前回のコラムでも触れたパシフィック・コースト・ハイウェイを7時間かけてL.A.から北上した私たち。翌日にアルカトラズ島へ観光に行ったその足で、ヨセミテ国立公園へ向かいました。"ちょっとそこまで"的な感覚で向かったのですが、大変なドライブになってしまいました。それでは、今回はその道のりと世界的に人気の高いヨセミテ国立公園をご紹介します。

サンフランシスコからヨセミテ国立公園への道

私たちは、16時過ぎにサンフランシスコを離れ、ヨセミテ国立公園へ向かった。だんだん何もない田舎道になっていく。途中は畑・農場・牧場そして畑、というような風景だった。オレンジやとうもろこしが植えれられていたり、牛・馬などがのーんびり過ごしている。鹿2頭が車の前を横切るのを見て、「アメリカって広いなー」とつくづく思い、車を走らせた。

ヨセミテ国立公園まで約80マイルのところに町があった。時間は20時過ぎ。ご飯でも食べようかと思ったが、地図を見ると他にもいくつか町もあったし、80マイルとはかなり遠い、先へ向かった。22時前、モーテルやレストランが数軒ある町を通った。ここでケリをつけておけば良かったのに「寝袋持っているし、最悪車で寝ればいいか」と思い、ここでも先へ。ヨセミテ国立公園まであと5マイルのところにまた数軒モーテルやホテルがあったので、ここで停止し、値段を聞いてみる。「1部屋あるよ。1泊95ドル」。キャー、激高! という事でお断りし、ヨセミテ国立公園まで行ってみた。

ヨセミテ国立公園の中にはキャンプ場がいくつかある。その中の1スペースぐらいは空いているだろうと思ったからだ。しかし、どこに聞いても「Full(空きなし)」とのこと。結局1時間ぐらい公園内を聞いて回り、さっきのモーテルへ戻ってきた。「あの部屋残っている?」と聞くと、「なくなっちゃったよ」と一言。結局、来た道を引き返すことに。15分ぐらい戻ったところにキャンプサイトがあったので、入ってみる。オフィスらしき建物には電気がついている。「今日泊まれる? 」と聞くと、「1つだけテントキャビンが残っているよ。30ドル」と。あー、良かった。こうして、私たちはやっと寝る場所にありつけたのだ。

テントキャビンです。ずっと向こうまで続いています

テントキャビンとは、ロッジの壁が丸太ではなく、ビニールシート(テント)でできた小屋。つまりテントより丈夫だが、ロッジよりもろいという感じのものだ。その中には、電気とベッドが1つ。毛布が置かれていたけれど、結構寒かったので寝袋に入り、ベッドの上で寝た。いやはや、面白い体験をした。しかし、実際に行かれる方はヨセミテ国立公園内または近くのキャンプ場を事前に予約して行くほうが無難だろう。

時間がない人にお勧め! ヨセミテ国立公園内トラムツアー

翌朝、早速ヨセミテ国立公園へ向かった。10時ぐらいにヨセミテゲート手前にあるビジターセンターに到着したので、そこで情報収集。そこで「1日しか滞在しないなら簡単に概要が見られるトラムツアーがいいよ」と言われ、12時から約2時間の「バレー・フロアー・ツアー(大人22ドル・子ども11.50ドル)」に申し込んだ。パーキングが混んでいて、遠くにしか停められなかったため、ツアー出発のぎりぎりで集合場所へ。そこからトラムに乗って出発した。

まずは、ヨセミテ国立公園の概要をガイドさんから説明を受ける。ヨセミテ国立公園は1890年に国立公園に指定され、1984年に世界遺産に指定、アメリカでは最も観光客に人気のある国立公園の1つだという。そんな話を聞きながら、バレー・ビュー・ポイント(Valley View Point)に到着。透き通ったマセード川を背にヨセミテ国立公園で有名なエル・キャピタンやカセドラルスピアズ、ブライダルベール滝を見ることができる場所だ。ヨセミテ国立公園に行ったら、絶対に外せないポイントだ。公園内は宿泊者のみ立ち入り可能な場所も多く、川があっても宿泊をしない旅行者が川で遊べるところは少ない。その中で、このバレー・ビュー・ポイントは非常に遊びやすく、とてもいい場所だった。

左)バレー・ビュー・ポイントからの眺め
右)マセード川でのんびりしている鳥

次にトラムは、トンネル・ビュー・ポイント(Tunnel View Point)へ。ここは、ツアーの出発地点や多くのキャンプサイトやロッジのあるヨセミテ・バレーと呼ばれるエリアより高い位置にある。ここは、左にエル・キャピタン、右にカセドラルスピアズ、そして真ん中にハーフドームという、ヨセミテ3大岩が、一気に見ることができる贅沢なポイントなのである。雄大な風景を目の前に、ずっとここにいたいような気がした。トラムはその2つのポイントを巡って、出発点へ戻った。約2時間でヨセミテ国立公園の概要を知ることができ、かなりお得なツアーだと感じた。

トンネル・ビュー・ポイント。左がエル・キャピタン、右がカセドラルスピアズ、そして真ん中がハーフドーム

ブライダルベール滝。私たちが行った時には、こんなに水がなかったです。(C)2006 Walter Siegmund

それでは、次回は他のヨセミテの見所をご紹介していきます。お楽しみに~。

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:ヨセミテでできるアクティビティ
ヨセミテでは様々なアクティビティができる。簡単なトレッキングから、サイクリング、魚釣り、バードウォッチング、ホースライド、夏はカヌーやラフティングなどのウォータースポーツ、そして冬はスキーやスノーボードなど……。とにかく1年中、どんなスポーツでも出来るというわけだ。またヨセミテは、切り立った岩が多いことからロッククライマーの憧れの場所とも言われている。下から岩を見上げていると、上の方に、小さく動いている人を見つけることができる。自分はしなくても、その人たちの冒険を考えるだけでも、なんだかワクワクしてくる。
アクセス情報
最寄りの国際空港:サンフランシスコ国際空港 日本からの直行便あり。10時間。サンフランシスコから公共交通機関でアクセスする場合は、ヨセミテの北西マセードまでグレイハウンドまたはアムトラックで行き、そこからヨセミテ行きのシャトルバス「YARTS」に乗り換える。所要時間約6時間。レンタカーの場合、サンフランシスコから約5時間。I-580East→I-205East→I-5North→CA120と進む。様々なツアー会社がヨセミテへの1日ツアーを催行しているので、それを利用するのが一番便利。
周辺観光地
サンフランシスコ・セコイア国立公園・キングスキャニオン国立公園・デス・バレー国立公園など