その存在感と王道の脚本・演出は救命救急ドラマのバイブルと言っていいのではないか。現在『救命病棟24時』(フジテレビ系)の第6シリーズが放送され、ファンを喜ばせている。

あらためてシリーズを振り返ると、第1弾が放送されたのは今から27年前の1999年。以降01年に第2シリーズ、05年に第3シリーズ、09年に第4シリーズ、13年に第5シリーズが放送されてきた(※FODで配信中)。ほぼ4年に1度のペースで放送されてきたが、今回は13年ぶりの復活であるにもかかわらず、変わらぬ支持の声を集めている理由は何なのか。

ドラマ解説者・木村隆志が作品のベースとなった第1シリーズからその理由を探っていく。

  • 『救命病棟24時』第1シリーズ (C)フジテレビ

    『救命病棟24時』第1シリーズ (C)フジテレビ

第1話では5人の急患が搬送された

以下1話のみネタバレしながら『救命病棟24時』のポイントを見ていこう。

物語はクリスマスイブの夜、救急医研修生の小島楓(松嶋菜々子)が初出勤の途中で事故に遭遇するシーンからスタート。楓はトラックに積み込まれた鉄パイプが滑り落ちて胸を貫通した作業員の救急搬送に付き添い、救命救急センターに到着してすぐに進藤一生(江口洋介)が対応して一命を取り留めるが、何の役にも立てなかった。

ほどなく次の患者・青山(長江英和)が運ばれてくる。腹痛だが、X線を見た脳神経外科医の堺(杉本哲太)は「コンドームに薬物を詰め、飲み込んだってとこだろう」と診断。妊婦のようにいきませて排泄させ、事なきを得た。救命救急が舞台のため、当時人気を二分していた『ナースのお仕事』(フジ系)ほどではないが、時折コミカルなシーンを入れてシリアスになりすぎないようバランスを取っている。

さらに自殺未遂を繰り返す良子(鈴木砂羽)が搬送され、楓の同級生だったため縫合を担当するが拒絶されてしまう。

そして最後に運ばれてきたのは、一家心中で一酸化炭素中毒の父娘。懸命な心臓マッサージをするが父親は亡くなってしまい、楓は7歳の少女にそれを告げる役割を任されたがそれすらできなかった。

このような「患者を救えない」という厳しい現実を見せるシーンも当作の魅力。「高い技術と不屈の魂を持つ進藤ですら命を救えないシーンがある」という点で、スーパードクターの活躍に全振りする医療ドラマとは一線を画している。

1話で5人の急患が運ばれたことから番組の構成がわかるのではないか。基本的に医療ドラマは各話にメインの患者が1人いるが、『救命病棟24時』は次々に急患が運ばれ、同時進行で治療していくケースも多い。まるで戦場のような気の抜けない緊迫感に引きつけられる。

第1シリーズを見て気付かされたのは、急患が運ばれてくるたびに時刻がデジタル表示されていたこと。「24時」というタイトル通りの緊迫感が画面から伝わってくる。このわかりやすく訴求できる演出は復活させていいところかもしれない。

治療に加えて家族や恋人などを絡めた人間ドラマも描かれるため、アッという間に1話約45分間が過ぎていく。13年ぶりの続編でも支持を集められるのは、そんな密度の濃さを保っている証であり、この点が失われない限り今後もシリーズを続けていけるだろう。