キリンホールディングスは2026年10月23日、ベトナム国立栄養研究所との共同研究で、免疫細胞pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)の活性と風邪罹患リスクの関連を確認したと発表した。健康なベトナム人医学生41人を対象に、観察開始時のIFN - α産生能と、その後4週間の風邪罹患との関連を調査したもの。研究成果は2026年10月22日に日本臨床免疫学会で発表され、国際学術誌「Tropical Medicine and Infectious Disease」に受理されている。

健康な医学生41人を対象に前向き観察研究を実施

本研究では、ベトナムの健康な医学生を対象とした過去の試験データのうち、プラズマ乳酸菌を摂取していない対象者のデータを用いた。観察開始時のIFN - α産生データと、観察期間中の風邪罹患データが得られた41人を解析対象とした。

まず、観察開始時に採取した血液から、さまざまな免疫細胞を含む末梢血単核球(PBMC)を分離。ウイルス刺激を模倣するCpGで刺激し、24時間後に産生されたIFN - α量を測定してpDC活性を比較した。その後、IFN - α産生量の中央値を基準に、pDC活性が高い群(HIGH群)20人と低い群(LOW群)21人に分類した。

対象者は4週間にわたり、毎日の体温と、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・のどの痛み・せき・鼻づまりによる頭重感・疲労感の7症状を記録した。7症状の合計スコアが基準点以上で、かつ37.5℃以上の発熱がある場合を「風邪」と定義し、観察開始時のpDC活性と、風邪および各症状の発現との関連を解析した。

pDC活性が低い群では風邪罹患割合が33.3%

4週間の観察期間中に風邪にかかったのは、LOW群では21人中7人、HIGH群では20人中0人だった。風邪罹患割合はLOW群で33.3%、HIGH群で0%となり、LOW群のほうが33.3ポイント高い結果となった。

  • 4週間の観察期間における風邪罹患割合

    4週間の観察期間における風邪罹患割合

症状別の分析でも、LOW群はHIGH群と比べて、37.5℃以上の発熱、鼻づまり、のどの痛みの発現割合が高かった。

  • 各群における風邪症状の発現割合

    各群における風邪症状の発現割合

今回の研究は、観察開始時に測定したIFN - α産生能と、その後の風邪罹患との関連を前向き観察研究で調べた点に特徴がある。結果から、pDC活性(IFN - α産生能)が低い集団では、短期間に風邪にかかりやすい可能性が示唆された。

今後は、pDCやIFN - αをはじめとする自然免疫機能と、感染症へのかかりやすさとの関係について、対象者や観察期間を広げて研究を進める。感染症へのかかりやすさと免疫機能の個人差に着目し、一人ひとりのリスクに応じた感染症予防や免疫のケアにつながる知見の創出を目指す。

キリンは、発酵・バイオテクノロジーを基盤に、免疫研究などを通じて健康寿命の延伸に向けた取り組みを進めている。人の一生に寄り添い、健やかに暮らせる社会を目指すとしている。