日本シグマックスは2026年7月16日、「思春期特発性側弯症(AIS)に関する認知・理解実態調査」の結果を発表した。本調査は2026年6月5日〜8日、全国の20代〜60代男女9,790名を対象にインターネット調査で実施したもの。また、AISの名称や特徴を知っていると回答した小・中・高校生の子どもを持つ保護者500名、教育関係者200名の計700名を対象に、本調査を行った。

思春期特発性側弯症(AIS)とは?

思春期特発性側弯症(AIS)とは、10歳以降に見られる脊柱側弯症の一種で、脊柱が左右に曲がる疾患を指す。患者の多くは思春期の女児で、思春期女児の約40人に1人が発症する可能性があるとされている。

AISが進行すると、ウエストラインの左右差など外見上の変化や、背部・腰部の痛みやこりが生じるほか、容姿に対するセルフイメージの低下など精神面への影響につながる可能性もある。また、発見や治療が遅れることで、神経症状や呼吸器症状などの重篤な障害につながる場合もある。

AIS、7割以上が「名前も特徴も知らない」

AISについて、全国の男女9,790名に聞いたところ、「名前も特徴も知らない」と回答した人は72.9%だった。「疾患名のみ知っていた」は10.5%にとどまり、発症しうる年代の子どもを持つ家庭でも認知が十分ではないことが分かった。

  • 「思春期特発性側弯症(AIS)」という疾患を知っていたか

    「思春期特発性側弯症(AIS)」という疾患を知っていたか

小・中・高校生の子どもを持つ保護者層でも、「名前も特徴も知らない」と回答した割合は小学生の子どもがいる層で73.2%、中学生の子どもがいる層で72.6%、高校生の子どもがいる層で73.6%となった。また、小学校・中学校・高校の教職員でも48.2%が「名前も特徴も知らなかった」と回答した。

  • 立場・子どもの学齢別にみたAISを「名前も特徴も知らなかった」割合

    立場・子どもの学齢別にみたAISを「名前も特徴も知らなかった」割合

家庭や日常生活で背中の左右差に気づく視点が重要に

AISの早期発見では、学校健康診断での運動器検診が重要な機会となる。一方、子どものプライバシーや心情への配慮から健康診断の着衣化が進む中、家庭で日常生活の変化に気づくことも早期相談のきっかけになるとされている。

AISの名称や特徴を知っている保護者500名と教育関係者200名に、背中や身体の左右差に気づきやすい場面を聞いたところ、「健康診断・学校健診」が64.9%で最多となった。一方、「プール・海水浴など水着になる場面」は35.1%、「着替えをしているとき」は32.3%、「家庭で学習しているとき」は23.6%、「服を買いに行ったとき・服を着たとき」は22.7%にとどまった。学校健診での発見は認識されている一方、家庭や日常生活の中で身体の左右差に気づく視点は十分に広がっていないことがうかがえる。

  • 成長期の子どもの背中や身体の左右差に気づきやすいと思う場面

    成長期の子どもの背中や身体の左右差に気づきやすいと思う場面

AISを知っていても「姿勢の悪さ」が原因と誤解

AISの名称や特徴を知っている人のうち、26.4%が「姿勢が悪いことが主な原因」と回答した。また、21.7%は「生活習慣の悪さが主な原因」と回答しており、疾患を認知している層でも誤解が残っていることが明らかになった。AISは原因がはっきり分かっていない疾患であり、姿勢や生活習慣が主な原因ではない。そのため、正しい理解が早期発見や適切な対応につながると考えられる。

  • AISの原因や特徴に関する認識

    AISの原因や特徴に関する認識

「姿勢の悪さ」と感じた場合、本人への注意にとどまるケースも

子どもの姿勢の悪さが気になったときの対応や相談先について聞いたところ、「整形外科に相談する」が40.9%で最多となり、「小児科に相談する」が38.9%で続いた。一方、「本人に姿勢を注意する」は26.4%となり、姿勢の違和感を疾患の可能性として捉える前に、本人への注意にとどまるケースも一定数あることが分かった。

  • 子どもの姿勢の悪さが気になったときに対応・相談先として思い浮かべるもの

    子どもの姿勢の悪さが気になったときに対応・相談先として思い浮かべるもの

また、自分の子どもがAISと診断された、または可能性を指摘されたケースでは、「適切なタイミングで医療機関に相談・受診できた」が43.9%だった一方、「本人に姿勢や座り方を注意した」は25.2%、「猫背や座り方の問題だと思った」は20.9%となった。

教育関係者が担当した児童・生徒のケースでも、「しばらく様子を見た」が29.4%、「本人に姿勢や座り方を注意した」が24.7%となり、家庭・教育現場の双方でAISが姿勢や座り方の問題として受け止められるケースがあることが示された。

  • AISの可能性を指摘された子どもについて、当時感じたこと・対応したこと

    AISの可能性を指摘された子どもについて、当時感じたこと・対応したこと

治療方法への認識にもギャップ

AISの治療方法について聞いたところ、「整体・整骨院での施術」と回答した人は22.4%だった。AISを姿勢や身体のゆがみの問題として捉える認識があることが、医療機関以外の対応先を想起することにつながっている可能性がある。

  • AISについて想起される治療方法

    AISについて想起される治療方法

一方、子どもに側弯症や背骨の異常の可能性があると考えた場合、「整形外科に相談する」と回答した人は52.4%で最多となった。姿勢の悪さが気になった場合の整形外科への相談意向40.9%と比べ、背骨の異常として認識できるかどうかが、相談行動につながる上で重要であることがうかがえる。

  • 側弯症や背骨の異常の可能性を考えたときの対応・相談先

    側弯症や背骨の異常の可能性を考えたときの対応・相談先

受診の遅れには痛みの少なさや誤認が影響

AISの可能性を指摘されたにもかかわらず、医療機関への相談が遅れた、またはすぐに検討しなかったケースでは、その理由として「痛みや強い不調がなかったため、急ぐ必要はないと思った」が39.3%で最多となった。次いで、「猫背や座り方を直せば改善すると思った」が28.6%となり、痛みがないことや姿勢の問題として捉える認識が、受診を遅らせる要因となっていることが分かった。

教育現場のケースでは、「生活習慣や運動不足を見直せば改善すると思った」が31.7%、「成長期によくある姿勢の問題だと思った」が29.3%、「猫背や座り方を直せば改善すると思った」が26.8%となった。

  • AISの可能性を指摘された際、すぐに医療機関への相談を検討しなかった理由

    AISの可能性を指摘された際、すぐに医療機関への相談を検討しなかった理由

装具治療には学校や周囲の配慮も必要

装具治療が必要な子どもについて、学校生活や日常生活への影響を聞いたところ、「体育の授業・部活動・運動」への影響を懸念する回答が75.7%で最多となった。続いて、「今後の身体発達」が74.9%、「本人の気持ち・心理面」が74.4%、「長時間座る授業・学習」が72.9%となり、装具治療が学校生活全体に影響する可能性が認識されていることが分かった。

  • 装具治療が必要な子どもの学校生活・日常生活への影響認識

    装具治療が必要な子どもの学校生活・日常生活への影響認識

また、装具治療中の子どもへの配慮としては、「体育の授業・部活動・運動時の配慮」が59.3%で最多となった。次いで、「着替えや服装への配慮」が56.4%、「学校と家庭の情報共有」が54.4%、「友人や周囲の理解」が53.7%と続いた。

  • 装具治療中の子どもに必要だと思う学校・日常生活での配慮

    装具治療中の子どもに必要だと思う学校・日常生活での配慮