テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、1日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第42話「北野大茶湯」の視聴分析をまとめた。

  • 仲野太賀=『豊臣兄弟!』第42話より (C)NHK

    仲野太賀=『豊臣兄弟!』第42話より (C)NHK

「あの時、直さんが助けた娘がこの子の母親じゃ」

最も注目されたのは20時21分で、画面注目度70.1%。秀長(仲野太賀)が、直(白石聖)とゆかりのある鍋丸(福田龍世)と対面するシーンだ。

黄金の茶室で、豊臣秀次(山田涼介)が秀吉(池松壮亮)に茶を供していると、外がにわかに騒がしくなった。先だって秀吉の発布したバテレン追放令を恨むキリシタンが秀吉の命を狙ったのだ。賊は石田三成(松本怜生)に斬られたが、家臣たちは周囲の警戒に向かった。とも(宮澤エマ)と長尾吉房(上川周作)がやってくるが、突然の出来事にうろたえている。

そこへ三成が1人の少年を連れてきた。秀次が戸惑う少年を厳しく問い詰める。「待て! この子は違うんじゃ」「はっ? どういう意味じゃ」吉房の言葉に秀吉が怪訝な顔をする。どうやら少年は吉房の知る者のようだ。「鍋丸!」と、少年を呼ぶ声がした。声の主はかつて中村で百姓仲間だった玄太(高尾悠希)だった。「玄太か!」「あの玄太か!」突然現れた昔馴染みに、秀長と秀吉が声を合わせて驚く。ともも目を見開いている。一同は久々の再会を喜び合う。

「どうじゃ、天下人の茶は」「どうもこうも、胸がいっぱいで味など分からんわ」秀吉が玄太に茶を振舞うと、玄太は今も中村で田畑を耕しているという。今日は吉房から茶会のことを聞いてやってきたそうだ。「おう。で、その子は一体…」秀吉が鍋丸のことを尋ねる。すると玄太と吉房が顔を見合わせて姿勢を正す。「直さんが助けた子がおったのを覚えておろう」秀長も秀吉もその名を忘れたことはない。「あの時、直さんが助けた娘がこの子の母親じゃ」吉房によると、娘はその後、直の父である坂井喜左衛門(大倉孝二)に引き取られて育ち、やがて鍋丸を産んだということだった。

「そのようなこと、なぜもっと早く話してくれなかったんじゃ?」秀長の問いに、吉房は直のことでいつまでも縛ってはいけないと考えた喜左衛門に口止めされていた、と答えた。しかし、鍋丸の両親は早くに亡くなっている上に、喜左衛門も先日息を引き取ったという。まもなく元服を迎える鍋丸にいい奉公先を見つけてやりたいと考えた玄太は、藁にも縋る思いで秀長を訪ねて来たという訳だ。

玄太と吉房、鍋丸が一斉に頭を下げる。「頭を上げてくれ、古い仲ではないか。無論じゃ。屋敷での人使いは慶が取り仕切ってるゆえ、今晩話してみる」3人に安堵の表情が広がる。「吉房殿、玄太。こうして鍋丸に会わしてくれたこと、礼を申すぞ」秀長は万感の思いを込めて頭を下げた。

  • 『豊臣兄弟!』第42話の毎分注視データ推移

    『豊臣兄弟!』第42話の毎分注視データ推移

「坂井様にしてみれば娘の忘れ形見で孫みたいな存在だったんだろうね」

このシーンは、直の救った娘の忘れ形見である鍋丸と秀長の出会いに、視聴者が注目したと考えられる。

秀吉が秀長の反対を押し切って開いた北野大茶湯は武士や町人、百姓といった身分を問わず、多くの人々に門戸を開き大盛況となった。秀吉を狙う暗殺者という招かれざる客も現れたが、兄弟は思わぬ出会いを果たした。それは秀長の許嫁であった直が野盗から救った娘の息子・鍋丸だった。

鍋丸は直の父・坂井喜左衛門によって立派に育てられていた。直の紡いだ思わぬ縁に秀長は強く胸を打たれた。

SNSでは「坂井様にしてみれば娘の忘れ形見で孫みたいな存在だったんだろうね」「鍋丸くんが素直ないい子に育っているのを見ると坂井様にも玄太にも可愛がられていたんだろうな」「直さんとの縁は切れていなかったんだね。感慨深いな」と、鍋丸の存在が話題となった。

史実において秀長は、1588(天正16)年に姉・ともの三男であり、甥にあたる豊臣秀保を養子に迎えている。鍋丸はともの息子ではなく、時期も1年ほどずれているが、おそらくは後の秀保なのだろう。秀保は秀長が1591(天正19)年に死去すると跡を継いで大和郡山城主となった。藤堂高虎(佳久創)と桑山重晴(住田隆)が後見人を務めたと伝わっている。しかし、1595(文禄4)年に秀保は急死し、跡継ぎのなかった大和豊臣家は断絶となった。