17歳で上京する日には決まっていた覚悟

――続いて、話題が変わるのですが、うちの会社がマイナビという就職活動のサイトも運営しておりまして、お仕事についてのお話も伺いたいです。そもそもの話になりますが、俳優を目指そうと思ったきっかけを教えていただいてもよろしいでしょうか。

もともと10年くらいクラシックバレエを習っていたこともあるのですが、祖母が宝塚が好きで、一緒に観に行ったことがきっかけで、こういう表舞台の仕事をしたいな、きらびやかな仕事をしたいなと思ったのが一つのきっかけです。

学生の頃の私は、何か一つ特化したものを持っているというより、何事においても人並みで。そこが自分にとって、なんて言うのかな……もうちょっと特別な何者かになりたいという願望があったんだと思います。それで、人とは違うチャレンジをしたいと思って、役者の道を志し、17歳で滋賀から東京に出てきました。

――私も地方出身なのですが、高校生のときに東京に出ようなんて想像もしなかったですし、すごい決断だなと思います。

私が住んでいた地域は、小学校、中学校、高校と、ずっと同じメンバーで過ごせるような環境で。もちろん、それも楽しいんですけど、中学生の頃もっといろいろな出会いが欲しいという気持ちを抱くようになったんですよね。自分で環境を変えていかなきゃいけないと思って、高校は違うエリアにある学校に進学しました。

だから、人と違うことをしたいという思いは、中学生の頃からきっとあったんだと思います。高校も1年生までは滋賀の学校に通っていたんですけど、2年生で東京の学校に転校して、それから芸能生活が始まりました。

就職や転職で迷っている人へ「なんとかなるよ、大丈夫やで」

――堀田さんは高校生で上京して、役者の道を歩み始めますが、そのあとに同じ年齢の人たちも大学進学、就職と自分の進路を具体的に考えるタイミングが訪れるわけじゃないですか。その時も変わらず、役者として生きていくんだと覚悟が決まっていたんですか?

そうですね。高校生の頃はもう、役者一本でやっていこうと思っていましたし、私は滋賀から東京へ出る日には、もう覚悟が決まっていました。両親からも「東京に行くんだったら、忙しくて帰ってこられないくらいになりなさい」というふうに背中を押してもらっていたので、「帰る」という選択肢は、自分の中では甘えのような気がしていて。「行ったんやったら、もう帰られへんな」と思って東京へ出ました(笑)。

だから、この仕事に対する覚悟は、その頃からすごく大きかったと思うのですが、本当に若かったからこそできたことでもあるのかなと思って。今、何か新しいことを始めようと思ったら、私もすごく怖いです。でも、10代のあの頃は、何も分からなかったからこそ、怖いものがなくて、飛び込めた。それは柔軟さとも言えるので、今もその気持ちは忘れたくないなと思っています。

一方で、同級生たちが大学へ進学したり、社会人になったりする姿も見ていました。私は17歳から、高校生でありながら、社会人と同じようにお仕事をして、お金をいただくという経験をしていたので、同級生たちが社会人1年目になる頃までには、役者として自分なりの何かを確立させたいという思いがあって。だから、23歳を一つの目標にして、それまでは絶対に突っ走ろう、と決めていました。

――10代の勢いで飛び込めたというお話を聞いて、なるほどと思ったのが、大学を卒業するときは20代に入っていますし、就職して転職を考える頃にはさらに年齢を重ねている。だから、何かに挑戦したい、環境を変えたいという気持ちがありながらも、一歩を踏み出す決断ができなかったり、躊躇(ちゅうちょ)してしまったりするのかなと。

そうですよね。年齢を重ねるにつれて、本当に初めてだという経験は減ってくるので、それもあって怖いと感じることはあると思います。もしかしたら、(転職や就職で)悩まれる方って、現状に満足していないわけではなくて、「ここでも生きていけるけど、別の選択肢が欲しい」と思っている方が多いのではないでしょうか。でも、立ち止まって考える時間は大切ですし、私自身もすごく必要なことだと思っています。

私は何かを始めるときに、周りに言われる言葉よりも、自分自身の直感を一番大事にしていて。もちろん、信頼できる人に相談することもありますし、そこでヒントを得て、心の栄養をもらいながらも、最後は自分で決めるようにしています。

それは、周りの人に言われたからそうしようと思って、その道を選ぶと、何かあったときに他責になってしまうかもしれないと思っていて。でも、自分自身が決めたことなら、その決断自体が心の支えになりますし、その選択を正解にするかどうかも自分次第なので。

私が両親から言われたように、もう戻れない環境を自分で作ることも、一つの方法なのかもしれません。厳しいこともあるかもしれませんが、誰に何を言われても、自分自身が好きなように生きていくことが大事だと思いますし、自分が「これで良かった」と思えたら、それが正解だと思うので、自分の選択を振り返ったときに誇りを持てるような歩みをしていってほしいなと思います。

一歩踏み出すことは、本当に怖いことだと思うんですけど、「なんとかなるよ、大丈夫やで」と私からはお伝えしたいです。

■プロフィール
堀田真由
1998年生まれ。2015年にWOWOW 連続ドラマW 『テミスの求刑』でデビュー。その後、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(17)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22)、ドラマ『御上先生』(TBS系/25)、『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系/25)など話題作に数多く出演。今後の公開作品は、映画『私はあなたを知らない、』(8月28日公開)、映画『八つ墓村』(9月18日公開)などがあり、他にも多数の作品への出演を控えている。
■ドラマ『一次元の挿し木』ストーリー
4年前、豪雨の日、義理の妹・七瀬紫陽を失った七瀬悠。年月が経っても彼は紫陽の死を受け入れられず、“生きている”と信じ続けていた。ある日、恩師・石見崎教授からインド・ループクンド湖で発掘された200年前の人骨のDNA鑑定の依頼を受ける悠。半ば強引に渡された人骨を鑑定すると、驚がくの結果が出る――人骨のDNAが、行方不明の義理の妹・紫陽と100%一致したのだ。DNAの一致、関係者たちの不可解な死、盗まれた人骨、消えた過去の記憶……その全てが、一本の線でつながっていく。悠は、過去と現在をつなぐ巨大な闇へと踏み込んでいく――。