警視庁公安部・外事第4課の野崎守(阿部寛)が、5年前から背負い続けてきた“唯一の失敗”。死なせてしまったはずの部下・リュウ・ミンシュエン(漢字表記:劉銘軒)が、自衛隊直轄の非公認組織「別班」に所属する乃木憂助(堺雅人)と瓜二つの顔で現れた――。

  • (左から)阿部寛、堺雅人

    (左から)阿部寛、堺雅人

8月30日に放送された第16話では、劉の正体が明らかになる一方、乃木たちは、“中国の別班”「Xinxi(以下、シンシー)」に潜入した野崎の真意を読み解こうとする。

乃木と同じ顔を持つ男、本人と見分けがつかない“AI乃木”、そして2つの異なる手がかりが示した場所。5年前に始まった物語が、現在へと一本につながっていく。

そんな第16話について、飯田和孝プロデューサーに撮影の裏話や反響を語ってもらった。

「かわいがっていた後輩」の正体

  • 阿部寛

    阿部寛

野崎の潜入捜査について語り始めた警視庁公安部の部長・佐野雄太郎(坂東彌十郎)。話は、野崎が中国の日本大使館に駐在していた5年前へさかのぼる。

野崎の下で動いていたのは、エージェントのチョウ・ケイシ(漢字表記:張競士/高橋光臣)とリュウだった。第1シーズンで野崎が「可愛がっていた後輩」と語っていたのは、このリュウのこと。そしてリュウを演じるのは、乃木、Fに続いて3つ目の顔を見せる堺雅人だった! 放送後、視聴者からは「強烈なキャラ」と、その存在感を驚く声が。さらに、野崎に向かって「私に、嘘はつかないで!」と感情を爆発させる姿には「鳥肌もの」「カメレオンすぎる」と、乃木や乃木の別人格・Fとはまるで別人のような堺の演じ分けにも注目が集まった。

リュウは野崎に思いを寄せていた。そんなリュウが有益な情報をつかみ、単独で潜入した結果、拘束されてしまう。野崎は傭兵を雇って救出を試みるが、直後に届いたのはリュウの遺体と思しき写真。それが、野崎の語っていた“唯一の失敗”だった。

ところが、リュウは生きていた。多国籍の民間情報機関「シンシー」の一員として…。

5年ぶりに野崎と向き合ったリュウは、拷問に耐えた日々を振り返る。死を覚悟した瞬間を語りながら、楽しげに問いかける。

「さあ、問題です。私はこの状況から、どうやって生き延びたのでしょうか?」。

野崎は目を伏せ、何かに気づいたように笑い出す。リュウが生き延びた方法とは?

野崎が別班を追い続けた理由

リュウを失い、帰国した野崎。その前に現れたチョウは、樊林杏(ハン・リンシン/宮下今日子)が「シンシー」の責任者であることを明かし、写真を託す。そこに写っていたのは、研究者のエリシャ・ママドフ(Manaf Dadaşov)だった。

エリシャは、核融合を持続させる技術の発明に成功したとされる人物。実用化されれば、世界のエネルギー事情を大きく変えかねない。ここでは別班のスーパーコンピューター・AIハヤト(声・高山みなみ)が、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の科学者“ドク”の姿で登場し、「核融合」について解説。

エリシャはデータを消去した後、7年前に死亡したとされていた。ところが、佐野が別班に提供した資料には、遺体発見から3か月後の姿が残されていた。さらにチョウによれば、樊はエリシャと半年の間に10回以上接触。その一方で、中央アジアで暗躍する国際テロ組織についても調べていたという。その組織こそ、乃木の父・ノゴーン・ベキ(役所広司)が率いていた「テント」だった。視聴者からも「テントとここでつながるのか!」と驚きの声が。「テント」が、核融合をめぐる新たな謎へつながった。

日本の国益を守り、シンシーの実態を探るため、公安部は野崎に潜入捜査を命じていた。野崎は“裏切り者”を装って樊に接近。すると樊が求めたのは「別班」の情報だった。以来、野崎は別班の痕跡を追い、「テント」を捜査しながら別班員が現れるのを待ち続けていた。そこへやってきたのが乃木だ。なぜ公安の実力者が2年もの間バルカ共和国へ赴任していたのか。

一方、現在の乃木たちは、公安部内にシンシーの監視カメラを仕掛けた人物を追う。手がかりが見つからない中、乃木が披露したのは、AIハヤトによって作られた“AI乃木”だった。画面の中では、本物そっくりの乃木が恋人の柚木薫(二階堂ふみ)とテレビ電話をしている。しかし、そこに本物の乃木はいない。その精巧さは、本編で確かめてほしい。

果たして、乃木がすでに講じたという“策”にこの技術はどう使われるのか?

