最終話はこれまで月9ドラマが積み重ねてきた恋愛至上主義をイジり、壊したと思わせながら、最後はどの作品よりも恋の素晴らしさを感じさせる離れ技。作品全体の振り幅という点ではラブストーリーに限らず39年の歴史を持つ月9ドラマの中でも屈指と言っていいのかもしれない。

ちなみに四角関係となる鷲尾豊(中島裕翔)と島田佳織(国仲涼子)、依子の父・藪下俊雄(松重豊)と巧の母・谷口留美(風吹ジュン)は、いずれも常識人で恋愛適合者。恋愛不適合者の依子と巧を際立たせるためのコントラストも万全であり、さらに依子の母で故人の藪下小夜子(和久井映見)が幽霊のように現れるなどのアクセントキャラも機能していた。

その他のキャストで要注目は、ゲスト出演したブレイク前の松下洸平。また、意外な姿を見せた三倉茉奈と寺島進、大ベテランの白石加代子も存在感たっぷりの演技を見せた。

脚本・演出・キャスティングと演技に加えてザ・ピーナッツのオープニング曲「ふりむかないで」とchayのエンディング「あなたに恋をしてみました」も作品にフィット。さまざまな点で技術的にハイレベルな作品だからこそ、「何度でも見たい」「ひさびさに一気見したい」と思わせられるのだろう。

ここまで作り込んだオリジナルのラブストーリーは貴重であり、終了半年後に放送されたスペシャルドラマ『デート~恋とはどんなものかしら~2015夏 秘湯』も好評。それから10年が過ぎた今も続編が待望されていることが名作の証しと言っていいのではないか。

日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。