- 7~8世紀の飛鳥時代に、日本で初めて誕生した宮都の遺跡
- 世界遺産としての価値が認められ、登録が推奨されるという判断が「登録」勧告
- 7月19日から韓国・釜山で開催される世界遺産委員会で最終決定が下される
日本から世界遺産に推薦されている、奈良県橿原市・桜井市・明日香村の「飛鳥・藤原の宮都」に、ユネスコの諮問機関であるICOMOSから「登録」勧告が出されました。「登録」勧告が出されると世界遺産として登録される可能性が極めて高いことから、大きな注目を集めています。
しかし、現時点では「飛鳥・藤原の宮都」の世界遺産登録が決定したわけではありません。今はまだ「登録が勧告」された段階で、まだ正式に世界遺産に「登録が決議」されたわけではないからです。「登録勧告」と「登録」は何が違うのでしょうか。そもそも「飛鳥・藤原の宮都」とはどのような価値を持ち、今後どのようなプロセスを経て最終決定が下されるのでしょうか。
本記事では『世界遺産はどう決まる? 今こそ知りたい世界遺産のしくみ!』(マイナビ出版)から内容の一部を抜粋・編集し、「飛鳥・藤原の宮都」の価値や審議プロセスを分かりやすく解説します。
「飛鳥・藤原の宮都」とは?
「飛鳥・藤原の宮都」は、7世紀から8世紀の飛鳥時代にかけて、日本の政治・文化の中心となった飛鳥宮や藤原宮などの遺跡群からなる文化遺産です。中国大陸や朝鮮半島との交流の中で、日本で初めて誕生した宮都の遺跡であり、中国の律令制度をモデルとして、東アジア地域に中央集権体制が確立していく過程を示しています。
飛鳥・藤原の宮都は、後の奈良や京都の都の形成にも深い影響を与えました。飛鳥京や藤原京に関連する合計19件の遺跡や古墳などが、「飛鳥・藤原の宮都」として推薦されています。
現地で調査を行ったICOMOSは、資産の範囲や他の類似遺産との比較分析、保全・管理体制などが適切だと評価し、「登録」勧告を示しました。
「登録勧告」と「登録」の違い
ところで「勧告」とは一体何なのでしょうか。
世界遺産に推薦された遺産は、ユネスコの諮問機関(文化遺産はICOMOS、自然遺産はIUCN)が現地調査などを行い、世界遺産としてふさわしいかどうかを評価します。その結果は「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」という4段階で示されます。これが勧告です。
- 「登録」:世界遺産としての価値が認められ、登録が推奨されるもの
- 「情報照会」:世界遺産としての価値が認められるが、追加情報や対応が求められるもの
- 「登録延期」:より詳細な調査や推薦内容の見直しが必要とされるもの
- 「不登録」:世界遺産への登録がふさわしくないと考えられるもの
この事前の勧告の内容をもとに、毎年夏に開催される世界遺産委員会で、世界遺産登録の最終的な判断が下されます。
現在、「飛鳥・藤原の宮都」はこの勧告が発表された段階にあり、正式に登録が決定するのは、もう少し先のことになります。
登録はほぼ確実? 最終決定の場「世界遺産委員会」とは
世界遺産委員会は、196の世界遺産条約締約国の中から選ばれた21カ国で構成される委員会で、年に一度開催されます。今年は来月7月19日から韓国・釜山で開催される予定です。
実は、「登録」が勧告された遺産は、世界遺産委員会でもそのまま登録されるケースが多く、今回の「飛鳥・藤原の宮都」が日本の27件目の世界遺産として登録されるのは、ほぼ確実と言えます。
一方で、近年は諮問機関の事前の勧告が、世界遺産委員会で覆される例も多く見られます。例えば2024年に登録された『佐渡島の金山』は、当初の勧告では「情報照会」でしたが、最終的に世界遺産委員会で「登録」が決議されました。
このように、勧告はあくまで最終判断の前段階にすぎず、実際の結論は世界遺産委員会の審議によって決まります。
書誌情報
- 書名:世界遺産はどう決まる? 今こそ知りたい世界遺産のしくみ!
- 著者:宮澤光(NPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員)、宮脇佳子(NPO法人 世界遺産アカデミー研究員)
- 監修:NPO法人 世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局
- 発行:株式会社マイナビ出版
- 価格:書籍版2,420円(税込)、電子版2,420円(税込)
- 判型・ページ数:B6判/208ページ
- ISBN:978-4-8399-9070-1
- 発売日:2026年6月16日
- Amazon販売ページ/マイナビブックス書籍情報ページ



