白シャツに紺無地のネクタイ。これは2017年に婚約を発表した英国ヘンリー王子が、マスコミの取材で身に着けていたアイテムです。「白シャツ=フォーマル」という認識は世界中に浸透していますが、どんな白シャツでもエレガントに見える訳ではありません。

なぜなら、同じ綿であっても、織り方ひとつで、シャツの印象は別物になるからです。スーツ姿でだらしなく見える人は「生地感の視点」が欠けていただけなのかもしれません。

スーツをパリッと着こなすために必要なブロードのシャツについて、『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)の著者がお伝えします。

  • スーツに合うブロードのシャツ 出典:『真似するだけで印象が劇手によくなる38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)/イラスト片倉航(写真:マイナビニュース)

    スーツに合うブロードのシャツ 出典:『真似するだけで印象が劇手によくなる38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)/イラスト片倉航

スーツによく合う! ブロード織りのシャツ

「ブロードのシャツとは、『ブロード織り』という織り方でつくられたシャツで光沢感があることが特徴です」(本書抜粋)

織り方でシャツの表情は、大きく変わります。織り柄が目立つシャツもあれば、光沢が目立つシャツもあります。なかでも、ブロードの白シャツは、光沢感があるため、かしこまった雰囲気が出やすいのです。そのため、スーツ姿によく合います。

一方、ブロード同様に名が知れている「オックスフォード織り」でつくられたシャツはカジュアルな印象です。ブロードにくらべ、ややゴワつきがありますし、地厚でザラっとしていて光沢がありません。

結果、スーツのエレガントな雰囲気にシャツが負けてしまいます。これは、アイテム同士のドレス感がかけ離れているときに起こる現象です。

  • ブロードのシャツ(左)とオックスフォードのシャツ(右)

    ブロードのシャツ(左)とオックスフォードのシャツ(右)

ブロードのシャツに合う襟型

シャツの生地感は、襟型にまで影響が及びます。「レギュラーカラー」「ボタンダウン」というように、シャツには様々な襟の形がありますが、形によって印象が変わります。

たとえば、ネクタイを締めることが前提となるレギュラーカラーは、ドレス感が高いブロードの生地と相性抜群です。一方、ノーネクタイが前提となるボタンダウンは、カジュアルに寄ったオックスフォードが合うでしょう。

ちなみに、冒頭で紹介したヘンリー王子は、襟が90度開いたレギュラーカラーを着ていました。

ブロードのシャツに胸ポケットは要らない?

日本を含めたアジアでは、ワイシャツの胸ポケットはもはや常識ですが、ヨーロッパでは胸ポケットがないシャツが基本だといわれています。その違いは、ユニクロとH&Mのワイシャツをくらべても明らかです。

日本に本社を置くユニクロでは、胸ポケットは付いていますが、スウェーデンに本社を置くH&Mのワイシャツには胸ポケットが付いていません。胸ポケットは機能的には便利ですが、よりドレス感を高めるためには胸ポケットが無いタイプが好ましいということです。

生地感の視点が芽生えることで、普段何気なく着ているシャツの選び方に幅が出るのではないでしょうか。

著者プロフィール: 森井良行(もりい・よしゆき)

エレガントカジュアル 代表取締役
20代後半から40代の男性のファッションを「エレガントカジュアル」でワンランクアップさせる「服のコンサルタント」。 街のセレクトショップを歩き、顧客に試着を繰り返してもらいながら、その人に最も似合う服を探していく独自の「買い物同行」は9割以上の高い満足度を誇る。

著書『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』 (日本実業出版社)