第85期B級1級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は、7回戦全6局の一斉対局が各地の対局場で行われました。このうち久保利明九段(3勝2敗)―菅井竜也八段(2勝4敗)の一戦は127手で菅井八段が勝利。振り飛車党同士の大一番を制して中位に踏みとどまっています。
混戦の昇級枠争い
渡辺明九段が6勝0敗と独走状態のB級1組。一方の中位は混戦で、6回戦を終えた段階で2~4勝の間に11人がひしめき合う状況は誰にでも昇級チャンスが残っていることを示しています。振り飛車党同士の対決となった本局は、先手の菅井八段が振り飛車を譲る形でスタート。久保九段の三間飛車に対しすぐさま4筋の歩を突っかけたのが積極的な急戦策です。
局面はジリジリとした間合いの計り合いでともに慎重に時間を使って着手。先に口火を切ったのは後手の久保九段でした。スパッと角を切り、手にした金で角銀両取りをかけたのは決断の仕掛けで好手。しかしその後、菅井八段に自陣への手厚い馬引きを許したことを思うと、銀を取る前にいったん桂を跳ねて馬筋を止めておく手が必要だった可能性が残ります。
華麗な「いなし」で菅井八段勝利
終盤の入り口にさしかかっても形勢は難解で、ともに決め手を与えない攻防は「粘り合い」の印象も与えます。長い競り合いの時間を抜け出したのは先手の菅井八段でした。あえて王手飛車をかけさせて玉を8筋に逃がしたのがプロ好みの懐深い指し回しで、飛車を取らせている間に金銀3枚+馬付きの堅陣を再生することに成功。形勢はここで先手に傾きました。
優勢に立ってからの菅井八段は明快な攻めでリードを拡大します。一段飛車+▲7一銀という教科書通りの美濃崩しが決まってはさすがの久保九段をもってしても粘りが利きませんでした。終局時刻は22時54分、最後は自玉の詰みを認めた久保九段の投了で熱戦に幕。嫌味な攻めをいなして反撃に転じた菅井八段のうまさが光る快勝譜となりました。
なお首位を走る渡辺九段は中村太地八段に競り勝ち開幕7連勝と星を伸ばしています。
水留啓(将棋情報局)
