政界を追い出された星野茉莉(黒木華)が、市井に生きる政治素人のスナックのママ・月岡あかり(野呂佳代)をスカウトし、東京都知事選に挑む姿を描く、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『銀河の一票』(毎週月曜22:00~ ※FOD・TVerなどで見逃し配信)の第6話が、25日に放送された。

今回は、第6話のサブタイトル「神様を待つ理由/神様を騙す理由」に込められた想いについて考察してみる。

  • (左から)野呂佳代、野呂佳代 (C)カンテレ

    (左から)野呂佳代、黒木華 (C)カンテレ

【第6話あらすじ】「チームあかり」と暴露系YouTuberが結託! だがそこに…?

都知事選の告示日まで1か月を切った。流星(松下洸平)は順調な滑り出しを見せる。民政党幹事長で茉莉の父・鷹臣(坂東彌十郎)からの異例ともいえる厚遇は、集まった記者たちに疑念を抱かせるものだったが誰も指摘できない。

流星が会場を後にしようとしたその時、暴露系YouTuberの白樺透(渡邊圭祐)が現れ、「自作自演」と流星を挑発。現場を騒然とさせる。

同じ頃、「チームあかり」も本格始動。あかりが出馬表明する日を決め、それぞれ作戦に乗り出す。五十嵐(岩谷健司)と蛍(シシド・カフカ)は、流星の擁立に不満を抱く民政党内の非主流派に接触を試みる。

一方、あかりの知名度アップを図る茉莉は、世間の注目を集めるには「ネットでバズる」のが一番と考え、透に協力を依頼する。実は、茉莉は透のチャンネル「ブライトブラインド」を初期から観ていたのだ。

透がYouTubeを始めた頃は、高校生。同じ年頃の目の不自由な明(望月歩)との出逢いがきっかけだった。その時に透は知る。「この世界は、目が見える人のためにデザインされている」──。そして、彼は事故死してしまう。透は、最初から暴露系YouTuberではなかったのだ。目が不自由な人の“世界”を発信するチャンネルだった。茉莉は、その時代の動画から知っていた。

茉莉の説得もあり、透は協力してくれることに。作戦は、いわゆる“ぶつかりおじさん”を仕込み、わざとあかりにぶつからせ、あかりが説教。その動画をバズらせることだった。

ところが当日、そこに、仕込みではなく、“本物”が現れた。しかもその男はナイフを所持しており、透を刺す。おそらくは“無敵の人”。追い詰められ、通り魔と化してしまった者だった。駆けつけるあかり。あかりはとっさに言ってしまう。「私が都知事になって、あなたのように抱え込む人が出ない世の中にするから!」と。図らずも都知事選に打って出ることを明かしてしまった茉莉たちだが…。

救済を求める人たち・楓編

ついに「チームあかり」本格始動! ここから次なる章が始まるというアピールからか、OP映像──タイトルバックも新たに。「チームあかり」の五十嵐をはじめ、踊るメイン登場人物も増え、それもSNSで話題になっている。

そしてこの第二章は、新聞記者の雨宮楓(三浦透子)と、透の過去の開示からスタートした。楓は女子高生時代をこう述懐した。「神様を待っていた。強くも優しくもなれない無傷すぎる自分に傷をつけてくれる神様を。一個でも傷が欲しかった。私にはこれがあるから大丈夫って思えるような。私にはこれがあるからしょうがないと思えるような…」。

そして楓は、SNSで家に泊めてくれる男性を探す、“神待ち”という行為を始めてしまった。そこに現れたのが茉莉だ。茉莉は楓の思惑を見抜き、「私がなります。神様。家に泊まりに来てください」と笑顔で伝える。そこで楓は明かす。合唱の歌の歌詞に「悲しみはいつか翼を強くする」「苦しみはいつかお前の心優しく」という言葉に感化されたことを。

だが当時の楓は、健康体で困ったことも悲しいこともなく、ごく平凡な暮らしを送っていた。だから「強くも優しくもなれない」。だからあえて、自分を傷つけようとしていたのだ。強く、優しくなって愛されるため──。そんな彼女に茉莉は言う。「愛される手段として、強く優しくなることを選ぶあなたは、…なんて強くて優しいんでしょう」。

そう。楓にとって茉莉は、あの頃の空虚で寂ばくとしていた心を肯定し満たしてくれた、“神様”だったのだ。

  • 渡邊圭祐 (C)カンテレ

    渡邊圭祐 (C)カンテレ

救済を求める人たち・透編

一方で透は、こう心の中で独白する。「神様を騙そうとした」。それは「自殺したら、そうじゃなく死んだ人と同じ場所に行くのすっげえ大変らしいよ」と明が語ってくれたからだ。そして明が事故による不慮の死を迎えた日、透は「神様に自殺ってバレないように死ぬ」と決めた。それは、明がいない世界に用はないと思ったからだ。

実は透には悩みがあった。人より整った顔で生まれてきてしまったばかりに、勝手に期待され、勝手にがっかりされ、勝手に嫉妬され、勝手に傷つかれて、勝手に挑まれて、勝手に負けられて、勝手に気を遣われて、勝手に距離を置かれて、最後は勝手に消えられる。そんな運命に絶望し、自殺しようとしたところで出逢ったのが、明という彼にとっての“光”だったのだ。

明は目が不自由だ。だから透の見た目と関係なく、接してくれる。YouTubeを始めようと提案してくれたのも明。透を選挙に誘ったのも、社会問題や政治に興味を持たせたのも明。その明が死んだ。それを透は、自分が家まで送らなかったせいだと自分を責めた。──死んでもいい。そうヤケになったのかもしれない。透はいつの間にか、危険でいつ殺されてもおかしくない、暴露系YouTuberになった。