マイナビニュースのテレビ担当記者が、6月にあったテレビ界の出来事を独断と偏見でピックアップする【6月テレビ界五大ニュース】。今月は、NHKの調査で若年層の「テレビ離れ」が改めて浮き彫りになった一方、サッカーワールドカップという国民的スポーツイベントの同時視聴で力を発揮し、テレビの強みと課題が同時に見えるニュースが並んだ。
20代の7割が平日ほぼテレビを見ない…NHK文研調査
NHK放送文化研究所が16日に発表した「2025年国民生活時間調査」で、調査した平日に15分以上リアルタイムでテレビを視聴した人の割合が、16~19歳で27%、20代で33%にとどまったことが分かった。高齢層では依然としてテレビの存在感は大きいものの、前回調査と比べると、50代は83%から73%、60代は94%から84%、70歳以上も95%から92%へと低下した。長くテレビ視聴を支えてきた中高年層にも、変化が広がっている。
ただ、テレビ視聴時間そのものは全体で増えている。70歳以上の視聴時間が増加しているためで、テレビが高齢層にとって依然として強いメディアであることも示された。今回の調査結果は、テレビが国民共通のメディアから、世代によって接触の濃淡が大きく分かれるメディアへ変化していることを示した。
サッカーW杯高視聴率続出 地上波の同時性を証明
一方、6月のテレビ界で大きな存在感を放ったのが、『FIFAワールドカップ2026』北中米大会の中継だ。日本代表戦は早朝・深夜や昼の時間帯にもかかわらず高視聴率を記録。15日早朝の「日本×オランダ」はNHK総合で世帯27.1%・個人14.8%、21日昼の「日本×チュニジア」は日本テレビで世帯30.2%・個人20.4%、26日朝の「日本×スウェーデン」はNHK総合で世帯35.0%・個人19.8%、そして29日深夜の「日本×ブラジル」はフジテレビで世帯15.9%・個人8.4%を記録した(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。この4試合の全国視聴人数は6849.3万人と推計されている
配信サービスの存在感が増し、スポーツ放映権のあり方も議論される中で、国民的スポーツイベントが地上波で放送されると、大規模な同時視聴を生む力があることが改めて示された。
ガッツさん、玉緒さん、美輪さん…バラエティでも愛されたスターの訃報
6月は、テレビのバラエティでも親しまれたスターたちの訃報が相次いだ。元プロボクサーでタレントとしても活躍したガッツ石松さんは2日に肺炎のため死去。俳優の中村玉緒さんは9日に肺炎のため亡くなった。そして歌手・俳優の美輪明宏さんは20日、老衰のため死去した。
ガッツさんは、ボクシング世界王者としての実績に加え、「OK牧場」に象徴される明るいキャラクターでバラエティ番組でも強烈な存在感を発揮した。中村さんは映画・ドラマでのキャリアに加え、明石家さんまらとの掛け合いでお茶の間に愛された。そして美輪さんは歌、舞台、映画、ナレーションに、『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日)というトーク番組にも進出し、独自の言葉と美意識でテレビにも深い印象を残した。
フジ・メディア・ホールディングスとSBI、“感情経済圏”へ協議開始
フジテレビ親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は26日、SBIホールディングス、SBIネオメディアホールディングスとメディア・コンテンツ領域における戦略的資本業務提携に向けた協議・検討の開始を発表した。SBIグループの「ネオメディア戦略」と、FMHの経営ビジョン「好きでつながる明日をともに」を掛け合わせ、コンテンツへの共感・信頼・熱狂を起点にした“感情経済圏”の共同構築を目指すと説明している。
検討領域には、コンテンツ・IP関連の投資や事業開発、リアルイベント、地域活性化、デジタルサービス、広告・マーケティング、コンテンツIPの新たな流通形態などが並ぶ。同日、取材に応じたFMHの清水賢治社長は、FMH側のメリットについて「コンテンツを作るには、より大きな資金が必要になってくる」とし、SBIグループの金融・デジタル技術との連携に期待を示した。
『テレ東音楽祭』他局名作ドラマメドレーで話題
28日に放送されたテレビ東京系音楽特番『テレ東音楽祭2026夏』が、6月最終週の週末の話題をさらった。2014年の放送開始から16回目となる今回は、番組史上初めて日曜に枠を移し、約4時間半の生放送で展開。深澤辰哉(Snow Man)と松本若菜がMCを務めた。
特にSNSで盛り上がったのが、日本テレビ、TBS、フジテレビという他局の名作ドラマの借り物映像を流しながら、懐かしの主題歌を当時のキャストも参加して歌唱するというメドレー企画。大型音楽特番は各局がこぞって編成しているが、『テレ東音楽祭』は“予算規模”ではなく“企画の角度”で勝負する強さを見せた。
