そして、現在最も大きな売上を占めるアニメにも本格的に進出。『名探偵コナン』と『僕のヒーローアカデミア』という系列の読売テレビで放送されている作品から、『呪術廻戦』『ハイキュー!!』(MBS)、『チェンソーマン』(テレビ東京)と他局系列にも広がっていき、現在取り扱うタイトルは14作品以上に。売上は右肩上がりの傾向にあるという。

アニメ関連のグッズを手がける企業は「星の数だけある」というが、その中で日テレサービスがこれだけの作品で選ばれる理由は何か。

一つは、『元気が出るテレビ』から40年にわたる商品化の実績。「我々が意識しているのは、ただ人気のIPをデザインとして既存の商品に付けて売るということではなく、キャラクターを世の中に認知してもらうためのプロモーションを一緒にやっていくということ。コンテンツの価値をより上げるという観点で、たとえばファンの方に“あのシーンに出てきたものだ!”と世界観まで伝えることに留意するなど、努力を重ねています。失敗も相当繰り返すことでノウハウを培ってきて、商品開発において精度の高い提案ができるようになったと思います」と胸を張る。

もう一つが、「商品を作るということに加え、“売り場”を作る」こと。それが「◯◯プラザ」のブランドで全国の主要都市を中心に行う催事展開だ。17年の「名探偵コナンプラザ」を皮切りに「ハイキュー!!プラザ」「呪術廻戦PLAZA」「僕のヒーローアカデミア“ヒロアカ”ヒーロープラザ」と各作品に広がっている。

アニメのポップアップ店舗は、映画公開に合わせるなど期間限定のケースが多いが、「プラザ」は年間を通じて出店するのが特徴。当然、売上の下がる時期もあるが、「ファンとの接点を作って維持する」ことを大切にする姿勢が権利元から評価され、「注目を集めるイラストを頂けたり、限定の商品を作らせてもらえたりと、付加価値を生み出しやすくなり、その実績を元に別のIPを使用させていただくという好循環が生まれています」と、信頼を獲得した。

ファンがその商品から作品の魅力を感じるかどうかは、実物だけでなく、陳列の仕方でもシビアに判断される。日本テレビという制作現場に近い立場で、視聴者へのファンサービスを起点に実績を重ね、コンテンツに愛を持った担当者が携わることが、大きな強みになっているようだ。

  • 「名探偵コナンプラザ」

    「名探偵コナンプラザ」

海外事業は「まだまだ整備する余地がある」

テレビ各局が経営計画で「IP戦略」を掲げる中、日テレグループの一員として、「一つのコンテンツを作って世に送り出すまでを日本テレビがやるとしたら、そこから派生する商品化やイベント展開など、その価値を違う形で最大化して世の中に届けることについては、日テレサービスが一番得意とするところでノウハウも蓄積されています。日本テレビと協働する中で一つの経済圏を作っていくことが我々の使命です」といい、その役割が「近年ますます大きくなっている」と実感。

アニメ業界は、テレビ放送の系列と関係なくビジネスが行われることから、「各局で次々にアニメ枠が増えているので、組めるところと組んで“外貨”を獲得することで、グループに貢献するという役割もあります」と語る。

そしてIPビジネスの今後について、「我々はまだプレーヤーとしては小さいですが、まだまだ整備する余地があると思います」という神蔵社長が見据える先は、海外だ。

「せっかくの日本コンテンツであるにもかかわらず、海外でのグッズ販売においては制約が多いのが現実です。コンテンツの経済圏の中で、商品事業というものをしっかりと整備して、そこで上げた利益を業界に還元できるシステムを作っていく必要があると思います」と力説する。

24年にロフトとの協業で「ハイキュー!!プラザ」を上海と成都で展開し、今年は北米や韓国にも進出するなど、海外展開にはすでに着手しており、「次は台湾、タイといったアジア。その次はヨーロッパという形で少しずつ領域を広げていきたいと思います」と意欲を示した。

  • 韓国で開催した「呪術廻戦PLAZA」