テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、11月30日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第46話「曽我祭の変」の視聴分析をまとめた。
饅頭を手に取った者たちは大口でほおばり…
最も注目されたのは20時33~34分で、注目度74.9%。松平定信(井上祐貴)一派が、一橋治済(生田斗真)に罠を仕掛けるシーンだ。
さびれた浄瑠璃小屋に仙太(岩男海史)が姿を現した。見張りに会釈し慎重に奥に進むと、物々しい雰囲気の集団の中央には松平定信がいる。「来たか」定信の脇に控えていた長谷川平蔵宣以(中村隼人)が声をかけると、「へえ。ただいま踊りを楽しんでおります」と仙太は静かに答えた。彼は人ごみにまぎれ、治済と大崎(映美くらら)を監視していたのだ。
「して、こちらどうぞ!」と、抱えていた包みを広げる。中身はもらった饅頭だ。「皆も食せ」定信が促すと「俺は鰕蔵にするか」と、平蔵が真っ先に手を伸ばす。包み紙には役者の名前が書かれているものと無地のものが混じっていた。「奥にもよろしいかな」柴野栗山(嶋田久作)が問いかける。平蔵がいくつか手渡すと、それを持って栗山が部屋の奥に消える。饅頭を手に取った者たちは大口でほおばっていた。
謀略の行方に話題が集中
注目された理由は、治済に対する謀略の成否に視聴者の視線が集まったと考えられる。
蔦重のプロデュースした写楽による役者絵は、定信の期待通り江戸の市中だけでなく幕府の話題も席捲し、見事にターゲットである治済を市中におびき出すことに成功する。大崎の懐柔にも成功し、定信たちの計画は順調に進んでいた。あとは大崎が浄瑠璃小屋まで治済を連れて来れば完遂というところまでこぎつける。しかしあと一歩のところで、予想外の出来事が起こった。
SNSでは「計画終わっていないのに饅頭食べてる場合じゃないんじゃないかな」「計画が順調に行き過ぎたせいか、油断しているように見える」「大勢の人手を用意している定信側に対してたった1人の治済っていうのはフラグにしか感じない」と、謀略の行方に話題が集まった。
作戦決行の舞台となった曽我祭は、江戸時代の歌舞伎劇場で行われた特別な祭礼行事で、曽我兄弟の仇討ちを題材にした『曽我狂言』が正月から5月まで続けて上演された年に、仇討ちの日である旧暦5月28日を中心に催された。芝居小屋が1年で最も華やぐ瞬間とされ、舞台・楽屋・町中が一体となる大イベントだった。もともとは楽屋内の内輪行事だったが、1753(宝暦3)年に中村座の初春興行が大成功した際に舞台上で披露され、以後は江戸三座の恒例行事となった。
曽我兄弟の仇討ちは鎌倉時代・1193(建久4)年源頼朝の行った「富士の巻狩り」の最中に曾我祐成・時致兄弟が父・河津祐泰の仇である工藤祐経を討った事件。赤穂浪士の討ち入り、伊賀越えの仇討ちと並んで日本三大仇討ちに数えられている。近年では『鎌倉殿の13人』でも描かれた。
定信は平蔵の探し出した大崎を間者として囲い込んだ。間者は敵方の様子を密かに探る者、すなわちスパイや隠密を意味する。忍者や密偵と同義で用いられることも多く、戦国期から江戸期にかけて情報収集・謀略活動に従事した。江戸時代になると戦乱がなくなったため、軍事的スパイは減ったが、幕府は公儀隠密や領内監察のための密偵として引き続き運用していた。

