石原さとみ主演、野木亜紀子脚本で描くフジテレビ系ドラマ『ポリティカルパン』(毎週水曜22:00~)の第4話が、28日に放送された。
泥棒を困らせる政治資金パーティーのキャッシュレス化、師匠との思わぬ争奪戦、そして1,000万円を手にしたことで深まる新たな謎。単なるコンゲームでは終わらない、野木亜紀子の脚本の面白さが存分に味わえる回となった。
【第4話あらすじ】負けて手ぶらでは帰らない女・弥生
度重なる現金の紛失事件で、如月弥生(石原さとみ)が泥棒なのではないかと疑いを深める国自党の金庫番議員・夏目将門(高橋一生)。果たして彼女はどんな人間なのかと思いをはせる。
国自党に入党した小早川雅(河合優実)は、街頭インタビュー番組に声を掛けられ、テレビで国会議員の年収を「だって調べれば分かるもん」と赤裸々に明かしてしまい、結果、「税金泥棒」という苦情が殺到、対応に追われる。
その番組を見ていた弥生の泥棒の師匠・琥珀(山口紗弥加)が乾のアジトに現れる。
そんな中、雅が国自党副総裁の父・士郎(草刈正雄)の政治資金パーティーに参加することに。同行した弥生は、裏金事件を機に法改正が行われ、現金での支払いがなくなったことを知り、落胆する。
だがそこで将門の甥で秘書でもある、花園銀二(川西拓実)と遭遇。実はその場で現金が集まるパーティーもあるという情報を入手し、盗むべく策を練る。だが銀二は、将門が放った弥生を誘い出すためのスパイで、その情報は餌。銀二の報告から、弥生が犯人ならば絶対に乗ってくると確信した夏目は、止めるべく立ちはだかる。
そしていざ、そのセミナーという名の献金パーティーへ潜入。華やかな空気の中、お金が運び込まれるであろう控室を弥生が視察した結果、隠しカメラなどさまざまな防犯対策が。弥生はここで自称・大泥棒の意地を見せ、ブレーカーを落とし、暗闇となった会場で暗視メガネを装着し、控室に向かう。
次々と無力化されていく防犯システム。だが、それをやったのは実は琥珀だった。弥生は琥珀にまんまと金を盗まれてしまったのだ。
だがただでは転ばないのが弥生。実は事前にチラシを入れ替えており、振込口座を足のつかない口座に変えていたことで、1000万円のお金を見事、手に入れることに成功。実は与党にはこういった口座が膨大にあり、その口座を誰が管理しているかは、誰も分からなかったのだ。だがその足のつかない口座を用意していたのは、乾(渡部篤郎)だった。弥生は思わず訊く。「…あんた、(本当は)何者…?」と──。
キャッシュレス化に泣く泥棒、収入公開で叩かれる議員
現金払いがなくなったと聞いて、肩を落とす人がいる。会計担当者ではない。泥棒である。
『ポリティカルパン』第4話で、如月弥生を困らせたのは、頑丈な金庫でも優秀な警備員でもなく、支払い方法の変更だった。雅に同行した政治資金パーティーでは、法改正によって現金払いがなくなっていたのだ。金庫を開ける腕があっても、中身が振込済みでは仕方がない。大泥棒の技術にも、対応していない決済方法があるらしい。
その雅は、テレビで議員の年収を明かし、「税金泥棒」という苦情への対応に追われていた。泥棒と呼ばれた議員が謝り、本物の泥棒がその秘書として給料をもらっている。このユーモラスな展開には、思わずニヤリとしてしまった。
雅の「だって調べれば分かるもん」も、もっともだ。以前から公開されていた数字が、テレビで分かりやすく紹介されただけ。それで世の中は、蜂の巣をつついたような騒ぎになる。新事実が発覚したわけではないし、本当に調べれば分かる。
「自分が今知ったこと」が、いつの間にか「今まで隠されていたこと」のような顔で拡散される。公開情報も、見せ方ひとつで燃料になる。野木亜紀子の脚本は、雅の不用意な受け答えに、SNS時代の厄介な可笑しさも忍ばせている。
一方、商売の先行きに曇りが見えた弥生には、銀二から、現金が集まる別の催しの情報が届く。だが、それは将門が用意した餌だった。おいしい話には裏があると、泥棒なら誰より知っていそうなものだが、おいしい話を避け続けても泥棒の仕事にはならない。虎穴に入らずんば虎子を得ずの言葉通り。しかも弥生にはその自信があったのだろう。なんとも、頼もしい限りだ。
そして、この現金をめぐる攻防の末に、弥生が1000万円を手にする方法は、振込先のすり替えだった。現金払いの廃止に落胆していた女が、振り込みを使って稼ぐ。社会の変化を嘆いていたわりに、適応が早い。
金庫へ入った金が盗めないなら、入る前に行き先を変えればいい。必要だったのは、より高度な金庫破りの技術ではなく、チラシの差し替えだった。厳重な防犯対策の横を、印刷物がすり抜けていく。この勝ち方が、なんとも人を食っている。

