沖縄県名護市の辺野古沖で、修学旅行生らを乗せた小型船が転覆した事故をめぐり、「報道が極端に少なすぎる」などとテレビ各局を批判する視聴者意見が、放送倫理・番組向上機構(BPO)に寄せられている。5月26日に行われた青少年委員会の会合では、報道機関によるニュース価値の判断や、SNS上に広がる言説が青少年に与える影響について議論が交わされた。

  • BPO事務局が入る千代田放送会館

    BPO事務局が入る千代田放送会館

SNS上にあふれる言説に青少年が触れる影響に危惧

公開された議事概要によると、3月に沖縄県名護市の辺野古沖で、京都府内の私立高校の修学旅行生らを乗せた小型船2隻が転覆し、2人が死亡、16人が負傷した事故の報道をめぐり、視聴者かは「事故の報道が極端に少なすぎる」など、テレビ各局を批判する意見が寄せられた。

この事故をめぐっては、文部科学省が5月22日に、当該私立高校の平和学習の内容について「政治的中立性を定めた教育基本法に違反する」との見解を示したことを各局が大きく報道した。

担当委員は、テレビ報道について「どのタイミングでどのような内容を報じるのか、報じる価値はあるのか、あるとすればどの程度のニュースバリューがあるのかなどを、各局がそれぞれ考え判断している」と説明。そのうえで、発信する情報に責任をもって視聴者に届けるテレビ報道は、刺激や興味本位で情報が飛び交うSNSとは異なるとし、「報道が量的に少ない」という視聴者意見については「印象面からの一面的な見方であるように思う」と見解を述べた。

一方で担当委員は、こうした意見が社会の中で大きくなっている現状にも言及。スマートフォンを開けばSNS上に同様の言説があふれており、子どもや青少年がそれらに触れることによる影響を危惧した。

「信用できない、操作されている」批判への対応も論点に

また、報道倫理に基づく判断であっても「信用できない。操作されている」と批判される背景には、メディアやジャーナリズムへの理解不足もあると指摘。テレビ各局に対し、なぜそのタイミングでその内容を報じるのかといった判断の理由について、ニュース本体でなくても、各局のウェブサイトやSNSアカウントを活用して説明することや、従来は表に出してこなかった事情を明示することが必要になると促した。

別の委員は、この事故報道について、海難事故そのものの問題と、当該私立高校が平和学習のために沖縄を選んだ理由、さらに抗議活動にも使われる小型船に生徒を乗せた理由といった論点が「一緒くたにされているところがある」と指摘。報道の伝え方として、視聴者に分かりやすく整理する工夫が必要だと述べた。

児童婚めぐるバラエティ番組の発言にも意見

この会合では、世界の興味深い話題を紹介するバラエティ番組で、イランの地方に残る児童婚の風習を取り上げた際のスタジオ発言に対する視聴者意見も取り上げられた。

番組では、VTRの中で妹たちの結婚に反対する14歳の兄に対し、ベテラン芸人のMCが「お兄ちゃんも結婚すればわかるんじゃない」などと発言。これに対し、視聴者から「児童婚を認めて笑いをとっていた」と批判する意見があった。

担当委員は、番組全体を見れば児童婚を容認する内容ではなかったと説明。妹たちは結婚せず、進学して勉強を続けたという結末で、スタジオも安堵感に包まれて終わっていたとしたうえで、MCの発言は一部だけが独り歩きしているように見えると報告した。

さらに、バラエティ番組の進行上、視聴者に真意ではないと伝わる逆説的な表現をあえてしたものと受け止めたとし、「全体として問題となるような内容ではなかった」と結論づけた。

このほかに大きな議論になる番組はなく、「討論」に進むものはなかった。