「これ、いけるんじゃないの?」――フジテレビ系ドラマ『波うららかに、めおと日和』(毎週木曜22:00~)で演出を手がける平野眞監督は、続編制作のきっかけを尋ねられると、前作の放送後のロケ現場で交わされた会話を振り返った。

2025年の放送で人気を博し、約1年を経て続編がスタートした同作。夫婦となったなつ美(芳根京子)と瀧昌(本田響矢)の初々しい関係性を保ちながら、昭和という時代の変化も少しずつ色濃く描いている。

視聴者に愛された世界観をどう守り、どのように新たな物語を生み出しているのか。平野監督と宋ハナプロデューサーに、続編誕生の舞台裏と制作のこだわりを聞いた。

  • (左から)芳根京子、本田響矢 (C)フジテレビ

    (左から)芳根京子、本田響矢 (C)フジテレビ

前作放送開始からすぐに続編計画が浮上

続編制作の話が持ち上がったのは、前作の放送が始まって間もない頃だった。平野監督によると、放送された翌日、駅のホームでロケを行っていた際、スタッフやキャストの間に、思いがけない盛り上がりが生まれていたという。

「みんながざわざわして、“これ、いけるんじゃないの?”みたいな話になって。それで、宋Pに“どう?”って話したんです」

宋Pも当時、「1話より2話、2話より3話」と回を重ねるごとに反響が大きくなり、キャストやスタッフが実感できるほどだったと回想。平野監督と「もしかしたらできるのかな」と、続編の可能性について話していたそうだ。

平野監督は「大ヒットはしなくてもいいけど、人気がなくなるのは嫌だなと思いながらやっていた」と当時の心境を告白。大きな事件が起きない珍しいドラマを、視聴者が受け入れてくれたことが何より大きかったという。

そんな作品の続編を作るにあたって、宋Pが大切にしたのは、なつ美と瀧昌の関係性だった。夫婦として成長していても、相手を思う初々しい気持ちは変わらない。そのバランスを保ちながら作りたいと、平野監督と話し合ったことを明かした。

  • (C)フジテレビ

    (C)フジテレビ

変わらない夫婦の初々しさ、色濃くなる戦争の影

視聴者から愛された世界観を守る一方、続編ならではの新鮮さも必要になる。前作から意識的に変えた部分と、絶対に変えなかった部分を尋ねると、平野監督は「基本的には変えていません」ときっぱり答えた。

夫婦の距離感は脚本にも表れており、演じる芳根と本田もその変化を理解している。制作側が無理に新しい関係性を作ろうとすることは、ほとんどないという。

ただし、前作以上に意識していることがある。それが、2人を取り巻く時代の変化だ。

「やっぱり戦争が近いということは、前よりは意識しようかと話していますね」(平野監督)

昭和12年を舞台にした続編では、戦争の影が少しずつ人々の日常に及び始める。時代を一気に先へ進めるのではなく、その時代に暮らす人々が戦争を感じる瞬間を描こうとしている。

原作の物語を大切にしながら、どこまで時間を進めるのかについても、制作陣で話し合いを重ねてきた。

宋Pは、前作では戦争の影がわずかに見える程度だったものの、時間が進んだ続編では、人々が日々の暮らしの中でそれを感じる機会も増えているはずだと考えた。

「なつ美が生活する範囲と、瀧昌が仕事をしている範囲では、戦争を感じる部分はちょっと違うと思うんです」(宋P)

海軍に勤める瀧昌と、家庭で暮らすなつ美。同じ時代を生きていても、それぞれが目にする景色は異なる。

2人がただ結婚生活を楽しむだけではなく、その時代を生きる夫婦だからこその思いも伝えたいという宋P。恋愛の温かさと、次第に変化する時代背景のバランスを取りながら物語を紡いでいる。

また、前作が互いを知っていく中での感情の動きを中心に描いていたのに対し、続編では周囲の環境の変化や、夫婦として成長を実感する出来事を意識的に盛り込んでいるという。

「2人がお互いだけじゃなくて、夫婦として家族になっていく感じを作って届けられるようにしています」と宋P。夫婦の関係を描く視点が、少しずつ広がっている。

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