「危うく涙がこぼれそうになって…それを我慢するのが本当にしんどかったです」――TBS系日曜劇場『VIVANT』(毎週日曜21:00~)で別班員・和田貢を演じた平山祐介が、第20話で描かれた壮絶な最期の撮影秘話を明かした。息絶えた和田に乃木憂助(堺雅人)が「日本に帰るぞ」と語りかけた場面では、堺の熱演に胸が熱くなり、必死に涙をこらえていたという。

  • 平山祐介

    平山祐介

約100kgから75~76kgを目標に「“別班作り”のような感覚」

第1シーズンでは、乃木に撃たれて病院に搬送され、第2シーズンでは敵に拉致されるという過酷な運命をたどった和田。台本で自身の最期を知った平山は、当初「あ、またこんな感じか」と思ったそうで、「別班員らしい活躍ができる場はないのかな」「いよいよ見せ場があるんじゃないか」という期待もあったという。

しかし、「これが『VIVANT』における我々、別班の存在意義なんだと受け止めました」と心境を説明。「1人だけ最期を迎えるところまで台本にしっかりと描かれていました。和田としての見せ場は『ここだな』と感じたので、それをどう表現できるかだけに集中して撮影現場にいようと決めました」と覚悟を振り返った。

役作りも徹底していた。直前の仕事で体を大きくしており、体重はほぼ100kg。第1シーズンの和田を演じた際は84~85kg程度だったが、今回は十分な食事を取れない状態が続く設定のため、75~76kg前後を目標に体作りに取り組んだという。

平山は「なかなかハードでしたが、『よし、やるか』という気持ちでした」と回想。「それは単なる役作りというより、“別班作り”のような感覚でした。自分は不器用なタイプなので、実際に苦しい状況に身を置いたほうが、現場でもいい仕事ができると思ったんです」と明かした。

撮影現場でも役の状態を保つことを意識し、昼休憩以外はほぼ一日中、床に寝転がっていたという。「今回は他のメンバーとも会話をせず、『隣に仲間がいるな』と気配を感じる程度にしていました。床に溶け込んでしまうくらいの気持ちで、セットに居続けたんです」と、徹底した役への向き合い方を語った。

「思わず素の自分に戻りそうになるくらい胸が熱くなりました」

そんな平山にとって、特に忘れられないのが、息絶えた和田のもとに乃木が駆けつけるシーンだ。

「息を止めて体も一切動かしてはいけない」と、完全に息絶えた状態を作っていた平山。その静寂の中で乃木が近づいてくる足音が聞こえると、「音を聞いているだけで、乃木さんが和田を見つけて、何かしらの感情を抱きながら駆け寄ってくるのが伝わってくるんです。歩いてくる空気感そのものに、乃木さんの感情がものすごく乗っているんです」と、堺の演技に圧倒されたことを明かす。

そして、堺が目の前で立ち止まり、「よく耐えたな、立派だ」と語りかけた瞬間、「思わず素の自分に戻りそうになるくらい胸が熱くなりました」と振り返る。さらに「日本に帰るぞ」と声をかけられた際には、「危うく涙がこぼれそうになって…それを我慢するのが本当にしんどかったです」と打ち明けた。

和田としては死んでいるため、表情も体も動かしてはいけない。それでも俳優としての平山は、堺の芝居に強く心を動かされていた。「『早くカットがかかってくれないかな』と思いつつ、『この空気のまま、ずっと乃木さんに抱かれていたい』とも思っている。真逆の感情がせめぎ合っていました」と、当時の複雑な心境を語った。

撮影が終わると、堺は自ら和田を拘束していた縄を外すのを手伝ってくれたという。平山は「同じ作品を背負う役者仲間としての堺さんへの信頼や感謝と、同じ別班員を演じる乃木と和田の関係性が重なって、一緒に仕事をさせてもらえて良かったなと感じました」と感謝をにじませた。

放送を見て「えづくほど泣いてしまいました」

撮影中は涙をこらえた平山だったが、第20話の放送を見た際には、当時の感情が一気によみがえったという。

「乃木さんの表情を見て当時の感情がぶわっとよみがえってきて」と振り返り、放送直後にはTBSラジオ『VIVANT 悪役会議室』への出演が控えていたため、和田の気持ちをもう一度たどっていたと説明。「『死んだ後に乃木さんが来てくれて、みんなも助かったんだ』と思ったら、ちょっと恥ずかしいくらい、えづくほど泣いてしまいました」と告白した。

一方、別班員を演じる共演者たちとの間では、役の在り方について細かく話し合うことはなかったという。第1シーズンのモンゴルロケでも、ほぼ毎日のように食事をともにしていたが、別班について意見をすり合わせる必要はなかったそうで、「それぞれが徹底的に準備してきているのが伝わっていましたから。言葉を交わさずとも、一緒にいれば自然と別班のチームになれる」と、互いへの信頼を語った。

和田の最期への反響も想像以上だったという平山。SNSでは「実は生きているんじゃないか」という考察まで寄せられ、「こちらが驚いて『あれ、和田ってまだ生きている?』と思ってしまうくらい(笑)」と、その熱量に圧倒されたことを明かした。

「テレビドラマって、まだまだこれだけやれるんだ」

平山は『VIVANT』の魅力について、放送後の1週間に視聴者のさまざまな考察が飛び交うことを挙げ、「作り手の思いと視聴者の皆さんの熱量が合わさって、凄まじいスピードで巨大なうねりになっていく。それこそが『VIVANT』の醍醐味だと感じます」と分析。自らも作品を作る側でありながら、「一緒にブンブン振り回されている感覚がありますね」と笑う。

俳優同士も、出番の多さに関係なく、現場では「絶対に負けたくない」という気持ちでぶつかり合っていたそうで、「仲間としての心強さもありつつ、役者としては真っ向からぶつかり合う。そういった高い緊張感があるからこそ、全員が引き上げてもらえたのだと感じています」と振り返った。

そして、作り手と視聴者が一緒になって作品を盛り上げていく様子に、「テレビドラマって、まだまだこれだけやれるんだ」という手応えを実感したという。

第2シーズンも残すところあと2話。「僕自身も一視聴者として楽しみにしています。ぜひ皆さんも、放送を見ながら物語の展開に思いっきり振り回されて楽しんでいただきたいです」と呼びかけた。

【編集部MEMO】
平山祐介
1970年11月15日生まれ、埼玉県出身。俳優・モデル。2003年のドラマ『Dr.コトー診療所』をはじめ、『海猿』シリーズ、『コウノドリ』『MOZU』『おかえりモネ』『VIVANT』などに出演。映画では『るろうに剣心』『ミッドナイトスワン』『キングダム』シリーズなど幅広い作品に参加。『VIVANT』では、自衛隊直轄の非公認組織「別班」の一員・和田貢を演じている。

(C)TBS