あらためて戸田の歩みを振り返ると、ゴールデン・プライム帯の連ドラデビュー作となったのは主演の木村拓哉がレーサーを演じた『エンジン』(フジ系、05年)。

以降、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系、05年)、『ギャルサー』(日テレ系、06年)、『LIAR GAME』シリーズ(フジ系、07年・09年)などに出演したが、「かわいい」「いい子」というイメージのアイドル女優を思わせる役柄が大半を占めた。

その後、クセの強い役がジワジワと増える中、「新境地」として注目を集めたのが『SPEC』シリーズ(TBS系、10年~)。IQ201の天才ながらKYでドSなキャラの主人公・当麻紗綾を演じて話題を集めたが、こちらは設定重視の役柄であり、主演俳優としての華は認められても演技面の評価までは得られなかった。

その点、当作は「内面の変化を描く」「第三者のポジションながら主人公を務める」などの高難度な役柄であり、現在配信中の『地獄に墜ちるわよ』につながるターニングポイントになったようにも見える。

もちろん当作の見どころは戸田の演技だけではない。生徒、保護者、同僚教師からの信頼が厚い人気教師からどん底に突き落とされる修二も見せ場たっぷり。時に「それは違うだろ!」などのツッコミを受けながらも動くことをやめない愚直な男を三浦が熱っぽく演じた。

生徒役では武井咲と剛力彩芽がフィーチャーされがちだったが、広瀬アリス、菅田将暉、中島健人、伊藤沙莉、能年玲奈、岡山天音などの今をときめく主演級俳優がズラリ。特に時刻表オタクの中島、関西弁まる出しでスベる菅田、メイド姿の剛力などの個性的な役柄は今見ると面白い。

物語全体を見ると、高校生の性交渉、結婚前の妊娠、教師の倫理観、人を許すということなどの骨太なテーマを各話に盛り込んだ脚本は見応え十分。安達奈緒子が初の連ドラ脚本とは思えない才能を見せ、その後の『リッチマン、プアウーマン』(フジ系、12年)、『失恋ショコラティエ』(フジ系、14年)などにつなげた。

ちなみに現在、安達は27年の大河ドラマ『逆賊の幕臣』を執筆中であり、その前に連ドラ第1作目となった『大切なことはすべて君が教えてくれた』を見ておいて損はないだろう。

日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。