「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

歯科検診の申し込みをしようとしたら

昨年新しい地域に引っ越しをしてから、やっと新しい生活にも慣れて落ち着いてきたので、歯科検診に行って、歯の調子を診てもらおうと思いました。以前住んでいた地域では、歯科検診の申し込みをする際には、年齢制限がなく、自己負担額も1,000円以内だったので、毎年実施医療機関に電話予約を入れて、歯や歯の周りのチェックをしてもらっていました。

新しい地域での歯科検診は、特定の年齢に限定されており、私の現在の年齢は対象外でした。また、自己負担額も全国一律ではないことがわかりました。そこで、地域によって歯科検診の実施内容が異なるのか、調べてみました。

地域別・歯科検診

一部の地域の歯科検診の内容を抜粋してみました。地域によって、歯科検診の内容や自己負担額、対象者など異なることがわかりました。また、歯科検診を実施していない地域もあるようです。

  • (表1)地方別・歯科検診
    ※一部の地方のホームページを参照して抜粋 執筆者作成
    ※平成30年3月25日時点

自己負担額については、無料の地域もあれば、1,000円以上の地域もあります。また対象者も、一定の年齢以上ならば毎年受診できる地域もあれば、5歳ごとや10歳ごとなど特定の年齢に限定している地域もあります。実施期間も1年中可能な地域もあれば、実施期間が限定されている地域もあり、また実施医療機関に問い合わせをして日程を決める地域など様々です。

主な特徴としては、生活保護世帯に属する方や、市民税非課税世帯に属する方などは、証明書類を提出することにより自己負担額が免除されるように定めている地域が多いようです。

地域が行う歯科検診は、歯の健康維持と歯周病予防を目的としており、あくまでも歯や歯の周りのチェックのみですので、虫歯治療や歯石の除去などの行為は含まれません。

したがって、歯科医師の判断により、歯科検診内容に加えて更に詳しい検査(レントゲンによる画像検査など)が必要になる場合や、病気が発見された場合は、別途検査料や治療費が発生することがあるので、実施医療機関に予約する際に、歯科検診内容や、自己負担額、治療を行う場合歯科検診当日なのか後日なのかなど事前に確認した方がよいでしょう。

私の場合ですが、歯科検診の当日は、治療は行わず、治療が必要であることと、治療内容を医師から説明を受けた上で、後日予約を入れて治療を受けました。

全国健康保険協会(協会けんぽ)・歯科検診

次に、全国健康保険協会(略称:協会けんぽ)を見てみましょう。まず、全国健康保険協会とは、主に中小企業などで働く従業員やその家族が加入する健康保険の窓口で、各都道府県に支部が設けられており、地域の加入者や事業主の意見に基づいて生活習慣病の予防など、地域の実情に応じた事業を行っています。

  • (表2)全国健康保険協会(協会けんぽ)・歯科検診
    ※全国健康保険協会の各支部のホームページを参照して抜粋 執筆者作成
    ※平成30年3月25日時点

一方、主に大企業で働く従業員やその家族が加入する健康保険の窓口は、△△△健康保険組合(△△△の中に企業名などが入る)と呼びます。

各地域で実施している歯科検診と同様に、全国健康保険協会や健康保険組合でも歯科検診を実施しています。なお、企業に勤務している方は、地域で行っている歯科検診対象者から除外されている場合もあります。

全国健康保険協会の支部によって、自己負担額は異なり、実施期間も様々です。特徴としては、出張歯科検診といって、歯科医師が申し込みのあった事業所を訪問し、歯科検診を実施するという形をとっている支部もあります。

全国健康保険協会のすべての支部で歯科検診を実施しているわけではないようです。また、健康保険組合でも歯科検診を行っていますので、歯科検診を希望する方は、勤務されている事業所や、自らが加入している健康保険の窓口に問い合わせしてみるとよいでしょう。

終わりに

今回は、歯科検診について調べてみました。ご自身が加入している健康保険や国民健康保険、または、住んでいる地域で「歯科検診」を実施しているのか確認の上、できるだけ時間を作って歯科検診を受けることをお勧めします。歯周病や虫歯を予防し、歯の健康を維持していきたいものです。

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。