JR東日本は、線路メンテナンス用分析プラットフォーム「Viz-Rail(ビズレール)」に実装した新機能を発表した。線路設備モニタリング装置で日々取得するデータを自動分析し、夏季の高温時にまれに発生するレールの大きなゆがみ「張り出し現象」の予兆を把握する機能「HARIBOU(張防)」を開発したという。

  • 高温時のレール張り出し現象(1978年5月、東北本線栗橋~古河間)

    高温時のレール張り出し現象(1978年5月、東北本線栗橋~古河間)

同社は2018年度に線路設備モニタリング装置を導入。線路の状態(起動変位)を示すモニタリングデータを毎日取得できるようになったことから、定期点検中心の保全方式(TBM)から、劣化の兆候を把握した段階で対処する保全方式(CBM)へ転換を進めてきた。これを受けて、第一線の保線技術者と社内開発チームが連携し、判断を支援する「Viz-Rail」の機能開発を2023年から進めてきたという。「Viz-Rail」はこれまで、第1期で直近15日分の軌道変位データが急に変化した箇所を検知する「軌道変位急進性把握」、第2期で線路の凹凸量を示すデータから列車動揺の発生を予測する機能を実装していた。

今回の第3期「HARIBOU」では、最大300日分のレールのゆがみデータを毎日自動で分析し、張り出し現象の予兆をとらえるとしている。従来は年4回取得する「East-i」のデータや線路の状態、構造、過去事例などをもとに人が点検箇所を抽出し、高温時に保線技術者が現地を目視確認していた。そのため、予兆箇所をタイムリーに把握することは難しかった。

「HARIBOU」はモニタリング装置導入線区全線を対象に、毎日自動で直近300日分のゆがみの変動幅を判定し、予兆箇所をタイムリーに抽出する。変動幅の一覧や地図、時系列データを一元表示するダッシュボードも備え、現地調査の優先度を定量的に判断できるようにした。

  • 「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」の判断順序

    「Viz-Rail」の新機能「HARIBOU」の判断順序

JR東日本は今後、「Viz-Rail」を線路設備全般の状態判定へ広げるとともに、AIなどを活用した工事計画調整やリソース最適配分につなげ、業務プロセス全体をデータとシステムが一元的に実行する「データドリブン管理」の体制構築をめざす。他の鉄道事業者への展開も視野に入れ、業界全体の線路メンテナンス高度化にも貢献したいとしている。