日テレサービスの売上の約9割を支えるコンテンツビジネスだが、そこでアニメとともに伸びているのが、美術をはじめとする多様なジャンルの展覧会におけるオリジナルグッズ開発と物販運営事業だ。

2017年の参入当初は、グループである日本テレビや読売新聞といったグループ会社が主催する展覧会の物販事業を受託していたが、現在ではその領域を大きく拡大。アニメ作品と同様に、グループ外が主催する展覧会のコンペにも積極的に参加し、22年の『展覧会 岡本太郎』(主催:NHKほか)、23年の『特別展「古代メキシコ」-マヤ、アステカ、テオティワカン』(主催:NHK、朝日新聞社ほか)、24年の『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』(主催:NHK、日本経済新聞社ほか)、25年の『木梨憲武展-TOUCH/SERENDIPITY-意味ある偶然』(主催:産経新聞社ほか)などにおけるグッズ開発と売り場の運営業務の受託に成功した。

従来の美術展のお土産コーナーの商品といえば、複製絵画やポストカードといったものが定番だったが、こうした固定観念はすでに過去のものとなりつつある。日テレサービスでは長年培った商品販売の知見を生かし、有名ブランドとのコラボテキスタイルや老舗菓子店と協働したオリジナル菓子、展覧会テーマを大胆に解釈したファッション雑貨、襖絵や作品世界をモチーフにしたホームグッズなど、来場者の体験価値を拡張する新しいアートグッズカテゴリーを次々に創出している。

また、商品開発だけでなく、販売する場であるミュージアムショップの空間演出にもこだわっており、ミュージアムショップを展示世界の延長として設計するという視点で取り組みを進めているという。これらの一連の取組みが主催者からも評価され、コンペではなく主催者からの指名依頼案件が増加しているそうだ。

「コロナ明け以降、展覧会の来場者は従来中心であったシニア層に加え、若年層やカップルも取り込み、アート・エンタメ・デザインを横断する“中間領域のアートビジネス”が急速に広がっています」とのこと。そのトレンドに着目し、来年には海外の著名な美術館のグッズを集めて日本国内で販売するポップアップセレクトショップ「AMUSÉUM(アミュージアム)」を立ち上げる計画だ。

  • 『モネ 睡蓮のとき』東京展の特設ショップ

    『モネ 睡蓮のとき』東京展の特設ショップ

オリジナルの自社IP開発にも意欲

ほかにも、「未開のジャンルはまだまだあります。ゲーム関連、音楽のアーティスト関連の事業はまだやっていないので、ジャンルを拡張していきたいと思います」といい、「作品の良さをどこに生かせるのかを考えるという意味において、コンテンツに愛を持って取り組むという根っこの部分はアニメ事業と同じです」と、ノウハウを活用していく考えだ。

これまでは既存のIPのライセンスを受けて事業を展開してきたが、オリジナルの自社IPの開発も「ぜひやっていきたい」という神蔵社長。「1つでも2つでもオリジナルのIPがヒットしたら、すごく大きいと思います。それがキャラクターなのか、また別のコンテンツなのかは分かりませんし、何年先に実を結ぶのかも分かりませんが、将来に向けて財産を残していくという意味でも必要だと思っています」と意気込んだ。

●神蔵克
1961年生まれ、新潟市出身。一橋大学卒業後、85年に日本テレビ放送網入社。以来制作畑ひと筋で、バラエティ番組でキャリアをスタートしてからドラマ・映画を中心に様々なジャンルの映像制作に携わる。12年から制作局次長チーフ・プロデューサーとしてドラマ制作を統括。19年グループ推進本部局長を経て、20年日本テレビアート代表取締役社長に就任。24年から現職。