キリンは2026年10月19日、乳酸菌「Lacticaseibacillus paracasei KW3110」を含む食品の継続摂取により、軽症から中等症の花粉症に伴う眼症状が緩和されたことを確認したと発表した。臨床試験では、花粉の飛散が顕著な時期に眼症状の自覚症状スコアが有意に改善し、日常生活への支障度のうち「まわりの人が気になる」でも改善が認められたという。
花粉症の眼症状がQOLに影響、乳酸菌の働きに着目
ウェザーニューズが実施した「花粉症調査 2026」によると、2人に1人以上が花粉症であると回答している。花粉症は、くしゃみや鼻水などの鼻症状だけでなく、目のかゆみや異物感、涙目などの眼症状も引き起こし、日常生活や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすことから、社会的な課題として認識され始めている。
花粉症などのアレルギー反応には、Th2細胞などの免疫細胞が深く関係しているとされる。これらの細胞が過剰に働くことで、アレルギー性の炎症の一種である「2型炎症」が引き起こされる。花粉やダニ、ハウスダストなどに対して免疫細胞が強い炎症反応を起こすことでアレルギー症状が生じるため、2型炎症を悪化させないことが重要だという。
キリンはこれまでの研究で、乳酸菌「L. パラカゼイ KW3110」が、ほかの乳酸菌よりも2型炎症を抑えるサイトカインの一種であるIL-12を産生する働きが強いことを報告している。また、過去の臨床試験では、軽症から中等症の花粉症に伴う鼻の不快感を緩和することも確認している。
130人を対象に8週間の臨床試験を実施
試験には、軽症から中等症のアレルギー性鼻炎があり、春季に鼻や目の不快感を自覚している20〜65歳の男女130人が参加した。試験は無作為化二重盲検プラセボ対照試験として実施し、参加者は「KW3110」を含む食品またはプラセボ食品を8週間にわたって摂取した。
試験期間は1月から3月。日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票などを用いて、鼻や目の症状、日常生活への影響を評価したほか、医師による重症度の診断も行った。
花粉飛散が顕著な時期に眼症状などの有意な改善を確認
試験の結果、花粉飛散が顕著な時期に、「KW3110」を含む食品を摂取したグループでは、プラセボ食品を摂取したグループと比べて、眼症状の合計スコアが有意に改善した。また、日常生活への影響を評価する項目「まわりの人が気になる」でも、摂取開始から6週目および8週目に有意な改善が認められたという。
今回の結果から、乳酸菌「KW3110」の継続摂取が、花粉症による目の不快感やQOLの低下を軽減する可能性が示された。
今後はアレルギー症状による健康課題の解決を目指す
花粉症の有病率は約40%以上とされ、スギ花粉症の有病率も過去10年間で約10ポイント増加している。症状を緩和するための対策として、眠気などを引き起こしにくい食品素材への期待も高まっている。「KW3110」は、樹状細胞やマクロファージを活性化し、Th1サイトカインの産生を促すことで、免疫のバランスに働きかけると考えられている。
キリンは今後も研究を進め、アレルギー症状に伴う健康課題の解決や、生活の質の向上につながる製品の開発を目指すとしている。

