「テレビコンテンツが面白くないわけではなく、たまたまその時間にテレビを見る習慣がないだけかもしれない」――TVerの齋藤祥平サービス本部長は、若年層の“テレビ離れ”について、こう語る。

サービス開始から11年で10月の月間ユーザー数は5,000万MUBを突破する見込みで、ヒットドラマだけでなく、バラエティ番組の再生数も大きく伸びているというTVer。その背景には、タレントをきっかけとした“推し活”視聴や、スポーツからバラエティへの視聴ジャンルの広がりがあるという。

テレビコンテンツの価値をどのように高め、地上波放送とともに成長していくのか。齋藤氏にTVerの現在地と将来像を聞いた――。

  • TVerの齋藤祥平サービス本部長

    TVerの齋藤祥平サービス本部長

バラエティ伸長の背景に“推し活”視聴の広がり

ユーザー数、再生数の記録を更新し続けるTVer。この要因としてまず挙げるのが、配信ジャンルの広がりだ。

2026年はミラノ・コルティナオリンピックなど、様々な大型スポーツ大会の配信が実現したことで、新規ユーザーの獲得につながった。全番組における単一エピソードの8日間再生数で、第1話が887万回という歴代最高記録を更新した『VIVANT』(TBS)を筆頭にドラマも引き続き好調だが、加えて注目されるのはバラエティ番組の伸長だ。

一つの要因となっているのが、タレントをきっかけとした“推し活”視聴。そんな視聴形態がTVer内で活発化してきたことを踏まえて、好きなタレントをお気に入り登録すると出演情報がLINEで届くといった、ユーザーの動向に合わせた新機能を提供している。

これが効果を発揮し、「今まで見たことがない番組でも、好きなタレントが出演するから見ようとなるので、そうしたところで新しいバラエティの視聴が伸びています」(齋藤氏、以下同)とのことだ。

再生数の底上げについては「伸びしろはまだあると感じています」といい、さらなる成長に向け、「今800万再生のものを1,000万、2,000万再生にすることも、もちろん狙っていきます。ただ、次のステップとしては、もう少し裾野を広くして、平均の再生回数がどんどん上がっていくことも大事ではないかと思います」と、大ヒット作を伸ばすことと、幅広い番組の視聴を増やすことの両立を掲げた。

背景にSNSの切り抜き動画、新機能「シーン」の狙い

ユーザーの視聴頻度を高めることも成長につながる。例えば、サッカー日本代表の試合がある時だけTVerを利用するユーザーが日常的にバラエティも視聴するようになれば、「一人が見るジャンルや番組が増えることで、まだまだ再生数は積み上がっていくと思います」と期待を寄せる。

そうした中で力を入れるのが、新しい番組との出合いを生み出すこと。11月以降にリリース予定の新機能「シーン」は、番組の印象的な場面を起点に次々と視聴でき、気になった作品はそのまま本編再生に進めるというものだ。

「たくさんの番組が対象になる想定」とした上で、ベストシーンはAI推薦を含めた様々な方法で選出。段階的に一人ひとりにパーソナライズしていくことも想定している。

投入の背景の一つにあるのは、SNSや動画投稿サービスで拡散・再生されているテレビ番組の切り抜き動画だ。齋藤氏は「切り抜き動画を見ている人は、それが違法かどうかを意識して見ているというより、たまたま流れてきたものを見ているのだと思います」と指摘。テレビ番組の面白い場面が広く知られても、それがどの番組なのか認識されなければ、次の視聴にはつながりにくい。

そこで、「TVerの『シーン』機能で面白いところから見て、“これは○○っていう番組なんだ”と知ってもらえれば、次の回も見てもらえるかもしれない。そういう引っかかりを一つでも作ることができたら、まだまだユーザーは増えると思っています」と狙いを語る。

  • 11月以降リリース予定の新機能「シーン」

    11月以降リリース予定の新機能「シーン」