視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、 10月11日に放送された『キングオブコント2025』(TBS)について、画面注視データを分析した結果を公開した。

  • レインボーのジャンボたかお、池田直人

    レインボーのジャンボたかお、池田直人

MF3の下降傾向が顕著に

まずは直近5年間の『キングオブコント』について、番組平均注目度を確認していく。「注目度」は、テレビの前にいる人のうち画面に視線を向けていた人の割合を示す指標で、値が高いほど番組が視聴者を「くぎづけ」にしていたと評価できる。

個人全体では、59.8%と最も低い数値に。属性ごとに見ると、MF3の下降傾向が顕著だ。一方、MF1については昨年より上昇。近年、賞レースは放送前からSNSでも大きな盛り上がりを見せるため、若年層の注目度が上がりやすくなっているのかもしれない。

ちなみに、世帯テレビオン率(※いわゆる世帯視聴率と同義)は、2021年が最も高く、その後4年間は同水準で推移している。

後半に進むほど注視度が上昇

ここからは、キングオブコント2025の注視度を毎分データで確認する。「注視度」はそのチャンネルがついているテレビの前にいる時間のうち、どのくらいの時間テレビ画面に視線を向けていたかを示す指標だ。

最も注視度が高かったのはファイナルステージでレインボーが披露したネタ。動きや音楽といった視聴者を画面にくぎづけにする要素が多く含まれるネタであったことが理由だろう。

番組全体の注視度を見てみると、後半に進むほど上昇している。これは、優勝決定に向けた視聴者の期待の高まりを反映した結果であると思われるが、注目は番組中盤にもかかわらず注視度3位にランクインした、しずるのネタ。セリフはほとんど無し、BGMに合わせて口の動きと動作だけでコントが進行していくという特殊な構成だったことが視聴者をくぎづけにした要因とみられる。

最も注視されたシーンは、ファイナルステージのレインボーのネタで、注視度59.7%。タクシー代を多めにもらおうとする女性と、それを成敗する男性の駆け引きのネタで、2人の巧妙な会話劇とダイナミックな演技で終始視聴者を最もくぎづけにした。特に『LIAR GAME』のサウンドを効果的に使うことで、視聴者をくぎづけにした。

2番目に注視されたシーンは、ファイナルステージのや団のネタで、注視度57.3%。小料理屋の設定で、店主の厳しさを前面に押し出したキャラクターと、舞台全体を使ったダイナミックな動きで視聴者をくぎづけにした。特に後半の大胆な展開は、最後まで視聴者をくぎづけにする巧妙な構成だった。

3番目に注視されたシーンは、1stステージのしずるのネタで、注視度55.7%。B’zの「LOVE PHANTOM」に乗せてネタが展開していき、2人の掛け合いはあえて抑え、楽曲に合わせた口の動きと動作だけでコントが進行。言葉では説明されないため、理解するには画面を注視せざるを得ない構成が、注視度が上昇した要因だろう。

4番目に注視されたシーンは、結果発表で注視度54.2%。優勝者が決まるその瞬間を見届けたい一心が期待を高め、視聴者をくぎづけにした。

5番目に注視されたシーンは、ファイナルステージのロングコートダディのネタで、注視度54.2%。落ち込む警官をキャリアウーマンが慰める会話中心でネタが展開。最後に警官が銃を発砲してしまうという大きな展開を加えることで、最後まで視聴者をくぎづけにした。

演者別の注視度と審査員の採点結果に相関なし

演者別の注視度(個人全体)と得点を比較したところ、出番順が遅くなればなるほど番組が盛り上がり、これに伴って注視度が上昇する傾向が確認された。特にファイナルステージは1stステージに比べると、かなり注視度が高い傾向にある。しかし、審査員の得点がこの注視度と関連していることは確認できなかった。

審査員による採点は、ネタの新鮮さや構成、オリジナリティなどでつけられるものであり、その道のプロフェッショナルである審査員の腕の見せ所。一方、注視度にはキャッチーさや動きで視聴者をくぎづけにするといった「外見的な要素」が大きく影響する。実際の採点は、技術的な構成力や完成度も加味して評価されていることが賞レースの面白さなのだろう。

若年層には「元祖いちごちゃん」「うるとらブギーズ」が刺さる

演者×属性別注視度で比較したところ、後半に連れて注視度が高くなる傾向がベースにあるものの、属性によってネタの好みが分かれる様子も見られた。

例えば、うるとらブギーズの注視度は、子どもが大学を辞めてミュージシャンになることを親が止めるという設定だったからか、大学生とその親世代が多く含まれるMF1とMF3の数値は比較的高く出たものの、MF2は極端に注視度が低い結果となった。