フジテレビ系ドラマ『愛の、がっこう。』(毎週木曜22:00~ ※FODで全話配信)の最終話が、18日に放送された。
今作は、まっすぐで不器用なあまり過去に恋愛で大きな過ちをおかしてしまった高校教師の愛実(木村文乃)と、複雑な家庭環境から義務教育すらまともに受けられなかった読み書きの苦手なホストのカヲル(ラウール)が出会い、お互いが本当の“愛”を知っていくというラブストーリー。
最終話は予想を裏切らないハッピーエンドだった。しかしそこに、想像通りのドラマが展開されてしまった物足りなさは一切なく、その正反対の深みと余韻がたっぷりの見事な結末となった。
筋書きだけを見るとチープなはずだが…
生真面目な高校教師が軽薄なホストと恋に落ちるという今作のラストは――愛実は教師の職を失い、カヲルはホストではない仕事に就こうとするも失敗して再び夜の世界へ。それにより2人は別れることになるのだが、やはり互いの強い結びつきにより愛を育むことになる――というものだった。
この筋書きだけを見ると、何ともチープであり、愛実だけを追ってみても、どうしようもない男、いわゆる“ダメンズ”を好きになってしまった浅はかな女性の末路にも思えてしまう。しかしなぜだろう。最終話で映し出された愛実とカヲルの姿、そしてそんな2人の愛の強さには、とてつもない感動が生まれていた。
カヲルが受験に失敗してひどく落ち込み、そこから別れを切り出されても“離れたくない!”とする愛実の姿は、ともすれば哀れである。カヲルも強い決心をもってホストではない道へ進んだにもかかわらず、案の定、元の世界へ戻ってしまったことは、みじめでしかないはずだった。だが、“懸命に生きるということは、哀れでありみじめでもある”とでもいうかのように、2人の生き様にあまりにウソがなく、真っ正直であるがゆえ、冷静に俯瞰(ふかん)することがバカバカしいと思えるほど感情が揺さぶられ、感動をもたらしたのだろう。
そこまでの感情に至ったのはやはり、愛実とカヲル/大雅を演じた2人の功績があったからに違いない。だからこそ最後にこの2人の相性、カップリングの妙について触れておきたい。
古風な木村文乃と未完成なラウールのカップリングの妙
筆者はこれまで、恋愛ドラマにおけるカップリングの相性は物語の内容とは別のところ…簡単に言ってしまえば、“容姿”によるものが大きいと思っていた。ふと思い浮かぶあの名作恋愛ドラマのあの2人も、あのカップルも、物語の出来よりも2人がお似合いだと感じられる“容姿”の影響が大きいのではないか、と思っていたのだ。
例えば、明るさや暗さなどの2人が醸し出すトーンの一致や、身長差のバランスなど、ドラマの中身には直接関係ない役者自身が持つビジュアルの特性こそが重要で、それと物語が奇跡的に重なり合った時にだけ、名作と呼ばれる恋愛ドラマが誕生するのではないかと思っていたのだ。
しかし、今作における木村文乃とラウールはどうだろうか。生真面目な高校教師と軽薄なホストという設定を取っ払って考えた時、恋愛関係に陥る物語として2人のカップリングは自然であり、相性が良いと言えるものだっただろうか。少なくとも、2人が“お似合い”だとまずもって判断できていた視聴者は少なかったのではないだろうか。
それは古風な趣がある木村に対して、オリエンタルな顔立ちのラウール、そして2人の大きな身長差からは、決してカップリングが良いとは言い切れなかったからだ。だが今作を最後まで見終えた今、そこから印象は全く異なっている。
木村が醸し出す古風な雰囲気は生真面目な愛実というキャラクターにピッタリであり、その生真面目さが丁寧に表現できていたからこそ、たとえそれがホストであったとしても教えることに喜びを感じ、そこから人を好きになる喜び、そして生きる喜びへと転じていく様が実に自然であった。
一方のラウールは、スタイルの良さを存分に生かしたホストという役柄でありながら、その大きな体格とは対照的な未完成さが残っており、繊細で気取らず無邪気な一面も持ち合わせているという複雑さを生み出していた。そして何より、これまで感じることができなかった、教わることの喜びと、そこから本当の愛を知る喜びを見事に表現していた。
その結果、“お似合い”ではなかったはずの2人だが、お互いに足りないものを補い合えている――物語を追うごとに“お似合い”になっていくその奇跡を体感することができたのだ。
そして恋愛ドラマにおけるカップリングの相性が“容姿”であるとは、あきらかな偏見だ。それを今作は、恋に落ちた2人が“お似合い”ではないと誰が言い切れるのか?そして恋に落ちた2人は容姿など全く関係なく、いやが応でも“お似合い”になってしまう。そんな当たり前のことを教えてくれたのだった。
恋愛ドラマは世の中を映す鏡だ。このドラマは単純に2人の恋模様を追ったものではなく、2人の背景から、また2人のカップリングから、世相や偏見を描いてみせた。だからこそ今作は一過性になりがちな単なる恋愛ドラマではなく、多くの人の心に残る“作品”へと昇華できたのではないだろうか。







