最初に結論:JCOMの街歩きイベントは、日本遺産「桑都物語」の歴史を実際の街並みとともに体感し、地域の魅力を再発見できる企画だった。
記事の重要ポイント:
  • JCOMは日本遺産オフィシャルパートナーとして、市民参加型の街歩きイベントを初開催した。
  • デジタルスタンプラリーを通じて、神社や織物文化など日本遺産「桑都物語」の歴史を体験。
  • トークショーや伝統文化体験も実施され、地域の歴史・文化を幅広い世代へ伝える機会に。

JCOMは7月19日、東京都八王子市にてまち歩きイベント「日本遺産 物語めぐり~八王子・桑都(そうと)物語編~」を開催した。市内の小中学校が夏休みに入るタイミングということもあり、歴史・文化をたどるデジタルスタンプラリーにはたくさんの親子連れの姿が見られた。

  • JCOMが八王子にて「日本遺産 物語めぐり~八王子・桑都物語編~」を開催。筆者もスタンプラリーを体験してみた

    JCOMが八王子にて「日本遺産 物語めぐり~八王子・桑都物語編~」を開催。筆者もスタンプラリーを体験してみた

日本遺産「桑都物語」を巡る街歩きイベントが開幕

JCOMでは自社メディアの映像・地域に密着したイベントを通じて、日本各地に受け継がれてきた歴史・文化の魅力を積極的に発信している。

2025年9月には文化庁と「日本遺産オフィシャルパートナーシップ」を締結。これをきっかけに、市民参加型イベントの第一弾として「日本遺産 物語めぐり~八王子・桑都物語編~」が7月19日に企画された。

その内容は、市内9箇所の名所に設置されたスタンプスポットを巡り、まちの歴史・文化に触れながら、デジタルスタンプを集めていくというもの。集めたスタンプの数により、ハンディファンなどの景品、八王子の名産品などが提供される。

歩き方は参加者の自由だが、モデルコースとして約2.3km(所要時間:約1時間)のショートコース、約4.1km(所要時間:約1時間半)のロングコースが用意された。

  • まち歩きイベントは、えきまえテラスからスタート

    まち歩きイベントは、えきまえテラスからスタート

八王子市にある広場「えきまえテラス」では、7月19日朝10時にスタートセレモニーが行われた。オープニングを飾ったのは、八王子市の指定無形民俗郷土芸能に指定されている、美山町ささら獅子舞保存会による獅子舞演武。

  • 華やかな獅子舞演武に、街行く人が足を止めて見入った

    華やかな獅子舞演武に、街行く人が足を止めて見入った

地域の魅力発信へ、JCOMと八王子市が連携

JCOMの國分孝夫氏は、イベントの開催にあたり「八王子市の歴史と文化をより深く知るきっかけとなるイベントを開催いたします。私たちは31年前からケーブルテレビ、インターネット、固定電話、携帯電話などのサービスを展開しておりますが、それ以外にもコミュニティチャンネルで地域の情報をお伝えすることをアイデンティティとしてきました。昨秋の日本遺産オフィシャルパートナーシップの締結を機に、地元地域のさらなる魅力発信に努めていこう、と気持ちを新たにしているところです」と話した。

  • JCOM上席執行役員 東京総支社長の國分孝夫氏(左)、八王子市 生涯学習スポーツ部文化財課(日本遺産推進担当)併 産業振興部日本遺産推進課の荒舩翔哉氏(右)

    JCOM上席執行役員 東京総支社長の國分孝夫氏(左)、八王子市 生涯学習スポーツ部文化財課(日本遺産推進担当)併 産業振興部日本遺産推進課の荒舩翔哉氏(右)

また八王子市役所 日本遺産推進課の荒舩翔哉氏は「日頃から八王子市の魅力発信に努めている私たちですが、まだまだ力不足は否めません。JCOM様をはじめとする地域の皆さんと一緒に八王子を盛り上げていけたら、と思っております」と挨拶した。

「細い路地」に残る八王子1200年の歴史を歩く

八王子市役所とJCOMは2025年秋から話し合いの場を持ち、2026年春から具体的なイベント内容を詰めていったという。

参加者に楽しんで欲しいところは「八王子の街並みから感じる歴史」。荒舩氏は「八王子は、多摩地域のなかでも特に歴史のあるまちです。現在、八王子駅の周辺は繁華街として栄えていますが、1本細い道を入ってみると古い言い伝えの残る神社、何世紀も前のまちの情景を感じさせるスポットが点在しています。今回のスタンプラリーでは、そういった箇所を散策いただけたら嬉しいですね」と笑顔をみせた。

