東京・大井町駅前の景色が大きく変わろうとしている。JR東日本が手掛ける新たな都市開発「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」が2026年3月の開業を控え、工事は最終段階に入った。10月14日に行われた現場見学会では、プロジェクトの位置づけや開発の狙いが紹介され、完成間近の現場が報道陣に初めて公開された。
メディア初公開!「OIMACHI TRACKS」の工事現場に潜入
OIMACHI TRACKSは、JR東日本と品川区が連携し、「大井町駅周辺地区まちづくり構想」に基づいて進められてきた開発事業。2023年4月に本格着工し、2026年3月28日の開業を予定している。隣接地では品川区の新庁舎も2029年9月に完成予定で、まさに官民一体となって取り組むプロジェクトとして注目が集まっている。
これまで大井町駅周辺は、高低差や導線の課題が指摘されていた。駅から北西方向の品川中央公園へのスムーズなアクセスルートは限られ、駅前に人が集える広場も少なかった。さらに、防災面での改善も求められてきたという。OIMACHI TRACKSでは、歩行者ネットワークの整備や防災性の高い広場の設置を通じ、暮らしやすく安心な街づくりを目指す。
OIMACHI TRACKSは、JR東日本が掲げる「広域品川圏構想」を担う“都市生活共創拠点”として位置付けられており、浜松町から田町、高輪ゲートウェイ、品川、大井町までの5駅をひとつの都市圏として捉え、移動と生活がシームレスに結びつく次世代都市モデルを目指す。
この日の見学会で登壇した開発戦略ユニットリーダーの木村一哉氏は、「このエリアの近くには羽田空港があり、今後はリニア新幹線や羽田空港アクセス線の整備など、さらなる交通基盤の進化が計画されている。さらに大きく変貌を遂げ、都市の進化が見込まれるエリアだと確信している」と意気込んだ。
コンセプトは「共創」
開発ユニットマネージャーの中野貴雄氏は、OIMACHI TRACKSのコンセプトである「共創」について、「品川区との共創では、新庁舎と一体的に整備し、防災力の高い街を実現します。地域の皆さまとの共創では、3つの広場を活用し、イベントなどを通じて大井町の賑わいを生み出します。Suicaを活用した共創では、広域品川圏での新サービス実証や先行展開の拠点として機能させます」と説明する。
開発エリアは旧スポル品川大井町やキャッツシアターの跡地を含む約7.1ヘクタール。起伏のある地形を生かしつつ、駅から品川中央公園への自然な動線を整備する。街の中心には3つの広場が設けられ、駅前には約1,000平方メートルの「STATION PLAZA(ステーションプラザ)」を建設。待ち合わせや日常の交流など、誰もが立ち寄れる新たな駅前のランドマークを目指す。
中央部にはオフィス棟とホテル棟をつなぐ約3,400平方メートルの「CROSS PLAZA」を整備。2層構造の広場はイベントやカフェなど多目的に利用でき、街の賑わいを生む拠点として位置づける。西側には約4,600平方メートルの「TRACKS PARK」が広がり、憩いの場としてだけでなく、災害時は避難拠点としても機能する予定だ。
敷地内には2棟の高層ビルが建設され、「OIMACHI TRACKS ホテル&レジデンスタワー」には、上層階にルーフトップバーを備えたホテルとサービスレジデンスを配置。下層階には商業施設が入り、“滞在、暮らし、働く場所”を一体化した新しいライフスタイルを提案する。
もうひとつの「OIMACHI TRACKS ビジネスタワー」は、1フロア約5,000平方メートルの都内最大級のオフィス空間を備える。上層階からは再開発が進む品川エリアが一望でき、駅前にはバスやタクシー乗り場を備えた交通広場も整備される。
「工事は極めて順調に進んでいて、3月28日には間違いなく開業できる。大井町は都市生活共創拠点として住環境に優れた街で、住み続けたい街としても人気のあるエリア。我々がここに不足している都市機能を盛り込むことで、未来に向けてさらに魅力的な街になればいいなと考えている」(ユニットリーダー木村氏)









