第57期新人王戦(主催:しんぶん赤旗)は、藤本渚七段と永井大三段の間で争われる決勝三番勝負が10月5日(月)に関西将棋会館で開幕しました。対局の結果、相雁木のねじり合いから抜け出した永井三段が140手で勝利。苦戦の中盤をひっくり返して戴冠にあと1勝と迫っています。
堂々の相雁木
永井三段は静岡県出身の22歳。居飛車党で、古賀悠聖六段や森本才跳四段といった面々を下しての決勝進出に実力のほどがうかがわれます。迎え撃つ藤本七段は21歳にして順位戦B級1組の大器で、最後の参加となるこの新人王戦では準優勝に甘んじた3年前のリベンジを誓います。振り駒が行われた対局は先手・藤本七段の雁木に後手・永井三段も追随。
先にリードしたのは藤本七段でした。後手から突っかけられた玉側の端攻めを逆用して敵陣にと金を作ったのが充実の指し回し。永井三段はたまらず飛車を中段に逃げ出しますが、これを絡め取る形で銀を上がれば後手は飛車を渡すことなく攻め続けることができません。このあとも形勢は先手優勢のまま推移。永井三段は自玉を固めて実戦的に食い下がります。
裏目に出た棋風
優勢の時間が長かった藤本七段ですが決め手をつかめないまま終盤戦へ。丁寧に相手の攻めの面倒を見続けているとはいえ、後手玉に迫れていないのはやや気がかりです。勝負の流れが変わったのは97手目のことでした。藤本七段は入玉含みの玉立ちで自玉の安全を買いますがこれが緩手に。代えては怖くても飛車を下ろして反撃に出る手がまさったとされました。
永井三段の攻めが筋に入ってきます。攻めの要に思われた飛車をスパッと切って角を入手したのが当然とはいえ好手で、このあと攻防の自陣角を起点に先手玉を厚みで押しつぶす形が実現して後手優勢がはっきりしました。終局時刻は17時13分、最後は自玉の詰みを認めた藤本七段が投了。受けを苦にしない藤本七段の棋風が裏目に出た一局となりました。
注目の第2局は10月20日(火)に東京・将棋会館で行われます。
水留啓(将棋情報局)
