平良いずみ監督のドキュメンタリー最新作『ウナイ 透明な闇 PFAS 汚染に立ち向かう』が8月16日より東京・中野のポレポレ東中野、また7月26日から沖縄・桜坂劇場で先行公開することが決定した。

『ウナイ 透明な闇 PFAS 汚染に立ち向かう』のキービジュアル
(C)2025 GODOM 沖縄

2016年に沖縄県が会見で発表した「水道水に有害化学物質PFASが含まれていた」という事実を受け、平良監督が取材を重ねた記録映画の本作。当初、多くの県民がPFASという言葉に戸惑い、問題の深刻さは広く知られていなかったという。やがて、子どもを持つ女性たちが動き出す。「他のお母さんにも知らせなきゃ」と街頭に立ち、調査と対策を訴えた。しかし9年が経過した現在も汚染源の特定には至らず、原因とみられる米軍基地への立ち入り調査は拒まれ続けている。彼女たちは国連への訴えなど、あきらめず行動を続けているという。

タイトルの「ウナイ」は、沖縄の言葉で"女性たち"の意。公開されたキービジュアルでは、水の中に映画の場面が浮かび、「水が、あぶないー」というコピーが静かに警鐘を鳴らす。

また本作では、6月にイタリアで三菱商事元関連会社の役員に有罪判決が下されたPFAS問題についても取材。国際的視点から、日本の対応を問い直す作品となっている。

■平良いずみ監督 コメント

「私は、執念深い」 監督である私の告白から始まる映画になりました。映画をご覧になるみなさんが凍りついてしまわないか今から気が気でないですが、 笑ってもらえたら嬉しいです。

この映画は、私が5年に渡り追ってきた"PFAS汚染"についての記録です。 起点となったのは9年前、沖縄県民45万人が飲んできた水道水にPFAS・有機フッ素化合物が含まれていたこと。生まれたばかりの息子に水道水でつくったミルクを与えていた私は、「絶対、許さない」そう思いました。

そうして気付いた時には、世界の至る所で汚染問題の解決を求め立ち上がった女性(ウナイ)たちに出会い、 言葉の壁を越え想いが通じ合う瞬間を何度も経験しました。汚染問題に直面した彼女たちはどう生きたか……。 この先、この社会がきらいになりそうな人にこそ見てほしい。絶望の涙を、ひとしずくの希望にかえて立つ女性たちの姿を。

【編集部MEMO】

平良いずみは、1977年1月2日生まれ。48歳。沖縄県出身。琉球大学卒業後に地元の沖縄テレビ放送に入社してアナウンサーとなる。報道キャスターと並行しながらドキュメンタリーのディレクターとして活躍。2016年の『菜の花の沖縄日記』で、第38回「地方の時代映像祭」でグランプリ、日本民間放送連盟賞のテレビ報道番組部門で優秀賞を受賞した。2018年には同番組の映画化に着手し、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』というタイトルで2020年から順次公開されている。