――石田さんは、春花を演じるにあたり、どのようにアプローチされましたか?
石田:私はいつも最初に、台本を読んだときの勝手な印象を余白に書き込むんです。たとえば…(と、台本を引っ張り出してきて、手書きのメモを読み上げる石田)「育ちの良さ」「懐の深さ」「声のトーン明るく」「声通る」「意外と声デカい」「気風の良さ」「意外と姉御肌」「目線下げない」「口角上げて」とか。「ボソボソしゃべらない」「割と大口を開けてしゃべる」「でも主婦特有の雰囲気もあり」なんてことが書いてある。もちろんお芝居は相手のあることだから、この通りにはいかないんですけど、あくまでイメージです。
岡田:すごい!
石田:春花は、専業主婦としての誇りがあって、自分が恵まれていることも分かっている人。周りからかわいがられて育った分、怠けちゃったけど、ちゃんと自分なりに頑張っている、という感じもあるんです。自分に似ているところもあれば、そうではないところもあります。
「一文字間違うと言えなくなる」長ゼリフを丸ごと書き写し
――岡田さんの書かれたセリフを覚える秘けつについても伺いたいです。長ゼリフも多いですが、石田さんはどうやってご自身の身体に落とし込んでいかれたのですか?
石田:覚えるしかないんですけど(笑)、岡田さんのセリフって、オーケストラのソロの旋律のような感じがするんです。同じ現象をいろんな角度から言っているように思うんですけど、その言い方が「確かに人ってそうやってしゃべってるな」と思うんですよね。「本当に人がしゃべるとこういう風にしゃべりますよ」というのが、ちゃんとセリフになっている。しかも、一文字間違うと言えなくなるんです。「あれ? 出てこない…」って。
岡田:へぇ~!
石田:それこそ、なかなか覚えられないときは、受験勉強のときみたいに、自分のセリフを丸々手で書き写すんですよ。お見せできるようなものではないのですが…(と、ビッシリと書かれたメモを引っ張り出しながら)、これ見てください(笑)! 1回でしゃべるセリフがこんなにあるんです。私は、どうしても入らないというところだけはほんのちょっとだけ自分で変えちゃうんですが、やっぱり台本に書かれた通りに言いたい、そうじゃなきゃいけない、という思いがみんなにあるんです。坂井真紀ちゃんなんて「この一文字に意味がある!」と言っていました。みんなすごい人たちですよね。私は皆さんに本当に支えられた、貴重な2カ月間でした。
――岡田さんは、ご自身が書いたセリフと違う箇所があったら、すぐに気づかれるものですか?
岡田:そんなに敏感な方ではないと思いますよ。
石田:台本と付き合わせながら映像を観たりします?
岡田:します(笑)。でも、そこに関してストレスを感じるタイプは、脚本家にはあまり向いていないと思うんです。基本的にはどこかで委ねる仕事だから。役者さんと演出家に。「違う」ということに引っかかると、きついだけなので。極論すれば、自分でやるしかなくなっちゃう。だから、そこに関しては、あまり引っかかることはないですね。
