や平日の谷間に、パソコンとお気に入りのガジェットなどをカバンに詰め込んで、あえて「地方のビジネスホテル」へ向かう切符を買ってみてはいかがでしょうか。