  • 配布されたスポットマップを頼りにまちを歩いてみる

    配布されたスポットマップを頼りにまちを歩いてみる

実際にスポットを巡る。繁華街近くに由緒ある神社

筆者も、実際にいくつかのスポットを周ってみた。えきまえテラスから歩くことわずか3分、ちょっとした路地裏の先に、なるほど荘厳な鳥居のたたずまいが見えてくる。

  • 何やら立派な神社が見えてきたが…

    何やら立派な神社が見えてきたが…

759年に創建された八王子最古の「子安神社」だった。地元民には、安産、育児、子授けの神様として知られているそう。まだ繁華街にほど近い場所に、1,200年以上も前に創建された由緒ある神社が鎮座していることに驚く。

  • 子安神社(東京都八王子市明神町4-10-3)

    子安神社(東京都八王子市明神町4-10-3)

スタンプスポットに設置されたポスターを見つけ、QRコードにスマートフォンをかざすと「桑都物語EPISODE 1」として八王子城跡にまつわる「戦国時代のまっただ中、北条氏照は関東でも指おりの大きな山城を築きました――」から始まるエピソードを取得できた。そして、次のスポットに向かう。

  • 設置のポスターとスマホの画面の様子

    設置のポスターとスマホの画面の様子

子安神社から徒歩5分(JR八王子駅からも徒歩5分ほど)、甲州街道の大きな交差点の近くにあるのは、市守大鳥神社。天正18年(1590年)、このあたりが“八王子宿”と呼ばれていた時代に、市(いち)の守護神として創建された神社だ。毎年11月に行われる酉の市では、たくさんの参拝客が集まるそう。

  • 市守大鳥神社(東京都八王子市横山町25-3)

    市守大鳥神社(東京都八王子市横山町25-3)

甲州街道をさらに西に進む。甲州街道とは、言うまでもなく日本橋から山梨、長野に続く江戸時代の五街道の1本。「八王子宿というくらいだから、当時、この辺りは宿場ばかりだったんだろうな……」などと想像がふくらんでいく。

次に辿りついたのは八王子繊維貿易館だった。古くから養蚕(ようさん)、織物で栄えた八王子。明治32年(1899年)には八王子の織物を国内外に広めるため、八王子織物工業組合が設立された。そんな近現代の歴史にまつわるこの建物も、デジタルスタンプラリーのスポットになっている。

  • 八王子繊維貿易館(八王子織物工業組合)(東京都八王子市八幡町11-2)

    八王子繊維貿易館(八王子織物工業組合)(東京都八王子市八幡町11-2)

  • 桑都物語EPISODEは、多摩織(たまおり)について

    桑都物語EPISODEは、多摩織(たまおり)について

桑都を支えた織物文化とは? 街に秘められた物語を追う

イベントが開催された7月19日、八王子繊維貿易館の2階講堂ではオープニングイベントも開催された。トークショーに登壇した八王子市役所の荒舩氏は、八王子の織物の歴史について次のようにひも解く。

「織物の材料となるのは糸です。糸の原料となるのは蚕の繭ですね。当時の八王子には、蚕のエサになる桑の葉畑が広がっておりました。その様子から“桑都”の呼び名がつき、産業としても養蚕が盛んになりました。ちなみに現在でも、八王子市内の学校では郷土学習の一環で、蚕を育てる授業が行われています」。

  • トークショーの様子

    トークショーの様子

ちなみに、こちらの八王子繊維貿易館では伝統工芸士による「多摩織」の手織り体験も実施中だという。多摩織は、長い歴史を誇る八王子織物の集大成にあたるもので、昭和55年(1980年)には当時の通商産業省から伝統工芸品として指定を受けている。

  • 八王子繊維貿易館の展示サンプル。お召(おめし)、風通(ふうつう)、紬(つむぎ)、綟り(もじり)、変り綴れ(かわりつづれ)の5種類の織物の総称を多摩織と呼んでいる

    八王子繊維貿易館の展示サンプル。お召(おめし)、風通(ふうつう)、紬(つむぎ)、綟り(もじり)、変り綴れ(かわりつづれ)の5種類の織物の総称を多摩織と呼んでいる

  • あらためて八王子の歴史に想いを馳せる参加者の姿も

    あらためて八王子の歴史に想いを馳せる参加者の姿も

午後からスタンプラリーを周る参加者に向けて、荒舩氏は「神社がなぜ、ここに建てられたのか? そんなことを思いながら周ると、まちに秘められたストーリーに気付くことができます。八王子の現在の姿・昔の姿を照らし合わせながら歩いてもらえると、より深い体験につながっていくのかな、と思います」と呼びかけた。このあと筆者も、残りのスポットめぐりを楽しんだ。

  • トークショーで披露された、およそ200年前の八王子の古地図。甲州街道に沿った八王子宿、子安神社(番号2)、市守大鳥神社(番号3)も記載されている。八王子繊維貿易館は番号5の辺り

    トークショーで披露された、およそ200年前の八王子の古地図。甲州街道に沿った八王子宿、子安神社(番号2)、市守大鳥神社(番号3)も記載されている。八王子繊維貿易館は番号5の辺り