幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第56回は女優の福地桃子さんについて。現在『#リモラブ~普通の恋は邪道~』(以下、#リモラブ)(日本テレビ系)に出演中です。時々、バラエティ番組で見かける、ほわわわわんとした可愛らしさが気になっておりました。勝手な私のイメージですけど、彼女には白ニットがよく似合う。寒さが厳しくなってくるこの季節、そばに置いておきたくなる、ほんのりとした温かさが福地さんには宿っているのです。

バカップルを演じてもナチュラルな人

まずは『#リモラブ』のあらすじを紹介しよう。

産業医として鏑木パルプコーポレーションに勤務する大桜美々(波瑠)。恋愛願望はあるものの、堅すぎる性格が影響をして、なかなか一歩が進めない。自粛を求められた2020年、自宅でゲームを通して知り合った『檸檬』という存在が気になる美々。半年以上のやり取りを続けて、ついにバーチャル片思いの相手が社内の人間だと特定する。

福地桃子

ご時世がそのまま反映されて、出演者全員がマスクをつけて演技をしている『#リモラブ』。どんな雰囲気になるのかと思っていたけれど、この作品、スバリ、面白い。おそらくこの放送帯に企画していたドラマもあっただろうに、急遽変更してコロナ禍をそのまま反映した作品にした、制作サイドの汎用性は素晴らしい。ウイルス=落ち込むイメージを覆してくれた。

波留さんも期待を全く裏切らず、楽しい。美しいひとが真剣にボケるとこんな楽しいアレンジに収まるのだと、思い知らせてくれる。

この作品で福地さんは美々の後輩として働く看護師・八木原大輝(高橋優斗/HIHI Jets/ジャニーズJr.)の恋人・乙牧栞を演じている。父親の経営する居酒屋で働きながら、彼氏のために毎日お弁当を作っているところがいじらしい。

大輝と栞は若さゆえのバカップル。昼休み中も愛情弁当を食べながら、少しでも声が聞きたいのか電話。

「可愛いぞ! このヤロー!!」

なんて言い合うのである。その様子が見ているこちらがニヤッとしてしまうほど、可愛らしいのである。けして、私が年を食ったので大目に見られるようになったわけではない。

実はいい男人気をさらっと獲得していくタイプと予想

バカップルを演じるシーンはたくさん見ているけれど、痛々しさを感じることもある。もう勘弁してくれないかと白旗を挙げたい時も……ある。それが大輝&栞カップルだと何の嫌味もない。

ではなぜ嫌味にならないかと言えば、菊池さんのビジュアルだと予想する。太眉が特徴的で、ドラマ『北の国から』に登場してきそうな柔らかさ。ふわふわ、もちもち。彼女を眺めているとそんなワードが浮かんでくる。

つるんとしたおでこもいい。個人的に「多幸感はおでこに表れる」と他人の額ばかりチェックしているけれど、彼女のおでこはパーフェクト。そのうえ、冒頭でも書いたバラエティ番組で漏れてしまう、天然感。でもそれだけで終わらないということは、意外と彼女がガッツのあるタイプだということをインターネットの情報で知った。

福地さんの存在が知られるようになったのは、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合・2019年)の柴田夕見子役。北海道の奥地に生まれながら、上昇志向があり、北海道大学に進学をした。今思うと、ご本人のキャラと比較しても夕見子風味は全くなかったような。

でもこの役を4回目のオーディションで勝ち取ったという記事を読んだ。真偽はご本人にしかわからないけれど、ただのほんわか娘で終わらない雰囲気を漂わせているのは、ど根性によるものか。

見た目癒し系で、実はガッツあり。この手のタイプの女性は最終的に、いい旦那さまになる男をしれっとさらって行く。この様子を私は幾度なく見送ってきた。これからの女性は、港区女子のようにクルクル髪を巻いて、目をパチクリさせる女ではなく、福地さんのような絶対に譲らない芯を持つ女性を目指した方がいい。最終的にこんな締めくくりで失礼。