近畿日本鉄道は28日、新型レール削正車「きずな」を導入し、9月頃から本線での作業を開始すると発表した。カッター刃でレール表面を切削するミリング式を採用し、列車運行の安全性と乗り心地の向上、メンテナンス作業の省力化を図る。

  • 近鉄が新型レール削正車「きずな」を導入

    近鉄が新型レール削正車「きずな」を導入

列車の走行でレールと車輪の接触を繰り返すことにより、レールの表面に金属疲労が蓄積し、傷が発生しやすくなる。傷を放置すると内部へ進展し、き裂となってレール折損につながる可能性がある。レール表面を削る「レール削正」は、表面の金属疲労を初期段階で除去し、傷の発生や進行を抑える効果がある。レール頭部の形状を整えることで騒音と振動を低減し、乗り心地を改善する効果もあるとされる。

近鉄はこれまで、回転する砥石でレール表面を削るグラインディング式を採用してきた。新たに導入する「きずな」は、カッター刃で表面を削った後、グラインディング式で仕上げるミリング式を採用。1回の作業で施工できる距離は従来の約400mから2倍の約800mへ延びるという。作業中に発生する切りくずは車両内のコンテナへ集積し、すべてリサイクルする。火花がほとんど発生せず、その対応に必要だった作業員も不要で、省力化を図れるという。

車両は全長17m・全幅2.7m・全高3.7m、総重量約60トン。輪軸を交換することで標準軌と狭軌の両方に対応し、南大阪線、吉野線、長野線、御所線、道明寺線を含む近鉄の全線区で作業できる。既存の削正車と併用し、定期的な削正によってレール交換頻度の抑制も図る。

  • 現行の削正方式と「きずな」の削正方式の比較

    現行の削正方式と「きずな」の削正方式の比較

  • 標準軌と狭軌の両方に対応できる

    標準軌と狭軌の両方に対応できる

名称は社内公募案から社員投票で決定。「レールの傷(きず)」を「無(な)くす」という意味に加え、現場係員の団結と結束を示す「絆」により、レール折損を未然に防ぐ思いを込めた。車両は5月28日に近鉄京都線宮津基地へ到着しており、整備を経て運用を開始する。