現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で高知新報にのぶと共に戦後初の女性記者として入社した小田琴子を演じている鳴海唯にインタビュー。2019年度前期『なつぞら』以来6年ぶりの朝ドラ出演となる本作への参加が決まった時の心境や朝ドラに対する思い、役作りについて話を聞いた。

  • 鳴海唯

    鳴海唯 撮影:大野代樹

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。

――『あんぱん』のヒロインオーディションに参加され、小田琴子役に決まったとのことですが、オーディション時の思いを教えてください。

実はオーディションシートの自由欄に「私はアンパンマンのような人になりたいです」と書いていたんです。『あんぱん』の制作発表前のことで、(制作統括の)倉崎(憲)さんが情報漏洩を心配するくらい焦ったらしいですが、私もまさか自分が書いたことが直結している作品だったなんて知る由もなかったので、本当に驚きましたし、不思議なご縁を感じました。オーディション中に作品の制作発表があり、この縁をつなげたいという思いがすごく強くなって、制作の皆さんと一緒に仕事をしたいという気持ちがふつふつと湧いてきました。そういった思いで無我夢中になってオーディションを受けていました。

――小田琴子役に決まった時はどのように感じましたか?

ヒロインは叶わなかったけれど、いつかこのご縁がつながったらいいなと思っていたら、琴子という役をいただけると聞き、こんなにも早くご縁をつないでいただけたことがすごくうれしかったです。とても大切な役を任せてくださったので、大切に演じたいなという思いでした。

  • 『あんぱん』場面写真 (C)NHK

――鳴海さんの「私はアンパンマンのような人になりたいです」というコメントを見て、倉崎さんも「これは運命だ!」と思ったそうですね。

本当にありがたいです。マネージャーさんとどういう人になりたいかというビジョンを話している時に、「愛と勇気を共有できるような人になりたい」とよく話していて、「それってアンパンマンみたいな人かもしれないね」と。そういった自分の考えがまさかこんな形でつながるとは思っていませんでした。

――「愛と勇気を共有できる人になりたい」と目指すようになったのはいつ頃からですか?

物心ついた時から、人に楽しんでもらいたいという気持ちがずっとあり、誰かにとっての元気の源になれたらいいなという思いを抱えて生きていたらたどり着いたのが俳優という職業でした。おこがましいですが、俳優という職業を通して、自分が誰かの明日を生きる力やスパイスになれたら、これ以上に幸せなことはないなと思っています。

――子供の頃から人を楽しませるような行動を?

お遊戯会などがあったら自分から手を挙げて主役をやりたいと言ったり、人前で自分の作った歌を披露したり、そんなことが好きな子でした。

  • 鳴海唯

――6年ぶりの朝ドラ出演ですが、『なつぞら』以降も朝ドラのオーディションを継続して受けられていたのでしょうか。

受けられるものは受けていました。

――朝ドラに対する思いをお聞かせください。

作品に対する取り組み方は他の作品と違いがあるわけではないですが、朝の15分間という放送枠を日本中の方々が楽しみにしていますし、作品が発表される前からその放送枠を楽しみに待っているファンの方がいるので、いつも以上にたくさんの方に届く作品ということで、無意識に自然と背筋が伸びている気がします。そして、朝ドラと大河は自分の家族が一番喜んでくれるので、本当に広く届く作品なんだなと実感しています。