乃木とリュウがたどり着いた答え。正解は…

  • 阿部寛

    阿部寛

野崎は、いずれ別班の力が必要になると考え、海外の監視カメラにあえて自らの姿を映していたのではないか。乃木の読みを受け、佐野はある決断をする。

シンシーに捕らわれた黒須駿(松坂桃李)ら5人の別班員。その居場所を示す手がかりは、野崎から警視庁サイバー犯罪対策課の東条翔太(濱田岳)へ振り込まれた1億2600万円と1億6000万円に隠されていた。2つの金額を見つめた乃木は、小さく「π」とつぶやく。金額に円周率を掛けると、浮かび上がったのはゴルバド共和国のとある場所の座標。

前話で野崎がバルカの警察官チンギス(Barslkhagva Batbold)に残した「π」の言葉が、ここでつながった。視聴者からも「考察的中!」と沸く声が。あの大金は報酬ではなく、別班員の居場所を知らせる暗号だったのだ。

一方、リュウも別のルートから野崎の動きを追っていた。

「本日、第2問目です。まずはこの映像をご覧ください」

リュウが見せたのは、頭巾をかぶせられた5人が、大勢の兵士に囲まれてトラックへ乗せられる映像。さらに、野崎が3日続けて同じレストランへ通い、毎日午後7時ちょうどにトイレへ立っていたことにも目をつける。トイレの窓の向こうには、世界各地の金相場を流す電光掲示板があった。過去の映像を調べると、そこに紛れ込んでいたのは…「Shaki Castle(シャキ城)」。

乃木は送金額に隠された「π」の暗号から。リュウは電光掲示板から。同じ顔を持つ2人が、まったく違う場所で同じ答えへたどり着いた。

しかし、リュウが野崎の目的を見抜いたことで、別班員5人はシャキ城から移されてしまう。暗号は乃木に届いた。だが、救出作戦は一気に先の読めない局面へ…。

堺雅人が演じ分ける乃木、F、リュウ!飯田Pが語る第16話の反響と撮影の舞台裏

  • 堺雅人

    堺雅人

堺が1人3役演じることが明らかになった第16話。飯田和孝プロデューサーに撮影の裏話や反響について尋ねてみた。

第16話のハイライトはやはりリュウ・ミンシュエンとして登場した堺さんだと思います。第1シーズンの第7話、飛行機での乃木さんと野崎さんの会話で「お前によく似てる」というセリフがありましたが、SNSのリアクションを見ても、まさか本当に堺さんが演じると思っていた人は、半々だった印象でした。そして、リュウが生きているとわかった場面では、編集室で監督やスタッフと一緒に、SNSを追いながら見ていたのですが、反響の多さには驚かされました。確か、「リュウ・ミンシュエン」があっという間にトレンドに入って。それだけ堺さんが作り上げたリュウというキャラクターのインパクトが大きかったんだと思います。

撮影で、乃木とF、そして3人目のリュウを作り上げていった堺さんの演技を近くで見させていただきましたが、乃木とFはしっかりと地上に立って、広い視野で獲物を仕留める印象があるのですが、リュウはなんだか空中を鳥のように浮遊し、かと思ったら急降下して一気に獲物を仕留める獰猛な鳥のような印象があって、それを演じ分けているのですから、並大抵の作業ではないと感じています。撮影においては、午前中に乃木をやったあと、午後はリュウのシーンを撮影する、なんてこともあったのを記憶しています。

しかし、堺さんのエネルギーは衰えることは決してありません。リュウになった堺さんはより軽やかに、野崎さんを翻弄していました。これは、僕の願いでもありますが、乃木とFとリュウ、3人が同じ画面に同時に出現するなんてことにでもなったら、それはもしかしたらドラマ史上初の瞬間かもしれません(笑)。堺さんから怒られそうですよね(汗)。

さて、第16話は、「VIVANTの物語は5年前から始まっていた」というキャッチコピーと共に、過去と現在を繋ぐ太いパイプのようなエピソードでした。そして明日放送の第17話は、第2シーズンの中では、最もエモーショナルなエピソードだと思います。乃木とノコル、乃木と薫、野崎とリュウ、そして奪還を待つ黒須たち別班、キャラクターたちの関係性が密接に描かれ、感情がむき出しになっていく運命のエピソードです。是非、楽しみにしていただきたいです。

--

5年前に始まった野崎の“潜入捜査”は、別班、シンシー、テントをつなぎ、現在へと続いていた。「もう、認められてはいかがですか?」…劉の追及に、野崎は何と答えるのか?

【編集部MEMO】
スピンオフ企画の「VIVANT-Adventure Log-」は TVer で、「ドラム―VIVANT THE ORIGIN STORY―」はU-NEXTでそれぞれ独占配信中。

(C)TBS