北海道電力主催の第548回「ほくでんファミリーコンサート」が6月5日、苫小牧市民文化ホールART CUBES グランドホールで開催された。

3月にオープンしたばかりの会場に約1,000人の観客が詰めかけ、北海道内唯一のプロオーケストラ・札幌交響楽団(札響)の約2時間の演奏を楽しんだ。

  • 第548回「ほくでんファミリーコンサート」

    第548回「ほくでんファミリーコンサート」

オープン3か月の新しい匂いの残るホールでの開催

同コンサートは、北海道電力が「北海道にお住まいの皆さまに本格的なクラシック音楽を気軽に楽しんでいただきたい」との思いを込めて1973年にスタート。北海道内各地の市町村に、半世紀以上にわたって札響の演奏を入場無料で届けてきた。

  • 今回の会場となった苫小牧市民文化ホールART CUBES

    今回の会場となった苫小牧市民文化ホールART CUBES

苫小牧開催は約30年ぶり、しかも最新の音響設備を備えたホールでの演奏会とあって、会場の入り口には開演の1時間半以上前から観客が長い列を作った。

開演の午後6時半に、約60人の札響の演奏者がステージ上にそろい、舞台袖から札響の正指揮者・川瀬賢太郎氏が現れると、万雷の拍手が巻き起こった。

1曲目はシベリウス作曲の交響詩「フィンランディア」。ロシア帝国の支配下にあった祖国フィンランドの苦難と、その後の栄光を表現したフルオーケストラの壮大なスケールの楽曲が、真新しいホールで奏でられた。

  • コンサートの様子

    コンサートの様子

ノルウェーの作曲家グリーグによる「2つの悲しい旋律」より「過ぎにし春」、そしてCMでも多く使われている「朝」などを含む「ペールギュント」組曲第1番と続き、前半の演奏が終了した。

苫小牧市内の小学校の案内で、母親の橋本香奈さんと一緒に会場を訪れた7歳の芽依さんは、「心に響きました」と、顔をほころばせた。香奈さんも「弦楽器の演奏を初めて聴きましたが、本当に素晴らしかった」と、感想を口にしていた。

15分の休憩を挟んだ後半は、映画音楽のレパートリーが並んだ。最初に演奏されたのは「ミッション・インポッシブル」のテーマ。トム・クルーズ主演のおなじみの人気作品の曲で、いきなり観客を引き込んだ。

タクトを振る川瀬氏は、演奏の合間ににマイクを持ち、映画にまつわるエピソードやプライベートに関するトークでも会場を盛り上げた。

  • トークでも会場を盛り上げる川瀬氏

    トークでも会場を盛り上げる川瀬氏

ファミリーコンサートにふさわしく、スタジオジブリの宮崎駿監督によるアニメ作品シリーズの作品が演奏された。「もののけ姫」から“もののけ姫”、「魔女の宅急便」より“海の見える街”、「となりのトトロ」より“さんぽ”と、子どもたちにも聞き覚えのある、おなじみの音楽の演奏が続いた。

ラストを飾ったのは、ディズニー・ソング・メドレーだった。「ミッキーマウスのテーマ」、東京ディズニーランドのエレクトリカルパレードで有名な「バロック・ホウダウン」、「アナと雪の女王」のテーマソング「レット・イット・ゴー」などの名曲が演奏され、子どもたちの表情が一気に明るくなった。

予定されていたプログラムがすべて終わり、川瀬氏が会場に向かって頭を下げると、登場した時以上の拍手がホールを包んだ。そして川瀬氏が一度舞台袖に姿を消すと、そのままアンコールを期待する拍手に替わった。

  • 北海道内唯一のプロオーケストラ・札幌交響楽団

    北海道内唯一のプロオーケストラ・札幌交響楽団

まもなくすると、満面の笑みの川瀬氏がステージに戻ってきた。映画「オズの魔法使い」の挿入歌でもある“オーバー・ザ・レインボー”の優雅な演奏とともに、この日の公演は幕を閉じた。

オープンして3ヶ月足らずの真新しい楽屋に戻った川瀬氏は「まずは、新しい匂いの残っている美しいこのホールで演奏できたことが我々にとって幸せでした。今日はクラシック音楽はもちろん、親しみやすい映画音楽なども聴いていただきましたが、『気軽にこのホールでのオーケストラのサウンドを楽しんでいただけたらいいな』、という願いを込めてのプログラム。お年寄りの方からお子さままで、多様な方々が音楽と触れ合い、栄養を蓄え、感動していただけたらうれしく思います」と、金曜夜のひと時を振り返った。

  • アンコールにこたえる札響

    アンコールにこたえる札響

未来のプロ演奏家の誕生に向けて

北海道電力の木林尚稔広報部長は「昨年の伊達市に続き、同じ胆振地域となる苫小牧市で、ほくでんファミリーコンサートを開催できたことを、大変嬉しく思います。今年3月にオープンしたばかりの素晴らしい音響設備を備えた施設で、札幌交響楽団の演奏をお届けできたことに、ご協力・ご支援をいただいた関係者の皆さまへ、心より感謝申し上げます。今後も、ほくでんグループは、芸術・文化・スポーツ振興などを通じて、北海道の皆さまの豊かな暮らしづくりに貢献してまいります」と、会場への感謝と今後への決意を述べた。

ホール入り口では、33年前の第1回と同じように、“ドレミの箱”募金が集められた。

寄せられた募金に、北海道電力が募金と同額の寄付金を追加。北海道教育委員会から推薦された北海道内の小中学校において、札幌交響楽団に所属するプロ演奏家が、北海道内各地の小中学校を訪問し、直接指導する「音楽クリニック」の開催に活用されている

この日のアンコールを含めた10曲の演奏をライブで聴き、心を動かされた子どもたちも含めて、また多くの未来のプロ演奏家の誕生につながっていくに違いない。

  • 素敵な演奏がコンサートを盛り上げた

    素敵な演奏がコンサートを盛り上げた

次回の「第549回ほくでんファミリーコンサート」は、7月29日に札幌コンサートホール・Kitaraで開催する。入場無料は変わらないが、毎年人気の公演のため入場券は抽選となる。現在HBCホームページまたははがきで応募を受け付けているそうだ。