世界三大夜景や歴史的建造物で知られる函館。その郊外には、野生馬が暮らす山があることをご存じだろうか。
今回訪れたのは函館市汐首町(旧戸井地区)にある汐首山。この山で行われているMTBライドモニターツアーに参加し、野生馬との出会いや汐首山ならではの景色を体験してきた。
前編では野生馬との出会いまでを紹介したが、後編では山頂からの景色や林道ライドの魅力についてお伝えしたい。
野生馬と過ごす特別な時間
北海道開拓を支えた馬の子孫が、100年以上にわたり人の手を借りずに越冬し、繁殖を繰り返している――。そんな事実に想いを巡らせながら、ここで暮らす野生馬を見つめる。その生命力と自然の偉大さに、感動で胸が熱くなる。
ただ映える写真を撮りたい、美しい景色を見たい。それもいい。しかし、この馬たちがなぜここにいるのかという開拓の歴史を知ることで、この場所の価値がさらに大きく感じられるだろう。
ここがだいたい8合目あたり。電波塔が建つ山頂も見えている。ゴールはもうすぐそこだ。
しばし野生馬と過ごし、ついに山頂へ
山頂で記念撮影。この日の天気は薄曇りで、遠くの景色は霞で見えなかったが、晴れている日には17km先の下北半島が見えるという。
それでも、日常では味わうことのできない非現実的な世界を十分に感じられる。遠く霞の中に見える函館の街並みと、微かに浮かび上がる函館山は幻想的で、異世界にいるような感覚に包まれていた。
山頂付近にも数頭の馬がいて、我々を迎えてくれているようだった。
小一時間ほど持参したおやつを食べ、冷たい飲み物を飲み、馬と絶景を見ながら過ごした。
この場所を離れるのが名残惜しい…。
実はMTBライドの醍醐味は帰路にあり
帰り道は途中まで同じルートをたどり、8合目付近から枝分かれした林道へと入っていく。当然、登った分だけ下りがあるのだが、山を時計回りに大きく迂回するロングコースとなる。
地元のMTB愛好家たちがなぜ苦労してまでこの山を登るのか…。その理由がここから分かり始める。
ここからがMTBライドの醍醐味を体験するコースとなるのである。
視界の開けた草原エリアから、鬱蒼とした森へと景色が変わっていく。
このエリアこそがヒグマの出没が最も多い場所である。ここからはガイドの島津さんが先頭を走る。危険箇所を確認しながら先導し、以前どこでヒグマが出たのか、周辺の林道がどのようなコンディションなのかまで把握しているそうだ。
夏になってからはヒグマの出没情報は入っていないとのことだったが、見通しの効かないカーブや藪がある場所では、ホイッスルなどで音を出して人間の存在を知らせる。大切なのは、「ばったり出くわす」という最悪の状況を避けることだ。
極上の林道をMTBで疾走するのは最高のご褒美といえる。それがロングコースなら尚更だ。
しかし、ここで転倒して怪我でもしてしまったら最悪の思い出に変わってしまう。最後まで気を抜くことなく、安全走行を心がけたい。
ある程度のスピードが出ているので、皆走りに集中している。それでも自然と笑顔になっているのを見てうれしくなった。
ガイドたちのサポートのもと、最高の時間を共有することができた。
今回参加したのはモニターツアーだったが、来年の初夏には一般参加者も受け入れられるツアーを目指して調整を進めているという。
チルノワとグラベルハントのメンバーは、「この素晴らしい体験を広めていきたい」という思いの実現へ向けて課題と向き合っている。
今後、この特別な体験を味わえる人がさらに増えることを期待したい。
インフォメーション:汐首山MTBツアーに参加するなら
◆参加時の注意点
本ツアーは街の観光とは違い、アドベンチャーツアーであるという認識を持っておくことが大切だ。汐首山はヒグマの生息地であるため、十分な知識や準備なしに単独で行動するのは避けたいところである。
汐首山を訪れる場合は、このツアーの主催者のチルノワ、もしくは地元事情に詳しい人へ相談することをおすすめしたい。
◆持ち物について
自転車トラブルに備えて、タイヤの予備チューブや携帯工具、チェーンカッターなど携行し、十分な飲料と行動食も準備しておきたい。
また、ガーゼや消毒液、テーピングなどの応急処置用品も持参しておくと安心だ。ヒグマ対策として、クマ避けスプレーやホイッスル、鈴は必ず携行しよう。
ツアーではガイドが一部を準備している場合もあるが、必要な装備については事前に確認しておくとよいだろう。
◆ツアーのお問い合わせ先
Chillnowa(チルノワ)
TEL:0138-83-5044
WEB:http://www.chillnowa.com/






