石原さとみ主演、野木亜紀子脚本で描くフジテレビ系ドラマ『ポリティカルパン』(毎週水曜22:00~)の第5話が、4日に放送された。

今回は、これまで謎に包まれていた弥生(石原)と将門(高橋一生)、そして情報屋・乾(渡部篤郎)の過去が明らかに。似た境遇で育ちながら政治への思いが正反対となった弥生と将門、25年前の因縁を抱える乾。3人の過去が現在の駆け引きをどう変えるのか、野木亜紀子脚本の巧みな構成を読み解きたい。

  • (左から)高橋一生、石原さとみ (C)フジテレビ

    (左から)高橋一生、石原さとみ (C)フジテレビ

【第5話あらすじ】総裁選で選ばれたのは…

大泥棒・如月弥生(石原さとみ)に協力する情報屋・乾(渡部篤郎)は、政治資金パーティーの金を盗むため、ある政治団体の口座を利用していた。それは国自党副総裁・小早川士郎(草刈正雄)にとって、25年前の因縁につながる、掘り起こされたくない口座だった。

年が明け、国自党内では秋の総裁選に向けた駆け引きが始まる。総理の座を守りたい風祭大治(岩松了)や、次期総理を狙う岩倉憲之助(酒向芳)らに翻弄される金庫番議員・夏目将門(高橋一生)。次期官房長官に抜てきされるとの噂を聞いた弥生は、将門を焼き鳥店でのデートに誘う。

将門の好物「シロ(豚の腸)」を事前に調べていた弥生だが、それは母子家庭で貧しく育った将門が、スーパーで働く母に買ってもらった思い出の味だった。母が病に倒れ、食べ物もない中で看病を続けていた少年時代、近所から漂うカレーの匂いをきっかけに、人に助けを求めることを知ったという。

一方、弥生も父のDVから逃れ、シェルターで暮らした過去があった。行き場を失った家族たちとの共同生活も立ち退きを迫られ、助けを求めた政治家からは「私にお願いするなら献金ぐらいしないと」と言われてしまう。これが政治家を憎むきっかけとなった。

対照的に、生活保護を受けて勉強し、官僚になった将門は「政治に救われた」と語る。似た境遇に親近感を抱いた弥生だったが、政治への思いの違いを知り、心が離れていく。

そして総裁選では、さまざまな思惑をよそに、玉矢(香取慎吾)という完全な“大穴”の人物が選ばれる。

  • 香取慎吾 (C)フジテレビ

    香取慎吾 (C)フジテレビ

好物の調査は満点、デートの読みは外れた

今回、弥生は将門を路地の焼き鳥店に誘った。次期官房長官候補と噂の男を相手に、好物のシロまで調査済み。さすがは大泥棒、店選びに抜かりはない。読み違えたのは、人の方だった。

弥生は、シロが好きというのも「庶民派のフリ」かと皮肉る。ところが将門にとっては、スーパーで働く母を迎えに行くたび、店先で一本買ってもらえた思い出の味だった。政界での評判を気にするより、ずっと前から好きだったのだ。好物は聞き込めても、思い出にまでは聞き込みが及ばなかった。

将門の昔話には、もう一つ、忘れがたい食べ物が出てくる。母が倒れ、水しか口にするものがなかった頃、近所から漂ってきたカレーの匂いだ。よその家では、いま夕飯を作っている。そこには人がいる。助けを求めてもいいのだと、少年はようやく気づいた。母との記憶は一本のシロの味で残り、母子だけで閉じていた家には、よその台所から風穴が開く。食べられなかったカレーの方まで、こちらの記憶に残る。