そんなみこママの姿には、宮澤自身が好む酒場での人付き合いと通じる部分もあった。
もともとスナックやバーが好きで、ふらりと飲みに出かけることもあるという宮澤。京都で一人飲みをしていた際には、何度か訪れたことのある店のマスターに勧められ、カウンター席の客と一緒に飲むことになった。
その場では、宮澤が俳優だと知っている人もいれば、知らない人もいる。時には「どこかで会ったことありませんか?」と聞かれることもあるそうだが、自分から仕事について説明することはないという。
むしろ、宮澤は「こちらがいろいろ聞かれるより、こちらが質問するほうが楽しい部分もあるんです」といい、初対面の相手と話すことで、思いがけない人生のエピソードに出合うことを楽しんでいる。
酒場では、二度と会わないかもしれない相手だからこそ、普段は話さないような身の上話をすることも。「“どうしてこんな話を私に!?”となってしまう、結構プライベートな話もしてくださる時もあるんです」と、独特の距離感が生み出す交流の面白さを語った。
翻って、荒木町で流しの歌手がスナックを訪れ、客がその歌を聴きながら酒を楽しむ光景にも興味がわいた宮澤。自身は酒場で流しの歌を聴いた経験はなく、「その街々にカラーだったり、体験があるから、行ってみたいなと思いました」と目を輝かせた。
人付き合いが難しい時代に…
みこママのように他人の人生へ踏み込むことは、誰もができるわけではない。宮澤も「おせっかいって一歩間違えると、関係性が崩れちゃったりして、なかなか難しいと思います」と捉える。その上で、現代は人との関係を築く上で、何を大事にすればいいのか分からなくなる時があると感じているという。
「みんな“難しい時代になっちゃったね”と言って、正しくあることとか、ハラスメントとかを気にしてしまい、関係性の構築を放棄しちゃうこともあるような気がするんです」と問題意識を口にする宮澤。それだけに、みこママの行動から、人付き合いの原点ともいえるものを学んだ。
「思いやりという部分を忘れなければ、多分踏み込んだ時にも相手にもそれは伝わる。そんなコミュニケーションのベースみたいなものを教えてもらったと思います」
相手の反応を気にするあまり、距離を縮めること自体をためらいがちな現代社会。それでも、人の心に寄り添おうとするみこママの姿は、宮澤に人と人がつながることの意味を改めて考えさせたようだ。
