「今月の目標、達成できるだろうか……」。仕事をする上で、このように結果や成果に不安を抱くことってありますよね。それでは仕事上のコミュニケーションについてはいかがでしょうか。

以下のグラフは、一般社団法人日本ビジネスメール協会が2020年6月に発表した「ビジネスメール実態調査2020」の結果です。

  • 自分のメールに不安を抱くこと(「ビジネスメール実態調査2020」)

自分のメールに不安を抱くことがあるかの問いに、「よくある」(17.98%)または「たまにある」(51.42%)と答えた方の合計が69.4%にも及びます。実に7割近い方が自分のメールに対して何かしらの不安を抱いていることが分かりました。

新型コロナウイルスの影響により、テレワークの普及、そしてコミュニケーションの非対面化が急速に進みました。「正しく伝わるだろうか」「相手に不快感を与えていないだろうか」もし仕事上のコミュニケーションにおいて、日常的にこのような不安を感じているとしたら、とても成果を出すどころではありません。仕事の成果を高めたいならば、今こそビジネスメールのスキルを向上させましょう。

在り方が変わってもコミュニケーションの本質は変わらない

朝、同僚と顔を合わせたら「おはようございます」と声を交わしますよね。取引先から電話が来たら「お世話になっております」と、考えなくても自然と言葉が出るはずです。ところがメールになると「なんと挨拶すべきだろうか」「そもそも挨拶って必要なんだろうか」と悩む方がいます。

挨拶に限らず、自分が書いているメールが正しいか分からずに不安という方も多いはず。まずはビジネスメールの基本を学ぶことです。何が正しいのかを知ることによって、多くの不安は解消されます。

コミュニケーションの在り方が大きく変わり、ビデオ会議システムなどのデジタルツールを活用する機会も増えました。もちろんメールもデジタルツールの一つです。ここで危惧されるのは、いかに上手にツールを使いこなせるかという、その機能面だけに捉われて本質を見失ってしまうことです。

コミュニケーションの基本は「人と人」。アナログだろうがデジタルだろうが、それを忘れてはいけません。コミュニケーションを円滑に進めたい、そう考えるならば見直すべきは礼儀礼節です。

「挨拶って必要なんだろうか」そもそもこんなことを考えるのがナンセンスです。挨拶をする、返事をする、約束を守るなど、当たり前のことが自然とできる。それが礼儀正しい振る舞いです。その上で相手に対する感謝や敬意、配慮などの心を表現できることが礼節につながります。

「型」を身に付けよう - ビジネスメールを構成する7つの要素

その礼儀礼節を体現するための近道は「型」を覚えることです。守破離という言葉にもあるように、まずは基本となる「型」をしっかりと身に付けましょう。すぐには心が伴わなくても、「型」ができれば心は後からついてきます。

ビジネスメールは基本的に7つの要素で構成されています。(1)宛名、(2)挨拶、(3)名乗り、(4)要旨、(5)詳細、(6)結びの挨拶、(7)署名です。(1)から(7)まで順番に書いていきます。これを基本の「型」として身に付けてください。「型」通りに書くことによって失礼のないメールが書けるようになります。

1. 宛名 

相手の会社名や名前。くれぐれも間違いのないように正しく書いてください。会社名が長い場合に略称で書いたり、株式会社を(株)と略したりすることも避けましょう。

2. 挨拶

人間関係は礼に始まり、礼に終わると言われます。ビジネスメールでも挨拶に始まり、挨拶で終わるのが基本。社外では「お世話になっております」、社内では「お疲れ様です」が一般的です。

3. 名乗り

挨拶と同様、名乗りも礼儀として不可欠。自分がどこの誰であるかが相手に伝わるように書きましょう。

4. 要旨

メールを送った目的や用件を書きます。特にビジネスでは結論から述べることが鉄則です。

5. 詳細

要旨に関する詳しい説明や内容を書きます。必要な情報の抜け漏れがないように注意が必要です。

6. 結びの挨拶

最後は挨拶で締めくくります。「よろしくお願いいたします」が一般的です。

7. 署名

送信者の情報です。会社名、名前、メールアドレスだけではなく、住所や電話番号、ホームページアドレスなど、名刺と同程度の情報を記載しましょう。

前回、基本を理解できていなければ、いくら量稽古を重ねてもビジネスメールのコミュニケーション能力が向上することはないとお伝えしました。基本の「型」を身に付ければ、次第に能力は磨かれていきます。

コミュニケーションが不安だと残業も多くなる!?

冒頭で紹介した「ビジネスメール実態調査2020」では、もう一つ興味深い結果が出ています。それは、残業が多いと感じる人ほど、メールに不安を抱く傾向があるということです。悩みながら書くことによって時間がかかっている。正しく伝わらないためにやり取りが増え、メールの通数が増えてしまう。「型」を活用することは、コミュニケーションの効率を高め、残業時間の削減も期待できるのです。

仕事で大きな結果や成果を出す人ほど、礼儀正しく、当たり前のことを軽視しません。仕事は、礼儀礼節を重んじる人に集まってくるのです。