幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第54回はタレントのジェシーさんについて(SixTONES)。現在『キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木』(以下、キワドい2人)(TBS系)に出演中です。今、日本では韓国、ご当地、オラオラ、キラッキラ……と多種多様のアイドルが存在しています。まさに戦国時代と言っても過言ではありません。そんな中でもきっちり爪痕を残しているジェシーさんとは何が特徴なのか? モワモワと勝手な妄想を膨らめてみました。

アイドルらしからぬ、たくましき肩幅よ

まずは『キワドい2人』のあらすじを紹介しよう。

池袋署の刑事課に配属された新人・神崎隆一(山田涼介)とバディを組むことになったのは、破天荒な行動で一部では問題視されている黒木賢司(田中圭)。真面目な性格の神崎と果たしてうまくいくのか? と周囲も、視聴者も騒つく中、二人は異母兄弟であることが発覚する。神崎の父を「許さない」と言う黒木の思いとは一体……

金曜22時放送枠は前クールも『機動捜査隊MIU404』で警察官のバディモノを放送していたところから、今クールは刑事課に舞台を移してバディモノに。今回のバディのポイントは見応えのあるイケメン刑事であることだろうか。最近、中年の色気が醸し出てきた田中圭さんに、圧倒的な造形美を誇る山田涼介さん(Hey! Say! JUMP)という眼福コンビ。

特に山田さんに関しては『もみ消して冬』(日本テレビ系・2018年)で演じた、キャリア組の刑事役なのにポンコツな弟というイメージが、今だに残っている。あんなに顔面国宝なのにその臭いを消して、残念な男の雰囲気を出していたのはお見事だった。そして今回も同じく、ちょっと頼りない刑事の役。ここからどんな事件に巻き込まれて、解決していくのか楽しみだ。

さてジェシーさんはこの刑事課で優秀と言われる、諸星一朗役。ひとまわり以上年上の女性刑事とバディを組んでいる。まだ際立った役はないけれど、デスクに座っていたシーンを見てまず思ったのは

「あれ? 黒髪になっている??」

自身のトレードマーク化していた、赤くて明るい髪の色を封印してスーツを着こなして、完全に普通の刑事になっていた。でも際立つのは肩幅が物語る、ガタイの良さである。

全身から湧き上がってくる親しみやすさ、あれは宝

ジェシーさんといえば、まずはガタイの良さが特徴だ。レディースのパンツも履きこなすほどのスリム男子がひしめくジャニーズ事務所の中では、あの大きさが一際目立っている。高身長を生かして男性ファッション雑誌でモデルも務めているらしい。

そのガタイの良さを私……というよりも世間が認識したのは『有吉ゼミ』(日本テレビ系)で、ヒロミさんと組んでいる『八王子リホーム』コーナーだろう。前任のタッキーはあからさまに美形が引っかかっていて、手捌きを見ていても

「ああ、本当にタッキーはDIYが趣味なのねえ」

という印象が強かった。つまり美しさと、職人技術がミスマッチしていたということだ。でもジェシーさんときたら、初回登場からなんの違和感もなく現場に溶け込んでいたことを思い出す。多忙なグループ活動と並行しながら、職人としての役割を完璧に果たしていたのだ。そこには一切アイドルっぽさがなかった。いま、ウチの近所で新築の住宅工事をしているけれど、そこにジェシーさんがいてもなんの違和感もなさそうなほどナチュラルだった。

その職人姿から、彼の存在感を推測する。もちろん彼もイケメンだし、肌もきれいだし……大学の先輩? 幼なじみ? TV局のADさん? とワードを並べて連想して、結果的に私が辿り着いたのは"親戚のお兄さん"。

子どもの頃"親戚のお兄さん"がいた人は、自分にとって絶対的に人気があったことを思い出してほしい。憧れでもあり、大人なのに子どもの目線に揃えてくれる友達でもある。これが山田さんだと、あの美しさにビビって緊張してしまいそうだけど、ジェシーさんなら「ジェシー、公園行こうぜ!」など、普通に言えそうな雰囲気がある。きっと真剣に遊んでくれる。本当に勝手な妄想で申し訳ないが、真剣に考えてたどり着いたイメージに対して、静かに興奮を覚えている。

つまり彼は順応性に長けていると言うことだ。

すぐ鳶職へ転職できそうな技術を披露しながら、ファッションモデルとしてカメラ前に立つ。ステージでファンの前に立てば、あのキラッキラの特殊スパンコールを惜しみなく使用した衣装を纏って、男の顔になる。私はこの原稿を書くために彼のことを多少調べただけではあるが、どこまでも器用な人だと思う。いつかどこかでご一緒したいと願いつつ『有吉ゼミ』はファンなので、引き続き見ようと決めている。